本を手放す基準
読書好きの人間にとって、本の置き場というのは死活問題である。しばらく埋まらないだろうと思っていた買ったばかりの本棚は、毎月増える本によってあっという間にいっぱいになる。
仕方がないので本を売ったり捨てたりして手放すのだが、何を基準に手放すのか悩みどころだ。「面白さ」を基準にすると「面白くは無かったけど印象深い本」が出てきて、判断が難しくなる。「繰り返し読むかどうか」を基準にすると、私の場合は長編小説などを軒並み手放すことになる。しかも、読み終えた数年後にまた自分の中でブームが来て、繰り返し読むようになるなんてこともあるので、その時の判断に身を任せて手放すと、後悔する羽目になる。
そんな感じで、本を手放す基準というのは大きな悩みのタネであるが、このたび良い基準を見つけた。「人にオススメ出来るかどうか」だ。人にオススメ出来るというのは、それだけその本について語れるということであって、それは所持しておくのに充分な理由である。「最近読んだ本で面白かったのは?」という質問に「○○が良かったよ」と答えられる本。note等で書評が書ける本。ビブリオバトルで紹介したい本。紹介の仕方は何でも良い。人に良さを伝えたい本というのは、しばらく所持しておいて間違いないだろう。
そんな感じで手放すかどうかの判断を行っていたのだが、また新たなタイプの本が出てきた。「人にオススメ出来るわけではないが、手放したくない本」だ。内容を理解できずに良さを伝えられないが、何故だか取っておきたい本や、ぜひ読んで欲しいとまではいかないが、確実に自分の心に深く刻み込まれた本のことを言う。こういった類の本の登場により、私はまた深く悩むのであった。
そこまで悩むなら電子書籍で読めば良いじゃないかという声が聞こえてきそうだが、今はなんとなくそんな気がおきない。電子書籍だと人に貸したり紹介したりしにくくなるからだ。ちなみに、巻数が多い作品はたくさん場所を取るので、漫画に関しては電子書籍を取り入れているのだが、「人に紹介しやすい」という理由で、1巻だけ書店で購入し、2巻以降は電子書籍という形態を取っている。
結局は「手放したいかどうか」を基準にするしかないのかもしれない。ちなみに、「これはいらない」と悩むことなく思える本がまれに存在し、それは躊躇なく手放せる。不思議なものだ。