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「やったら答え出るから!」”好き”に生きるアンティークショップ/Re:comeacross 中岡政文
本記事は、2023年6月26日にwebメディアYeastに投稿されたものです。現在と取材当時の状況は変わっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
なお、店舗情報についてはnote掲載時点での情報になります。
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ここは豊栄町のアンティークショップ「Re:come across」。
イギリス・フランスから買い付けた家具や雑貨を販売しています。
アンティークショップであり、古き良き家具を並べた宿泊施設でもあり、写真撮影などをするためのレンタルスペースでもあり、
実は私の大好きなアルバイト先でもあります。
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今回の取材には、私の中の大きな迷いを持って行きました。
就職か、起業か――
自分の進路は大学生活を通して大方決まってきたけれど、いざ本当にその選択肢で働き出そうとすると不安になったり。
起業して活き活きとお仕事をされている中岡さんなら何かヒントをくれるんじゃないか、そんな思いでお話を聞きに行きました。
それでは中岡さんのインタビュー、ぜひ最後までご覧ください。
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― ではさっそく。
中岡さんがお店を始めたきっかけを知りたいです!
アンティークはもともとお好きだったんでしょうか?
古いものに興味はあったよ。
東京で22歳からバンドをしたんだけど、それだけじゃ食べれんけん、仕入れた古着をネットで販売しとったんよ。
4年経ってバンドの芽が出なくて広島に帰ってきたけど、その時に妻が求人誌で廿日市のアンティークショップの店長募集を見つけてくれてね。
― じゃあ、アンティークはたまたま募集にひっかかったってことですか?
そうそうそう。妻が見つけてくれんかったらアンティークの道に進めとらんかった。
同時並行で、古着屋さんにも採用をもらってたんだけど、アンティークの方が楽しそうだなと思って。
二択でしたけど、アンティークの方へ行って正解でした!
― 正解でしたか!
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大正解!!妻に感謝です!
いいですよ。好きなことができる!
好きなことに集中してできるのがいい!
中岡さんの素敵な所はいつも楽しんでいらっしゃるところです。
こんなに自信を持って「今やってることが楽しいよ!」と言える大人になりたいと心から思います。
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本当にRe:come acrossは楽しいアルバイト先なんです。
社長の中岡さんはどんなふうに事業を展開してきたのでしょうか。
起業当初はね、撮影・デザイン・注文管理は全部僕が1人でやっとったんよ。
でもどんどん注文が増えてきて、処理できなくなってクレームになることもあって。
それで、従業員さん1人と一緒に働くことになって改善されて、お客様にもご満足いただけるようになってきたんよ。
今はスタッフさんも13名に増えて、スタッフさん一人一人の”好き”っていう力でいろんな事業展開ができています!本当に感謝しています。
最初はもちろん全部やった方がいいと思うけど、少しずつスタッフさんに任せた方がいいと思う。
― 自分がやっていることをひとに任せるタイミングって難しくないですか?
ずっと自分でその業務をやりたいんだったらやったらいいと思うよ。
やりたいことは、ひとに任せる必要はないけど、僕はアンティークの持つ可能性でいろいろと事業を展開したいと思うから。
いろんなことに手をつけとったら全部が中途半端になるから、次にやりたいことができたタイミングで信用できるスタッフさんに任せるかな。
― なるほど!
したいことはどんどん浮かんでくるんですか?
浮かんでくる!浮かんで来たら全部やる!
― なんでいっぱい浮かんでくるんですかね?
癖だと思う!
浮かんだらすぐにやるっていう癖!
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いろいろ市場調査とかする前に、とにかくやる!!
迷っているより従業員さんたちと一緒にやったほうが早いから。
違うと思った時にはすぐにやめればいいし。
― 怖くないんですか?
全然怖くない。
― なんで怖くないんですか?
やらん方が怖い!
― こわい!?
やらずにずっと悶々としてても先に進めん。
いろいろと事業を進める中で、これは楽しくないなぁと思ったときはすぐにやめる。
そしたらもう、やってみたかったことに気持ちが残らんのよ。
東京でバンドをしていた時、反対する方もいたけど、挑戦してよかったよ!
挑戦してなかったら今でも、「プロになれたかも!」って思ってたかもしれないけど、やってみたからこそ音楽のセンスが無いことに気付けて、次のステップのアンティークに進めたんよ。
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― 自分の中で、続けるか、手を引くかの決め手ってあるんですか?
あ~、それはね、バンドの時は自分の中で5年って決めてた。
その時が来たから帰ります、みたいな。
― すごいですね。東京でバンドをするって、行くのにも帰るのにも勇気が必要そうなのに。
そうじゃね。それができた理由は、親父の死かもしれん。
高校の時に親父が亡くなってね、母親を1人にしとくのもなと思って地元で2年間社会人をしたんよね。
でもずーっと心に「ああ、もう俺バンドしたいのにな」って思いがあって。
人のせいにするのも嫌だったし、だったらまずやってみようと思って。脱サラして東京に行った。
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― だからこそ自分で決めたことを、自分の決めた区切りでやったんですね。
そうそうそう。東京にいる間はもうずっとバンドばっかりやってた。
― かっこいいですね!打ち込めるものがあるって。
何かをする前って、やり方とか、そもそもやるかどうかで迷ってしまいます。
やったほうが簡単だと思うよ。
― ほんとですか?
本当に。やったほうが簡単!やった方が楽しい!
すぐにいいか悪いかわかるしね。
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うちにもね、コロナ前には起業の話を聞きにいろんな方がいらっしゃったんよ。
たくさんの方とお話したけど、実際に起業してる方は3人しかおられんかったんよ。
― なんでやめちゃうんでしょうね。
いや、やめる前にやってないと思うよ。
専門的なアドバイスは僕にはできないから、僕は話を伺うだけ。あとは本人がやるかやらんかだけだと思う。それしかないかな。
― 話を聞きにきた方は「起業してる人ならやり方を知ってるかも!」と思って来られるんでしょうね。怖いときって、答えを知りたくなるから。
(今の私もそんな気持ち……)
でも、それ、やったら答え出るから!(笑)
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そう!やったらヒントが出るから!
”好き!” ”おもしろそう!”という気持ちに素直に向かっていらっしゃる中岡さん。
思いはとってもシンプルで、このインタビューも最初から最後まで「やってみよう!」という勇気をいただく内容でした。
これからの「Re:come across」は、エッフェル塔の前での成人式の前撮りをプランニングするなど、古き良きものを使ってまた更に新しい事業を広げるそう。
「もう、この写真もぶち綺麗じゃろ?」って、そんな風に自分の仕事をあたりまえのように楽しく紹介している中岡さん。
どんどんやってみて、本当にやりたいことだけが手元に残って、ずっとこの先も楽しく仕事をされているんだろうと思いました。
住所:〒739-2313 広島県東広島市豊栄町清武369
営業日:毎月ホームページからご覧いただけます。(完全予約制)
連絡先:082-401-4050
聞き手:ひかりん 写真:あゆ 編集:あかりん
ライターだより
やりたいことがある時、「やりたいんだけど…」なんて、気付いたらやらない理由を探していることがあります。それは失敗が怖いからなのか、負けるのが怖いからなのか。
私もいくつかの選択肢の中で答えを出さずに迷っていましたが、心が一番ときめく方向に絞ってやってみると、悩みが晴れていきました。
中岡さんに取材しようと決めたときにはやりたいことは分かっていたはずです。
誰かのせいにできないし、自分で決めて、やる!!それだけです!!
これまでYeastでのライター活動を通して、憧れの大人と自分を照らし合わせていろんなことを考えてきました。私はこの記事を最後に、これからは東広島市の作り手側になろうと思っています。これまで地域での活動やこの記事を通して見守っていただいた方に本当に感謝しています。ありがとうございました!これからもよろしくお願いいたします!
編集だより
初めましての瞬間から、中岡様のやわらかさとパキっとした芯のようなものを感じました。取材のあとには心がすっきりとしていて、帰り道の春風がとても心地よかったことを覚えています。なにかに挑戦するときに読み返したい記事になりました。
カメラマンだより
「やると決めたことをやる」のは私にとってとても難しいことのような気がしていて、それを明るく笑顔で、「それだけですよ〜!」と言い切る中岡さんの言葉がただ、ただかっこいいです。ライターのひかりんと中岡さんの関係性だからこそ、柔らかい雰囲気の取材でした。2人のインタビューを撮影できて嬉しかったです。