沼袋に聞け
「ちょっと飲んで帰らない?」
何か話したいことや心のもやもやがあるときの、友人と私の合言葉。うん、と頷き沼袋のバルに吸い込まれた。
あの娘と喧嘩したとか、最近できたパン屋がおいしかったとか、彼氏と別れたとか、 アルバイト先にへんてこな常連がいるとか、休みは東北に行きたいとか、就活がうまくいかないとか。小さなバルで思い思いに言葉になる前の何かを吐き出した。
地球上でこの瞬間に、同じような悩みを同じような相手に吐露している人が何万人もいて、それは人類が何万回も繰り返してきたことだという事実が素敵だった。沼袋の小さなバルで、秘密を舐め合いながら何万人もの人と手をつなげる気がした。
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