
「思いをかたちづくる」/ R FLOWER 山岡 味加
※本記事は、2018年11月5日にwebメディアYeastに投稿されたものです。現在と取材当時の状況は変わっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
なお、店舗情報についてはnote掲載時点での情報になります。
赤い。
よりも赤っぽい。

酒蔵通り近くにある、ちいさな花屋さん。
偶然にも、みどりビルという建物の名前の通り、店の前にはみどりがいっぱい。
店内にはめずらしい花も多くおいてあり、器からインテリアまで、あちこちに店主のセンスが光っている。
「何色かわかんない、ぼーっとした色とか。なんの花かわかんないのとか。好きよ。」
R FLOWER店長の山岡味加さん。

取材した日はお盆前で、店内には菊や榊(サカキ)が多くあった。
「今は菊なんて置かない、盆なんてっていうお花屋さんもたくさんあるよ。若い人ばっかりで、ちょっと洒落た感じの店にはあれなのかもしれんけど、うちはやっぱりいつまでも菊は置いときたいなって。」

お店には小さな子どもから小菊一本を買うために押しぐるまを押してきてくれるおばあちゃんまで。
前の職場だった、生け花専門のお店からの付き合いも続いているという。
お店を開いたばかりの頃は100あったら90は生け花のお仕事だったそう。
「生け花のお客さんがいてくれたからこそ今がある。これからも大切にしたいなあと思うよ。」

毎年記念日に花を頼むお客さんも多い。
私はというと、Rflowerさんを知ってから、贈り物の選択肢に「花」ができた。
花を贈るひと、もらうひと、その間の花屋さん
どんなときに渡す花なのか、どんなひとに贈るのかを伝える。
大好きな先輩の誕生日で…
なんとなく濃い色のイメージで、芯の強い感じ…
私の頭の中にはそのひとがいる。
なんならそのひとはにっこりしている。
そして作ってもらった花束を見て、私もにっこりする。
なんとなく、をなんとなく共有できるってとても貴重だ。
日常会話によくある、
「あれ。今日あれに行ってきたよ。」
「あれに!いいなあ。」
のような「あれ」会話も、実の姉でさえ成り立たないのに。

おめでとうに、さようなら、ありがとう、特別な日でなくてもいい。
心がジーンと感動しているとき、それを言葉で説明することは難しい。
とてもとてもお世話になって感謝しているひとに、絞り出して考えても、言えるのは「ありがとう」だけだったりする。
しかし、どんなに難しい言葉を使っても、言葉を重ねても、きっと満足しない。
はっきり表現するのではなく、
「〜ぽい」、「〜みたいな」
といったあやふやな言葉がしっくりくる。
そういう所に、花がいてくれるような気がする。

お客さんたちはそういう部分を
「なんかいいよね。私好きよ。」と言える味加さんの花に託しているような気がしてならない。

任せると任される
今はネットで花を仕入れる花屋さんも多いそう。
しかし味加さんはいつも、なるべく早く市場に行って、自分の目で見て、触って、花を選んでいる。
私生活でも「買う」ことについての考えは基本的に同じだそう。
「できることなら、やっぱりお店に行きたい。
行って買えるもんなら、そのひとと話して買いたいよね。」
「あげる人も、もらう人も喜んでくれたら嬉しいね。」
これはこの店で買いたい。
というのは、値段の問題ではなく、
「この人に任せたいから」という理由があると思う。
「例えば、enさん (R FLOWERさんのお隣の雑貨屋さん) のところに、ネットなら10種類あるもののうち、3種類しかないとしても、enさんが選んだんならそれでいいや、みたいなね。」
街にはたくさんの店があって、それを巡るのは楽しい。
実際行ってみないと、きっと同じような店がたくさんあるな、で終わってしまう。
一つ一つを見ると、そこは誰かにとってはいつもの花屋、いつものお店の人だったりすることに気づく。
大事な日に、「今年もお花よろしくね。」
何でもない日にも「玄関におくのにいい花ある?」
住んでいる街に、そういうお店ができるって、なんか、いいなあと思った。

味加さんは忘れっぽい。
スタッフのえみさん曰く、
「三歩歩いたら忘れるニワトリですね…店長って。」
こないだはカオルンだった。
カオリンはまた花を頼みに行きます。
少しずつ。少しずつ。
R FLOWER
住所:〒739-0012 東広島市西条朝日町1-14みどりビル1F
Tel:082-422-3360
営業時間:9:00〜17:00(定休日:日曜日,第2・第3水曜日,祝日)
instagram:rflower__
聞き手:かおりん 写真:しゅるしゅる 編集:みやさこ
ライターだより
ピンクッションという花があった。
針仕事お伴のそれだ。
今度もあったら、ぜひ家でつついてみたい。
カメラマンだより
R FLOWERさんのお花たちは、自分の生活に優しく寄り添ってくれるようなものが多かったと思う。インタビューのあと、私も一つドライフラワーを買った。特別じゃなくても、日々を大切に過ごすことの素敵さを教えてくれた気がする。
