MANGA ART HOTEL TOKYO と、好奇心の半歩外の話。
ふと気になってFacebookでいいねをした「MANGA ART HOTEL TOKYO」。漫画に囲まれながら一晩中、読み放題という夢設定で連泊したい!と言ったら、ナンバーナイン編集長のコロさんから「じゃあ一緒いきましょうよ」と神インビをもらったので二つ返事でさっそく金夜に行ってきました。さすがマイ「漫画」賢者。(マイ賢者とは、僕の脳内に「このことならこの人に聞こう」と全幅の信頼を置いているジャンル別の神のこと。QOL向上の源泉。)
神保町で欧風カレー食べてから、明日は雪だねという寒風の中を小走りで小川町界隈に行くと、木目垣間見えるおしゃれビル発見。ここがMANGA ART HOTEL TOKYOでした。
男女はフロアが分かれていて、我々は5Fの男性フロアへ。受付でいろんな説明を受けつつも、「ちょっと僕のおすすめ聞いてもらえますか?」ということで、受付のおにーさんの推し漫画を熱のこもった説明で受け止める。僕は自分が詳しくないものを、「そのものに熱量を持っている人」に説明してもらうのがとても好きなので、この体験ですでに価値感じるエントランス。
カプセルエリアはこじんまりした坪数だけど、白基調でキレイなつくりなので、実際よりも広く感じるマジック。5000冊ある蔵書も、コロさんいわく「結構カルチャー寄りで、5000冊って少ないと思う」とのことだけど、寝る前に選んでゴロゴロ読むにはこれくらい絞られているほうが、セレンディピティも強制的に働くだろうし、いいんでしょうね。なにより、すべての漫画に解説POPが和英両方の言語で書いてあることに驚嘆。手間かかってます。自分はこのSunnyの隣りの穴倉で一晩中読みふけりけりでした。
できたばっかりっていうのもあると思うんですが、水回りもキレイで、シャワールームも珪藻土マットで清潔感もあり、何不自由なく漫泊満喫しました。一晩かけて11冊。「山賊ダイアリー1」「アル中ワンダーランド」「青のフラッグ1~5」「ここは今から倫理です1~2」「我らコンタクティ」「BEASTARS1」を読了。ほとんどコロさんからのオススメに静かに乗っかって、自分からは手に取らなかったかもしれない漫画を、自分だけだったら来なかったかもしれない空間で読みふける金曜の贅沢をかみしめたわけでした。
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自分がよく使う言葉に、「なぜ人は”好きな食べ物”が何かわかるのかって、それはその食べ物を食べたことがあるからである」っていうのがあって。要するに、「好きだからやる」のではなくて、「やらないと好きかどうかわからない」という順序で物事回っているんだと思います。こう書くと当たり前に思うかもしれないけど、多くの人は「好きかどうかわからないものをやることに対しての億劫」を気持ちに飼いながら、それに餌をあげて大きく育てながら年をとっていくように思います。自分の好きが固定化して、その中だけでも十分幸せだし、新しい好きを求めて食べたことがないものを捕食しなくてもいいじゃんと思うようになっていく。それ自体は、本人が望むならそれでいいんだけど、なんとなく日々が既視感に飲み込まれて、あとは以下同文の人生だなと思うような日がもし訪れたら、いやじゃん。自分は少なくともそう思う。「食べたことのないおいしいかもしれないもの」への一番のいざないは、やっぱり、自分の好奇心に対して、行動の初速をいつも保つことと、僕のことをよくわかってくれる人からの、飛びすぎていない半歩外へのお誘いにのっかることだなと、雪見漫画の土曜の朝に思ったっていう備忘録でした。