「そのときは5甘を食わせよう」常松結 2021/11/18
↑でかいPASMO。いやデザインはSuicaですね。マツキヨにありました。
・蒸気でホッとアイマスクを買った。
蒸気….?
・言うほど蒸気か? いや、不満があるわけでもアンチでもありません。使い方間違ってるのかな? もっと目の上で小籠包みたいになるかと思ってた。ラベンダースチーム。
・これ付けながら就寝すると、セルフSMプレイの途中で寝落ちしたみたいになるかな? いやそもそも危ないか。
・昼ご飯にCoCo壱へ行った。男性が多い気がする。気のせいか? 偶然か? ハテナばかりだなこの世は。
・メニューを見て、「5甘」という選択肢に気がついた。CoCo壱で一番甘くしてくれるらしい。甘いカレーって何だろう。気になる。どうせなら食べてみようと思い、
・普通にしました。
・勇気が出ず頼めなかった。あと恥ずかしかったのもある。店内は混雑しており、席へ座る前に注文をとる形式だった。すなわちサラリーマンの列に囲まれていたのだ。
・こうやって私はつまらない人生に落ち着いていくのだ。そうに決まってる。要らぬプライドと臆病さを抱え、ただ空を見上げて涙ぐむだけの人生。まだ挑戦していないという免罪符片手に、こんなんじゃないはずだと現状を嘆くしか脳のない豚。ちりからちりからつったっぽ。
・さらには、カレーの注文が”全部普通”という悲しさよ。ご飯の量も辛さも何もかも普通普通普通。「全部普通でよろしいですか?」と言う店員の言葉がこちらを責めている気さえする。「お客様の人生みたいですね」
・せめてもの抵抗に”ロースカツカレー”にしてみたが、一層情けない。注文の全てが本当にフォーマルならば”そういう人”になれる。「私は選んで普通にしているのだ」と宣言できる。しかしロースカツを頼んでしまったならもうダメだ。そこには華やかな人生への断ち切れない未練があり、振り切れない悲哀や惨めさが滲み出している。
・ロースカツカレー好きな人ごめんなさい。そんなこと思ってません。私も好き。
・リケちゃんと必殺技のようなものを考えた。お互いが前後からメリケンサックとロケランで殴りかかり、相手をZ型にしてしまうと言うものだ。Zアタック! 背骨よサヨナラ!
・最近は敵が少ない。昨夜はラッコ型一体だけだった。あいつらは小賢しくて嫌いです。ラッコって言っても見た目キモいし。あのカワイイ動物を想像しないで下さい。
・最初は鉄骨をブンブン振り回してきたんだけど、それだと私のロケランとぶつかったときに力負けすると気がついたらしい。そこで鉄骨をひしゃげて、ぐるぐると拳に巻きつけて、ファイターのようなポーズを取ってきた。殺意に溢れた鉄製ボクシンググローブ。途端に「しゃあ!」とリケちゃんのテンションが上がり、しばし1対1の殴り合いになった。私はロケランに腰掛けて観戦していた。
・リケちゃんが顎を狙ってパンチ。モロに受けたラッコがくらくら脳震盪。その隙にアッパーカットをスッコーン! するとラッコは衝撃で舌を噛み切って、ぺちゃ、とピンク色の肉がアスファルトへ落ちた。ナメクジみたいな肉の断面では血管や神経がささくれ立っていた。
・たちまちラッコは倒れ込んで、しばし痙攣すると、死んだ。千切れた舌の根元が喉に張り付いて窒息死したようだった。
・リケちゃんの勝ち。「見てましたー?」と彼女は子犬のように跳ねていた。整った白い顔が鮮血に塗れて、夜の街灯に照らされている。
・私に憧れている、と話していた。あなたのような魔法少女になりたい、と。
・正直ピンと来ないし照れるだけなのだが、まぁ、今度ロースカツカレーでも奢ってあげよう。いい子だし。
・蒸気でホッとアイマスクを付けたら何故か画面が見えなくなりました。不思議ですね。残念ながら日記はここまでです。読んでくれてありがとう。あなたくらいですよ読んでくれる人。
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