9. サイコパス考な3本
会社の同僚に、なんかサイコパスって言われるんですけど!!っていう人間がいて笑 詳細は割愛しますが、人と違う感性の持ち主っていうのはいいことだと思うよ、うん。笑 人が人にサイコパス呼ばわりをかますときの大きな共通点は「自分だったら絶対にしないような判断をしてくる」ということがきっとあって、それだけ見れば、活かしようによってはカリスマとかイノベーターになれるってことだと思うんだけど、もう一個の大きな要件に「遂行のための犠牲をいとわない」っていう、バランス喪失があるんだろうなと。それが怖さとか、理解できなさとか、あるいは憧れもちょっと入ってたり?? 人は自分がなかなかわからないものに魅力を感じるってこともありますし。そんな魅力的なサイコパス悪役が出てくる映画を3本考えてみた。サイコパスから魅力の部分だけ抜き取るという欲張りなことをしてみたいと思います。
===
レオン
1994年公開
監督 : リュック・ベッソン
===
孤高の殺し屋が、ひょんなことから幼い女子と同居することになるお話。
何かを大切に思う気持ちの儚さと危うさについてのものがたり。守るものができてしまったが故に殺し屋は様子が少しずつ変わっていき、およそ冷静とは言えない勝負を挑んでしまう。自分より大切なものができる、とか言ってしまうと陳腐な言葉だけど、誰ともかかわらず人を殺め続けてきた人間だからこそ、その意味の重さが苦しい。ナタリーポートマンがこんな年齢からすでに妖艶。あとやっぱりゲイリー・オールドマンの悪役が映画史に残るサイコパス。怖い。クラシック音楽が好きだったり、捜査官としては超優秀だったり、要するにすべての設定が「過剰」ってことが魅力的サイコパスには必要な設定なのかもしれないですね。このサイコパスから学べる魅力のヒントは「結局、社会的役割の部分で超優秀」ってことですかね。やることやったうえでのアンバランスっていうのは魅力的に写るってことですかね。観方によってはギャップ萌えの走りってことなのかもしれない…
ダークナイト
2008年公開
監督 : クリストファー・ノーラン
==
ひそかに悪をくじく大富豪が、人格欠損の最強の悪党との闘いを繰り広げるお話。サンデル教授よろしく、「世の中における正しさとは何か。正義とは何か。」を突き続けられる主人公の苦悩が重たい。登場人物全員がそれぞれの正義を信じ、でも惑い、苦しみ、それぞれの前進が残念ながらぶつかり合う。ただ唯一、もっともぶれないのが、悪の化身としての悪役なわけですが、悪というのの本質が「正義の暴走」だとするのであれば、このジョーカーという悪役の本質は「無」みたいなものだなあと。無と戦うんだから、そりゃ苦しいですよね。最悪の相手に挑む戦い、しびれます。アカデミー助演男優賞はヒース・レジャー。何度見ても、最高。魂が半分、喰われているような憑依が、恐ろしい底の知れなさで、あんな演技はめったに見れない。このサイコパスから学べる魅力のヒントは「自分哲学に則った行動を、やりきる」ってことですかね。一貫して自分の美学とか審美眼に叶う行動をやり通すという部分においては、多くの人ができないことをやっているわけで、そこだけ、見習ってもいいかおしれない笑
ノーカントリー
2007年公開
監督:ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
===
米南部を舞台に、麻薬取引のもつれから、壮絶凄惨な逃走劇が繰り広げられる。何しろ残酷で、人が殺されまくるのですが、逃走劇自体はハラハラの連続で、目が離せない。ぐいぐい引き込まれてあっというまにクライマックスへ。で、問題はクライマックスなんだけど、このクライマックスを見て、つまりは、逃走劇の細かい一つ一つの描写や、追う側、追われる側の心理描写や、
そんなことはどーでもよくて笑。エンディングで引退した保安官が語る言葉と、冒頭の彼の語りから察するに、もっと大きな、”憂国”の心を描いたんじゃないかね。その大きなテーマをかもし出すための、全ては要素でしかなくて。コイントスに出した妻の答えは、二元論とか、正義と悪とか、そういう風に世の中を見ること自体からひずみが生まれているのでは?っていうメッセージなのかもしれないです。つっても、難解です。あまり結論めいたことをこの映画に求めちゃいかんのかもね。ストーリーはさておいて、ペネロペ・クルスの旦那、ハビエル・バルデムがアカデミー助演男優賞をとった悪役、アントン・シガーがまさにサイコパス。人が死にまくるw あのでっかいドロンとした目に引力が宿っているのか、吸い込まれるように見てしまう。このサイコパスから学べる魅力のヒントは「物事に集中するって大事」ってことでw
===
バランス喪失がサイコパスと冒頭書いたけど、こんな映画を思い出すと、人はみんなどこかで、バランスを気にせずに自分が思うがままに振る舞ってみたい、っていう羨望がどこかにつねにあるのかもしれないですね。バランスというか、社会性とか周りから期待されるふるまいとか、評判とか、そういうものかな。そういうものを屁とも思わないこの3本のサイコパス映画は、基本的には狂った悪役ぞろいですが、その辺の、自分の心の檻からうまく逸脱したいわあっていう気持ちの確認にはなるのかもしれないw なのでまあ、同僚がサイコパスと言われるのは誉め言葉だと思います笑 ほんとにやばいやつだったらそんなこと言わんしなあ。突き進めやその道をってことでw
※映画レビューはFilmarksでやってるので是非フォローしてくださいまし。
サポートありがとうございます! 今後の記事への要望や「こんなの書いて!」などあればコメント欄で教えていただけると幸いです!