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【10】step35 ビジネスを進めるための決断をする(1)
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
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■ 前回までの配信
第10章 「やる」のか決める
どうしたいのかを決めよう!新しいことについて「意思決定」してみよう!
step35 ビジネスを進めるための決断をする(1)
蓮人のオフィスの一室を借りて、爽太と健人、詩と舜は4人で少しじっくりと話し合った。今後のこともあるため、自分たちが将来、どうしていきたいのかにも関わってくる。
ボロボロになったスケッチブックを見返したり、テスト販売をした時のお客さんの感想、スマホに入っているたくさんのお客さんの笑顔も眺めながらそれぞれの思いを話していた。
コンコン。
音がして振り返ると、蓮人とジョンが部屋にやってきてくれた。
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蓮人「随分と慎重に話をしていて、高校生ながら、本当に君たちは素敵な経営チームだね。感情やノリに流されずにきっとこの先をどうしたいか、をしっかり考えようとしている。たぶん、、、今日は結論が出ないんじゃないかな。」
時計をみてギョッとした。もう話初めて1時間半も経っていたのか。
ジョン「これは、関わってくれて応援してくれたパパやファミリー、そして協力者の皆さん、なにより美味しいって言ってくれるファンの皆さんにとって、大事な決断。でもそれ以上に、この4人にとってもっと大事な決断。一旦、解散をして一人一人、このジュース屋さんにどう向き合っていきたいのか、を考えるのもいいんじゃないかな?」
確かに。僕たちは、このあと、大きな決断をする。このジュース屋を維持するのか。世界にまで大きくするような大きな会社にしていくのか。10店舗くらいでそこそこ自慢できる会社を作るのか。
僕たちは、信頼しているメンバーだからこそ、どこかみんなの顔色をみながら話している。でも、今は、自分との対話が一番大事なのかもしれない。正直、自分が本当にどうしたいのか、もっと自分に問いかける時間が欲しい。
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爽太「蓮人さん、ジョンさん、3日後にもう一度、ここに集まってもいいですか?」
蓮人「もちろんだよ。」
ジョン「オフコース!」
そうして僕たちは3日間、思い思いのことを考えながら大きな決断に向けて考えを深めていった。
2日間は敢えて4人での会話はせずに一人一人が自分の考えに向き合う時間を取ることに決めた。あとは、話したい相談相手にたくさん相談をする時間が欲しい。
健人は、当然兄に。そして父に。兄の知り合いの若手経営者にも話を聞きにいっていたみたいだ。爽太は父に。そして、姉の知り合いの駅前のジュース屋さんのバイトの友人にもう一度、話を聞かせてもらった。舜は、兄と姉だけでなく、アプリ開発を中心に最近独立した憧れの人にもイベントに出かけて声をかけ色々相談したみたい。詩は、すっかり本物の姉のように仲良くなった葵にたくさん相談していたみたいだし、ヨガ仲間で料理教室をやっている人やヨガインストラクターで起業をしている先生にも相談をしたみたいだ。
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2日間という短い時間だったけど、とにかくみんなたくさんの人たちの話を聞きまくっていた。そしてたくさん自分と対話をした。何をしたいのか、何がやりたいのか。どういう決断をすればいいのか。そして、2日目の夜、4人のLINEグループに、健人から「考えたんだけど…」というポストが共有された。そこからは堰を切ったかのように2日間でそれぞれ自分が聞いたこと、話したこと、印象に残ったことなどが次々と共有されていく。
それはいつのまにか止まらない状態になり、とにかくいろんなことを話しまくった。耐えられなくなったのか、舜が通話に切り替えよう、と言い出し、そのまま4人で夜通しに近い形でたくさんのことを語り明かした。
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3日目の明け方、少し仮眠しないとな、今日は蓮人さんのところでミーティンだし、と思いながら、爽太は最後の決断に差し掛かっていることを実感した。ベットに寝転んでまどろみながら「僕が物語の主人公だったら‥本当にこの決断でいいのだろうか」と4人で結論に至った思いを最終確認する。
その時、ちょうどスマホの通知が入りスマホの画面が光った。ロック画面にしていた、父からもらったジューサーが目に入った。あの日、父が楽しそうにキッチンに立っていたことが思い出されて、思わず笑顔になる。肩の力が抜けた爽太は一気に眠りの中に落ちていった。
午後。仮眠を終えた4人は蓮人のオフィスに集まる。寝不足だけどみんなだるそうじゃない。むしろとってもすっきりした顔をしていた。
蓮人「どうかな?‥お、みんな決まった顔してるね。」
ジョン「ドキドキ!」
爽太「蓮人さん、ジョンさん、いや、お二人だけじゃなくてここの会社の皆様には本当にたくさんお世話になりました。ここまで本当にありがとうございました。高校生の僕たちにいろんなことを教えてくれて、体験させてもらって。父さんたちもだけどみんなが応援してくれて形になっていくことが本当に僕たちの宝物です。
(次回へ続く)
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