ヤマトタケル物語【隣のシグナス】《5.オトタチバナヒメの真実》
こんばんは! 守護神鑑定&占い◆白樺の騎士団・七庭(ななば)です。
今回は「ヤマトタケル物語【隣のシグナス】」の続きをお送りします!
前回のお話は下記をご覧ください。(第5話の冒頭にも簡単なあらすじをのせています)
↓第1話からお読みになりたい方はマガジンからどうぞ!
イラストは今回も川上ケイコさんにお願いしました!
素敵なイラストをありがとうございます(*^^*)
今回からヤマトタケル様の奥様・オトタチバナヒメ様が登場します!
是非ご覧ください♪
※この作品は私の創作神話です。無断転載、二次利用はご遠慮ください。(©︎2021 白樺の騎士団 七庭育)
◆形見の櫛
【前回までのあらすじ】再び草薙の剣を手にしたヤマトタケルはフレイと今後の旅について話し合っていた。彼らが次に向かう場所は…?
「まだ行ったことのない場所に行ってみたいな」
私がそう言うと、フレイはこんな提案をしてきた。
「じゃあとりあえず新しい土地を探しながら旅してみない? 僕の船で海の上を進んでいけば、きっとどこかにたどり着くと思うよ」
そういうわけで、私たちは尾張の国を出発して海に向かった。
「やっくん、あれは何?」
海岸に落ちているものをさして、フレイが言った。
「あれは…女性向けの櫛だよ」
「そうなんだ。…やっくん、どうかした?」
「櫛を見ていたら、妻のことを思い出したんだ。彼女は私を救うために自ら海に飛び込んで亡くなってしまった。その後、海岸に流れ着いた彼女の櫛を私は肌身離さず持ち歩いていたんだ。櫛は今もここにある」
私はそう言って、自分の胸元から妻の形見の櫛を取り出した。
妻の魂は今どこにあるのだろうか。
「その奥さんは、草薙の剣を管理してくれていた方とは別の方?」
「うん」
「そっか。君の国の皇族は何人かの女性と結婚するのが一般的なんだね」
「ああ。この櫛を持っていた妻は私の旅に同行してくれて献身的に私を支えてくれたんだ」
「そうなんだ…またどこかで彼女に会えるといいね」
「そうだな。フレイ、聞いてくれてありがとう」
フレイは私に微笑んでから、船を用意し始めた。
◆海の上での再会
フレイの船に乗り、私たちは新天地を目指した。
振り返ると、尾張の国がまだ小さく見えている。
私は船の上で先程フレイに見せた櫛を握りしめていた。
最愛の妻・オトタチバナヒメの櫛を。
「今すぐに彼女に会いたい」と私は強く思った。
「やっくん、ちょっといいかな?」
フレイに声をかけられ、私は顔を上げた。
「あれ何かな? 海面に何か浮かんでいるみたいなんだけど」
海の上を見ると、桃色の花びらのようなものがたくさん浮かんでいる場所があった。
「花びらかな? でも海の真ん中に花びらが浮かんでいるなんて妙だな…」
そう言いながら海を眺めていると、急に花びらが舞い上がった。
「!」
私たちは驚きつつも、そのまま海面を見つめ続けた。
不安や警戒心より、「何が起こるんだろう?」という好奇心の方が強かったのだ。
しばらくすると海の中から何者かが飛び出してくるのが見えた。
「えっ…⁈」
私は驚きのあまり、目を見張った。
「オトタチバナ…!」
私が叫ぶと、彼女は私に向かって微笑みかけた。
「ヤマトタケル様、お久しぶりです!」
海の中から現れたのは、なんと私の妻・オトタチバナヒメだったのだ。
◆花と海の女神
フレイの船の上で、私は妻とこれまでのことを語り合った。
「そうでしたか…長い旅の末に大和に帰ることができたのですね。本当にお疲れ様でした」
「諸国を平定できたのはお前がいてくれたおかげだ。本当にありがとう。そして…あのとき助けられなくて申し訳なかった」
「いいえ。あのとき私が海に身を投げたのは運命だったのですよ」
「それはどういうことだ?」
「私は元々、海の女神だったんです。そのことを思い出したのは、海に飛び込んだ後のことでした。地上の世界に転生する前に、海で生きていたときの記憶を封印していたので」
「そうだったのか…」
「海にいた私はずっと陸の世界に憧れていたんです。それで思いきって海の世界から飛び出した結果、あなたと巡り会えたんですよ」
そして妻は私の手を握ってこう言った。
「海からやって来た私が、海に帰っていったのは自然なことだったのですよ。だからどうかご自分を責めないでください」
「ありがとう。話してくれたおかげで心が少し軽くなったよ」
すると、どこからともなく鳥がやって来て妻の手に止まった。
嬉しそうに微笑む妻を見て、私も思わず笑顔になる。
「今は海の世界と陸の世界を行き来して暮らしているんです。故郷の海も好きだけど、やっぱり地上の世界もいいなあ。鳥がいてお花が咲いていて…」
「また一緒に花見に行こう」
「そうですね! せっかく再会できたことですし」
そして私は妻を抱き寄せてこう言った。
「今まで会えなかった分を取り戻すくらい一緒にいよう」
「…はい!」
私の言葉に、妻は顔を赤くしながら返事をした。
今回はここまでです!
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
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