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放課後まほらbo第十七話 「危険な遊び」が、子どもを伸ばす?
放課後まほらboでは、「遊びは、最高の学び!」の構造化をすすめ、遊びを科学することで、なぜ「危険な遊び」が子どもを伸ばすのかを探究し、その効果について考えます。
【第十七話】
■危険な遊びの仕組み
「危ないから、やめなさい!」
ほとんどの大人、特に親は、身に覚えのある言葉でしょう。
実際、子どもたちといると、この言葉の必要な場面に幾度も遭遇します。問題なのは、この言葉が口癖になってしまうことです。
「危ないから、やめなさい!」という時に、少し考えてみてください。
いったいなぜ、子どもは高いところに登ったり、飛び降りたりしたがるのでしょうか。
それは大人から見ると、不合理でまったく意味のない行動に見えます。
子どもは、成長に合わせて身体能力が高まります。
突然、速く走ってみたり、スキップをしたり、ジャンプをしてみたりと遊びや普段の生活の中で目撃します。冒険キャンプに来ていた男の子が「ねぇ、無駄にエネルギー使っていい?」と尋ねたかと思うと、いきなり走り出して向かいの階段を駆け上がり、折り返して、一段飛ばしで駆け下り、私の足元にスライディングをして戻ってきました。その様子を私がニコニコ見ていると、「時々したくなるねん」と言うものですから、「それが無駄にエネルギーを使うことなの?」と聞くと、「家で、お父さんにそう言われる」と言うのです。
■危険な遊びへの対処
放課後の子どもたちの指導場面では「危ないから、やめなさい!」は、最後の言葉とするようにしていました。他者に危害が及んだり、本人に大きな危険が考えられたりする場合ですが、それについても予見の段階で言葉かけをします。例えば、「周りに人がいるよ」とか「それは相当痛いかも」といった具体的な情報提供をするのですが、それは夢中になっている子どもに欠けている視点である場合が多いからなのです。
子どもにとって、自分自身の身体能力やスキルを日頃から試しておくことは大切なことですし、子どもの挑戦する気持ちを育てることは意欲の向上にもつながります。危険な遊びとは、その極みでもあるのです。スピードに挑戦する、屋根から飛び降りる、高い木に登る、細い橋を渡る、火を燃やす、1人で探検する、刃物など危ない道具を使う、など「危険な遊びの要素」は以前も紹介しました。危険な遊びをコントロール出来る事で、子どもは大好きな「自由」をも獲得します。恐怖心からの自由と同時に、親のコントロールからの自由です。
■危険な遊びの活用
危険な遊びは、挑戦する気持ちを育て、恐怖をコントロールし、「大丈夫、自分はできる」と励まし、危険を制御する方法を覚えることにも繋がります。つまり荒ぶる心を抑え、自信を育み、自己制御することで情緒の安定にもつながるのです。しかし、大人は目の当たりにしてしまうと、「危ないから、やめなさい!」と、つい言ってしまいそうになります。この重要なせっかくの成長の機会を逃してしまうのです。しかも、我が子の自立を望んでいるにも関わらず、子どもを支配下に置いて。一体どうすればいいのでしょうか。
その場合は、「予見」が大切です。予見には、子どもの状態をよく知っていること、いまの行動をよく観察し先がある程度読めていること、が必要となります。それが出来なければ、ある程度の怪我を覚悟して「見ない」ことです。子どもは、自分自身で切り拓いていくことがほとんどだからです。
危険な遊びが、なかまを意識させ、身体能力を高め、感性をするどく磨くのを助けます。高い木登りの挑戦、急降下するターザンロープ、池を回るイカダ遊び、なかまとしての成長を遂げる瞬間を何度も目撃してきて思うことです。
放課後まほらboでは、危険な遊びを安全に楽しめる冒険教室プログラムを準備しています。
次回は、「冒険と創造性」について考えたいと思います。
では。
(みやけ もとゆき/もっちゃん)