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酒蔵通り、灯りのともるあったかいコーヒー屋さん / くぐり門珈琲店 末吉江美

※本記事は、2020年3月2日にwebメディアYeastに投稿されたものです。現在と取材当時の状況は変わっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
なお、店舗情報についてはnote掲載時点での情報になります。


ほのかに酒の香りが漂う通りを歩くと、暖かいオレンジ色の灯りがついた店があります。 
「くぐり門珈琲店」これがこのお店の名前。 
余談ですが私のバイト先です。

そして今回お話をうかがったのはくぐり門珈琲店の店長、末吉江美さんです。 
このお店は、瀬戸内焙煎倶楽部合同会社という会社が運営しています。役員の多くが青年会議所を卒業したメンバーで、代表の「会社として成り立ち、さらに地域に貢献できたら」という想いからつくられた会社だそうです。

実は末吉さん、店を始めたころは特別コーヒーが好きだというわけではなかったそう。 
ではなぜこの店の店長になったのでしょうか。 

ひとを繋ぐためのコーヒー


― このお店の店長をして長いんですか?

実は、ここの店長になる前に空港の隣にあるエアポートホテルで18年働いてたんです。 

― ホテルで!?

本当はエアポートホテルの総支配人になるのが夢だったの。 
でも経営者が変わって今までと全く違う考え方の総支配人が来られて…… 色々考えた結果、退職したんです。

そのタイミングで店長をやってみない?って声をかけてもらって。それでこの店の店長になりました。 

― 以前からコーヒーが好きだったとかでは… …。

それよく聞かれるんですけどそうじゃないんです(笑) 

― えぇ!!(笑) 

私、コーヒーじゃなくってひとが好きなので、ここならもっと関わりを持てると思いました。
前の職もひとと関わる仕事だったので、そのときに築かせていただいたお客様との関係は崩したくないと思ったんです。

― 店長にとってこの店はひとと関わるための一種の手段みたいなものですか? 

そうですね。たくさんのひとと関わり続けたいっていうのがありますね。その中で色々なことを知れるから。 

しんどいことから得るもの


― しんどいこととかもありますか? 

ありますよ!(笑) 
でも人間ってね、しんどいことがあるから人生きっと楽しいんじゃないかな。 神様って、その人が超えられる壁の高さを知ってるの。だから超えられない困難は絶対ないって私は思うのよね。

― なるほど。私はしんどいことに対するそういった前向きな考えはなかったので、その発想は面白いですね !
  じゃあ今まで店長が一番しんどかったことって何ですか?

つらかったことね…あまり覚えてないかも(笑)
つらいことって一度越えてしまうと忘れちゃうから。
でも越えるためには努力しないとだめよ。やったらやった分しか成果は出ないんだから。

― たしかに。 

だからこれからいろいろあると思うけど絶対逃げちゃだめよ。

― はい。

大丈夫、あなた怒られてるけど逃げてないから。 

― あぁ、まあいろいろやらかしましたけどね……(笑) 

いいことと悪いこと、はっきりと教えてくれる店長


― ひととの関わりってそれなりにめんどくさいこともあると思うんです。少なくとも私はそう思っていて。
  ひととの関わりを持つ中で、面倒だなと思ったことと良かったことってありますか?

そうね.…..例えば飲みの席とかあるじゃない?それが毎日続くと結構しんどいのね。
でもいろんな情報をもらえることはすごくいいことだと思わない?もちろん今の自分には必要じゃないと思うようなこともあるけど、それは後から振り分けたらいいと思うの。
せっかくひとがいるところに行くんだもの、何か一つでも得るものを見つけなきゃね。

― 得るもの。

うん。「あの料理おいしかった」だけでもいいと思う。話は面倒だったけどご飯はおいしかったから良しとしよう、みたいに(笑) 
関わりの中で何か一つでも良かったと思えることを見つけるようにすれば、ひととの関わりも少し良くなるんじゃないかな、とは思いますね。 

― 逆に、お店をやってて楽しいと思うときはありますか?

毎日ですね。毎日。ここにお客さんが来てくれていろんな話をしてくれたり、何もなくてもお店に寄ってくれる方もいたりして。
このお店を憩いの場だと思ってもらえるのは、やっぱりうれしいよね。 

ここはレジ机。隣にある小さなテーブルで常連さんたちとよくお喋りしています。


― このお店って、店員さんとお客さんとの距離が近くていいなって働いててすごく思います。常連さんもそうでない人も話しかけてくれるんで。こういうカフェって、なかなかないんじゃないかなと思います。 

現代ってセルフサービスに慣れてる人が多いかもしれないけど、私が育ったころはフルサービスが大半なの。だからお冷は店員さんに注いでほしいし、オーダーもお客さんに合わせてきちんと聞いてほしいと思う。
そういう行程の中で「お元気でしたか」のような小さな会話ができるのは、幸せなことよね。


お店を出ると、あたりはすっかり暗くなっていて店内の灯りが私たちを優しく見送ってくれました。 
こうして取材を終えた私たちは酒蔵通りを通って帰路につきます。 

この灯りの色は、このお店にぴったりだなぁ 
そんなことを考えながら。



西条 くぐり門珈琲店
営業時間:10:00~17:00 ※二階のカフェは常時16:30で閉店です。
定休日:火曜日  ※ネットショップは24時間受付
住所:〒739-0011 広島県東広島市西条本町17-1
TEL:082-426-3005 FAX:082-426-3006
Facebookアカウント:@kugurimon
ホームページ:http://kugurimon.com/


聞き手:ほのぴー 写真:ムロ 編集:しゅるしゅる

ライターだより
初めての取材にも関わらず、終始和やかなムードで取材ができ、とても楽しかったです。
取材中にいただいたコーヒーもとても美味しくて。 店長、これからも色々学ばせてください。 読んでくださった皆さん、ぜひくぐり門珈琲店にお越しください。

カメラマンだより
カメラマンとして二回目の取材でした。
くぐり門珈琲店さんの落ち着く雰囲気でとても温かい写真が撮れました。また、末吉さんの人と話すのが大好きで人を育てるという面でもすごく共感を得ることができた機会でした。また、足を運んでみたいです。

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