13. こんな風に歳を取りたい3本
今回の依頼主は強敵です笑 会社の先輩Sからの以下のリクエスト。
こんなふうに歳取りたい、と思える映画3本をお願いします
なにが強敵って、大の映画好きで、かつて映画配給会社で作品の惹句を書いていたコピーライターなわけです。なに紹介しても見たことあるんじゃないかと思いつつ、この企画は観たことあるかどうかが大事なのではなく、その作品を僕がどう見て、それをなぜその人に紹介するのかっていう、文脈が企画だと思っているので、結局気にせず選びました笑
歳をとる。数少ない、人類全員が必ず体験する現象で、ある面ではハッピーバースデーとして喜ばれ、他方では死への階段を上っているともいえる、なんとも面白い現象だなとつくづく思います。全人類が経験するからこそ、死生観ならぬ「加齢感」はほんとに人それぞれで、それをテーマにした映画がたくさんあるとは思うのですが、今回はこの三本にしてみます。
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ヤング@ハート
2007年公開
監督:スティーヴン・ウォーカー
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マサチューセッツの平均年齢80歳のコーラスバンドのライブまでの軌跡を追ったドキュメンタリー映画。かっこいい!超Cool!生きることと死ぬことと、人とつながること。いろいろ深く考えさせられる作品。「私にもしものことがあってもバンドメンバーには、変わらず歌い続けてほしいの。だって私は別に消えてなくなるんじゃなくて、虹の上でいつまでも仲間のライブを聞いてるんだから」って、臭くなくこの台詞を言える人生を送ってきたバンドメンバーたちに、どうしたらこういう、死の際に立てる人生を送れるのかと考えてみたのだけど、多分、どんな人生を送ってきたとしても、この人たちがこの瞬間を生きているから、言えるのかもしれないとも思ったわけです。選曲もしみったれたジジくさい曲じゃなくて、stayin' alive、I Feel Good、Purple Hazeなどなど。すげえ若い。そしてそれを本当に楽しそうに歌う。ああなんかもうテクニックとか誰に勝るとか恥ずかしいとか、音楽ってそういうことじゃなかった。音楽やってる人は、ゼッタイ見て欲しいです。この映画から見えてくる、いい歳の取り方は「”自分”から開放されていくと、自由になれる」ってことなのかもなあ。ここに出てくる人生の先輩たちは、もっと大きな力学で生きているように見えました。
マイ・インターン
2015年公開
監督:ナンシー・マイヤーズ
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新進気鋭の女性ベンチャー社長の元に、70歳のシニアインターンが就くお話し。ほっこりな2時間。「バランス」の話だなと個人的には思って、人にとって、自分にとって、その時その時必要なバランスの形は違うけど、それがどうしても望ましい形で保てなかったり、そもそも見失ってしまうことは誰しもあるわけで。そういうときに人とのつながりをどのように大切にしたらいいかっていう、ヒントをいただいた気がしました。人は長い時間を生きれば生きるほどついつい、自分の価値観の凸と凹が強化強調されていきがちだと思うのですが、あんまりそればっかでもダメなのかもなあ。デ・ニーロおじいちゃんがナイスガイすぎる。ああいうお年寄りになりたいなれる気がしないw この映画から見えてくる、いい歳の取り方は「こだわりよりも、ラクであることの方が大事なこともある」ってことですかね。新しいことにチャレンジする柔軟さを持つ、ってことも、実は、そんな自分を許せるラクさなのかもしれないと思ったり。力を抜いた年の取り方をしたいもんです。
ビッグフィッシュ
2004年公開
監督:ティム・バートン
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御伽噺でしか自分のことを語らない父と、そんな父に不信感を抱く息子の邂逅のお話。いい話やなあ。いつも正しいことが最良とは限らない。本当に大切なことを、父親は伝えてくれたんだなあ。男親の息子に対する不器用な愛情を感じました。ティムバートンの割には現実的なストーリーだけど、彼が監督ってことも、お話の境目をあいまいにしていて、良かった。ええ話。この映画から見えてくる、いい歳の取り方は「例えわかってもらえなかったとしても、その人にこうしてあげたい、と思うことを見つけてやる」ってこと。若いと、わかってもらいたいじゃないですか。それってある種、自分より長く生きている人の方がいろんなことを許容してくれるに違いない、っていう、どこか、年長者への期待と甘えな気もして。でもおそらく、自分が年長者になると、自分より人生が短い人間が世の中に増えてくる。その時に、「お前もいずれわかるときがくる」じゃないですけど、そんな、みんながまだとおってない道をすごく先の方で歩いている感覚を、どうやって、やさしく筒んで人に押し付けず、若い人と関わっていくのが幸せなのか、考えたりしました。
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仕事柄、「若いということ」について、考える事が多いのですが、この問いは実は、老いについて考えることと裏表だったりします。「最近の若者のトレンド」を考えてその背景心理を言語化するのはなぜかというと、その当事者ではない「年長者にその現象を正しく理解してもらう」ためであって、伝える相手は老いの先にいる人なわけで。そうすると、考えるよね。嫌な大人もたくさんいるけど、素敵な大人もたくさんいる。その時に、双方から何を学ぶのかっていうのは、日常生活でもいくらでもできることではあります。だからこそ映画は、多少、誇張でもいいから、いい老いについて感じたいと思ってこの三本でございます。次点以下は、
・踊る大捜査線 (和久さん)
・ドライビングMissデイジー
・ベンジャミンバトン
・6歳のボクが大人になるまで
こんな感じですかね!
「歳をとる」のはなにもおじいちゃんだけの話ではないのですが、結果的におじいちゃんな3本になりました。ああ、いい老い方できるように日々、誠意をもっていきたいと思います…笑
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