19. 「心臓の緊縮パない」3本
今回はコルクラボで同門だったKさんからの、これぞ映画っていうストレートなお題。絞るのが大変でしたが…笑
「心臓の緊縮パない」3本をお願いします。個人的には以下です。
1.ゴッドファーザー part1 2.アルゴ 3.のび太の魔界大冒険(旧)
心臓緊縮、いいテーマっすねー。なんというか、日常の既視感というか、繰り返し感がぶっ壊されて、本当に緊縮パない映画見た後は若干景色変わって見えたりするもんなあと。緊縮にもいろんな縮み方があると思うのでして、あげてもらった3本はドキドキワクワクハラハラみたいな感じかなあと思うのですが、自分は、「瞬間最大緊縮」的な、うおおおびっくりしたああ!的な緊縮と併せて、観終わった後、なんだか考えちゃうような、「後緊縮」も考えて3本選んでみました。結構強めの映画が多い気がするので、体勢整えてご覧くださいませ笑
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クローバーフィールド/HAKAISHA
2008年公開
監督:マット・リーブス
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「民間人撮影による記録映像」として、ある日、未確認生物に襲撃されたNYの様子を描いたお話し。『ミストのクリーチャー×ブレアウィッチの主観性』みたいな言われ方しますが、個人的には、それを「大都市を怪獣が襲う」っていう日本人にとっては古典的極まりない設定にぶちかましたのが、怪獣映画の再定義にチャレンジしたっていう点で面白かった。結構、えぐいし、疲れるし、終わった後にぼーっとしちゃう感じで、好き嫌い別れる感じだと思いますが、フィクションとしてある種完成されているせいで、「ひき」で見ちゃう怪獣ものを、あそこまで「ひかせねえよ」っていう引きずり込みで自分ゴト化させきったのはさすが。当時、あんまり自分ごと化されていなかったため覚えてませんが、情報公開のプロモーション的展開も含めて、頭のいい人が考えたんでしょうなっていう作品。この映画の「心臓緊縮パない」ポイントは『パニックって伝染するよね』ってことですかね。何しろ視野が狭くて情報が入ってこないと、ほかの人がパニ食ってるっていう情報の占有率がすごい。すごい。閉ざすことで緊縮高める映画。
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エクス・マキナ
2015年公開
監督 : アレックス・ガーランド
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世界的IT企業で働く若者が、社長が極秘裏に進めるプロジェクトの協力者に選ばれその”実験”に協力していくお話し。愚かさとは何か、という物語。完璧なAIを開発する天才社長は、酒も飲むし女好きだし、筋トレで自分を鍛えるのも好きで、どこか破たんしていて、彼のウソに違和感を感じた主人公は、その完璧な計画を破たんさせようとする。人間が人間として考える「完璧」であることを、人間自身が計算に入れ切れていないことから、物語は終わりに向かっていくわけですが、ただただAIからすれば「なにやってんだか」なわけで、そんなAIに人間たちは「愚かさ」すら”完璧”に組み込みたかったし、組み込まれていると信じたかったのかもしれないのですが、果たして、じゃあ愚かとはなにか、完璧とはなにか、っていうストーリーだなと思います。超こわい映画です。視覚的にも聴覚的にも設定的にも、鋭く美しい世界観で、ストーリーはいってしまえば星新一なんだけども、AIディストピアものにありがちな「国家なんとか法が施行されたのち~~」みたいな、大きな枠組みとしてのディストピアではなく、ある個人とその心理にフォーカスした作品はあんまりないような気がして、新鮮。この映画の「心臓緊縮パない」ポイントは『静けさって空恐ろしい』ってことですかね。あの無機質でほかに誰もいないオフィスのおっかなさ。全貌が明らかになっていない前半のほうがやばいかもね。
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ブラック・スワン
2011年公開
監督:ダーレン・アロノフスキー
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「白鳥の湖」のプリマに抜擢された生真面目なダンサーが、役作りを通じて自らの狂気に目覚めていく話。呼吸が出来なくなるほど、衝撃的なシーンが、後半に行くにつれて増え続けていく。主人公ニナの抱く、嫉妬・焦燥・憎悪・劣情…。全てが渦になって、純真で生真面目だったはずの彼女を、黒く、食い尽くしていく。その心理を、虚実の境目なく描ききっていて、恐ろしい。「演じる」とは?自分ではない人生をそのとき完全に生きること。自分ではなくなること。何人もの人生を背負い表すこと。それがいかに本人のメンタルを追い込むものなのか。ニナをみて、そしてニナを演じるナタリーをみて思う。常人の神経ではない。常人の神経で演じ切れる域を振り切っている。劇場で観て正解でした。「音響」の切迫感が表現の上で非常に重要な作品なので、いい音響の劇場で、全身で音を受けて、慄いてほしい。今まで観た映画の中で、最も呼吸が出来なくなった1本。この映画の「心臓緊縮パない」ポイントは『人の心理が一番怖い』ってことで。
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没入できないと心臓緊縮はしないわけで、やっぱり、排他性があるコンテンツだからことな気が改めてした3選でした。なんでもかんでもながら見でオンデマンドで細切れになっていく毎日の情報やメディアやコンテンツだからこそ、便利にはなっているかもしれないけど、「不便なほどの没入感」って実はそんなに得られていないんじゃないかなと思うこともあり。たまには2時間まるまる心臓緊縮っていうのもゼータクでいいと思いますです。定期的に自分も緊縮感欲しさに映画見るなあと思い返したこんな3選。
ただ、緊縮パないのを選ぼうとした結果、かなり刺激強めになってしまったのであしからず…
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