【3】step9 集めてきた声の意味を探る
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
■ 前回までの配信
第3章 「やりがい」をみつける
自分たちが没頭できるやりがいをみつけてみよう!
Step9:集めてきた声の意味を探る
健人の空腹が限界になり、2人は駅前のハンバーガーショップで夕食を食べることにした。
偶然にもその席から 東京じゅーすが見えたので、2人でお店を眺めながら、あれこれ話しながらハンバーガーやポテトを食べ終えた。
健人「しかしすごい濃厚な2日間だよな〜。今日聞いた話もメモはしてあるけど、ここで一旦これまでの流れをまとめておきたいよね。疲れたけど。」
爽太「疲れたね〜。それ、今思ってた。迷いどころだけど、やっちゃおう。せっかくいろいろな人の声が聞けたし、健人の家でやっていたことの続きを僕の家でもやろう!ちょうど両親は外出してるみたいだし。」
家族のグループLINEを見ながら爽太が言った。
健人「OK!」
2人は帰り道に100円ショップに寄ってポストイットを購入し、爽太の家に戻った。帰宅すると、昼間ミックスジュースをつくっていたダイニングにポストイットを出し、今日聞いた話を書き出した。
爽太「僕らもはじめにミックスジュースを飲んだ時に思ったけど、やっぱり『健康』なイメージはあるみたいだね。」
健人「それさ・・・さっきハンバーガーを食べながら東京じゅーすのホームページを見てて思ったんだけど。たしかにページには『健康志向の方へ』って書いてあるんだけど、僕らのメモをちゃんと読んでみると、駅前の東京じゅーすでジュースを買う人は、本当にみんな身体にいいと思って買ってるのかな?」
爽太「東京じゅーすはフレッシュを売りにしてるけど、本当にそれを求めてみんな買っているのかってことだよね。たしかに、身体に良さそう〜と言ってる人はいたけど、実際に身体にいいかはわからないって言ってたもんな。」
健人「そうそう、この前会った兄さんがさ、またLINEでヒントくれたんだよね。『得られた事実と、その解釈はしっかりと分けると何か見えるかもしれない』ぞって。」
健人は兄のモノマネをしながらLINEのアドバイスを読んだ。
爽太「健人、お兄さんのモノマネ上手い(笑)えっと、事実と解釈?それって何?」
健人「兄さんが例を挙げてくれてる。こんな感じ。」
健人は爽太にスマホに映る兄のメモを見せた。そのメモを参考にしながら、自分たちのメモも事実と解釈に分類してみた。
ーーー 事実と解釈を整理中 ーーー
たくさんのポストイットとノートに書いたメモからシンプルに整理すると、意外なほどわかりやすく自分たちの置かれている状況が見えてきた。
なんだかミックスジュースを売っている現場にちょっとした違和感が生まれてきたのだ。
爽太「んー。なるほどなぁ。こうやってみると何かうっすらとした疑問が湧き出てきた気がするね。‥なんていうか、世の中で売られているミックスジュースは本当に体に良いのかなって。なんか真実に迫る、ジャーナリストになったみたい!」
健人「たしかにそんな違和感があるかも。でも、さすがにお店に直接、『フレッシュなんですか?』なんて聞けないしねぇ。」
ガチャっと玄関のドアが開く音がした。姉の結愛が帰ってきたようだ。
ダイニングの扉をあけると、疲れた様子の姉が入ってきた。
結愛「バイト終わった~疲れた~」
爽太「姉ちゃんお帰り~おつかれさま!」
健人「またお邪魔してます〜」
結愛はテーブルの上に置いてある東京じゅーすの空いたカップに気づいたようだった。
結愛「あ、昼間話してた東京じゅーすへ行ってきたんだね!そういえば、わたしの友だちがそこでバイト始めたんだよね」
結愛はそう言いながらダイニングの椅子に腰掛けた。
爽太「え、そうなの?!」
結愛「そうそう。行ってみてどうだった?美味しいよね〜あそこのジュース!」
爽太「うん、美味しかった。これまで何度もお店の前を通ってたはずなのに、全然気づかなかったよ。
昼間にミックスジュースをつくってたじゃない。それで、実際にジュースを販売している東京じゅーすへ行って、どんな人が買っているのかヒアリングしてきたんだよ」
結愛「えー!なに!なんかすごいことしてるじゃん!なんでそんなことしてるの?」
健人「ぼくたち東京じゅーすを超えるミックスジュースを作りたいって思っているんですけど、まだ自分たちの理想のミックスジュースが思い描けていなくて。
なので、実際に買っている人たちがどんなものを求めて買っているのか知りたかったんですよね」
結愛「へー、市場調査みたいなものか~。たしか学校の授業で同じようなことやったことあるよ。その時はね、カスタマー・ジャーニーってのを作ったら一気にわかりやすくなったなぁ。」
爽太「カスタマー・ジャーニー?」
さっそく健人がスマホで調べてみた。
健人「あ、本当だ。結構いろんな事例が出てるし、なんか書けそうな気がする!」
結愛「そうそう。もしよかったら2人も調べて描いてみたら?意外と簡単だったよ。じゃ、私はここで。また美味しいものができたら教えて〜」
そう言って、結愛は部屋に戻って行った。
爽太「よし!どこかに模造紙があったからポストイットと模造紙を使って、カスタマー・ジャーニーを描いてみよう!!」
健人「そうだね。面白くなってきた。」
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