「退職したい」職場の若手セラピスト。その理由に隠された3つのポイントとは?
ある日のお昼、20代前半のセラピストと話をしていました。
その方(Aさんとします)が「辞めようかな」とポロッと漏らしたのです。
いつも明るく元気なAさんは、患者さんにもスタッフにも愛される努力家。もちろんわたしもAさんと一緒に働くことに安心感がありました。
楽しく働いているように見えていたからこそ、突然の「辞めようかな」発言にびっくりしてしまいました。
この記事では、転職経験者であるわたしの視点から、
について解説しています。
「今の職場が合わないから退職したいな」
「ほかにいい職場があるかもしれない」
と悩んでいる方にも、読んでいただければ幸いです。
Aさんが転職したいと思った理由
退職する理由には、
業務がきつい
人間関係がストレス
給料が安い、休みが自由にとれない
職場や上司の考えについていけない
ほかにやりたいことができた
思っていた仕事と違った、やりたい仕事ができない
結婚や引っ越し、病気や介護などのプライベートの変化
などがあげられます。
「急にどうしたの?なにか辞めたい理由があるの?」と聞いてみたところ、Aさんの場合は
「理由は、特にないんですけど」
でした。
少し掘り下げて聞いてみると、
「皆さん、若いうちに転職する方が多いからわたしもそろそろした方がいいのかと思って。仕事は楽しいですが、自分のキャリアも増やしたいです」
ということでした。
理由から読みとれる3つのポイント
『理由がない』の底には自分でも気づかない思いがあるものです。
今回はそれを3つのポイントに分けて考えてみました。
①若いうちの転職が常識?
経験した年数が長くなると辞めにくい
経験が長くなり、知見が深まると責任の多い仕事を任されることは増えます。しかし、そのせいで辞めにくくなるとは限りません。長年勤めていても、あっさり退職に踏み切る方もいます。経験年数でなく、性格による影響が大きいでしょう。
経験5年前後で辞めている人が多い
これについて、以下の報告がされています。
経験が長いセラピストより、若手のセラピストの方が離職率が高いことがわかります。
また、給与面での待遇やライフスタイルの変化が要因として大きいようです。
今の職場しか知らない経歴に不安がある
これはわたしも当時悩みました。職場の退職者が多いと、自分が退職の波に乗り遅れている、悪質な環境に取り残されているような気になってくるのです。
ただ、その道に長年いて特化したスキルを身につけることも強みになります。
職場が変わればローカルルールも変わります。今の職場の常識が新しい職場で通じるとは限りません。
経歴だけが心配という理由で転職を行動することは、リスクになる可能性があります。
②環境を変えて新しい自分や可能性を見つけたい
働くフィールドを変えたいという理由は動機にも多いです。
入院担当でなく、地域リハビリや訪問リハビリをやってみたい
終末期リハビリでなく、急性期リハビリをやってみたい
今の職場でなく、新しい職場でないとできないことなのか考えてみましょう。
どんなキャリアを積みたいのか、何がしたいのかのイメージを持っていると退職する場合にも説得力ある理由になります。
③多少なり今の職場に不満がある
不満がまったくない職場は非常に珍しいでしょう。
ノルマがきつくて10年先のビジョンが描けない
有給休暇が取りにくい
時間外の勉強会が多い
年功序列の雰囲気がある
職場内の異動に応じたくない
通勤に時間がかかりすぎる など
実はAさんにもこういった不満が、一部ですがありました。
新しい職場ではすべてが解消されるとは限らず、別の不満が出てくる可能性も忘れてはいけません。転職活動は慎重におこなうべきでしょう。
転職する前にしておいた方がいいこと3つ
自慢ではありませんが、わたしには転職経験が4回あります。
だからこそ、『どの職場にも長所と短所がある』といえます。
実際、入職してみなければ細かい内部の事情はわかりません。知人がいれば情報をもらうことはできますが、転職したい先の職場においてもそれは同じです。
もし転職したくても、引き止めがあるでしょう。それに負けないほどの理由が必要です。
転職が視野にある方は以下のことを考えてみてください。
①自分のやりたいこと、なりたいモデルをイメージする
期限、場所などを含めた仕事のビジョンを考えてみましょう。それが職場内で達成できるかどうかも大切なポイントです。
②上司に相談する
悩んでいることについて検討できそうかどうか、相談してみましょう。
退職を考えていると伝えれば驚かせてしまうかもしれませんが、持っている考えや本気度を伝える必要はあります。
普段の会話や面談の中で、それとなく伝えておく方法もあります。
③信頼できる先輩や友人、知人に相談する
口が固く、中立の意見をしてくれる人がおすすめです。リハビリ職種の世間は狭く、すぐに噂は広まってしまうものです。相談する相手の交遊関係や役職も気にしておきましょう。
これをするだけで、『何となく転職したい』悩みからは逃れられます。
この3つがまだイメージできないうちは、急いで転職を考えるのでなくもう少し知見や考えを深めた方がよいでしょう。
もし、考えた上で『やっぱり退職しよう』と決めた場合は、相談ではなく退職に向けて手続きを進めるべきではないでしょうか。すでに気持ちが退職に向いているはずです。
まとめ
Aさんだけでなく、漠然と退職を考えることは誰にでもあります。
意識はしていなくても、おそらく自分の中に焦りや不満、未来への希望や迷いに対する答えがあるのでしょう。
Aさんが退職したいのは今すぐではないということだったので、もしその日が来るとしたらそのときまで、できるだけ長く楽しく仕事をしましょう、という話で終わりました。
退職するのはその人の意思であり、その人の人生はその人のものです。
戦力であるAさんを失うことは寂しく思いますし、職場にとっても痛手でしょう。わたしにできることがあるのなら、少しでも力になれたらいいなと思うのでした。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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