のぞえの自然
風のにおいがする。
暖かい。
鳥の声が聞こえる。
楽しそうに、桜の木のまわりを飛び交って遊んでいる。
見上げれば青水色の大空。
ふわりと白い雲が、青いキャンバスを彩る。
この病院の自然は静かで、優しい。
温かくて心が休まる。
私は今、病院のグラウンドで大空を眺めている。私のお気に入りの、木のベンチに腰を下ろして。
1月9日、私は鹿児島の病院から福岡県久留米市にある病院を紹介されて、入院した。初めの頃は寂しかった。テレビも新聞も、鹿児島とは違う。言葉のなまりも違った。鹿児島から来た私はひとり、病室でいっぱい泣いた。
入院して3ヶ月。
いろんなことがあった。
苦しみも悲しみも、つらさや寂しさもあった。でも私は、ここで感情を取り戻した。喜びや怒り、憂いや楽しみ…。心の奥底に眠った素直な感情がよみがえった。
私はうれしい。
空はすがすがしく、花は綺麗で、夕日の美しさに感動して涙が流れる。
生きていることを幸せに思う。
この自然に感謝したい。
ずっと私を支えてくれた両親と、病院のスタッフにも。
そして、私に言ってあげたい
「お帰りなさい、真穂ちゃん。」
( H15.4.16. 西日本新聞 紅皿)
のぞえ総合心療病院に初めて入院した時に、退院前に書いて初めて新聞に投稿したエッセイ。
のぞえの自然にどれほど助けられたことか...。
今も通院でお世話になっている病院。
院長先生がいなかったら、
今の私はいない。
命を助けていただいた病院。
建て替える前の「野添病院」の頃から今も勤務されているスタッフの方にも本当にお世話になった。
先日、
病院の前の敷地に『のぞえ牧場ギャロップ』がオープンして
ホースセラピーが始まった。
ニュースで見たかわいい馬たち。
早く会いたいな…。