【7】step28 試作品を活かせるサービスの流れを考えよう
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
■ 前回までの配信
第7章 実行できるか「試す」
「ありがとう」と言ってもらえるものを提供できるか試してみよう!
step28 試作品を活かせるサービスの流れを考えよう
爽太は試作品のジュースの残りを紙コップに少しずつ入れて、パーティーでの試飲イベントを終えたみんなに配りはじめた。
健人「うん、これ、手前味噌だけど美味しい。よし、じゃ、いよいよ販売スタートをしたらいいのかな!?」
蓮人「いやいや。ちょっと待って。試作品は完成してきてると思うけど、ビジネスをするためにはしっかりとサービスを組み立てる必要があるんだよ。」
健人「サービスを組み立てる??って?」
蓮人「たとえば、ハンバーガーショップをイメージしてみて。ショップでバーガーを買おうとする時、健人は一体、どんな風に買う?」
爽太「ああ!そっか、たしかに。最近は無人レジで画面をタッチしながら注文したいバーガーを選んで、単品かセットで選んで、セットの場合は・・って続きますね。または、スマホアプリから注文したり。支払い方法や呼び出しの流れまで一連の仕組みになってる。」
健人「なるほどねー。そういうことか〜」
蓮人「そうそう。この流れのことをサービスプロセスっていうんだけどね、そのプロセスの中でわかりづらい部分がある時は、いくら実際の商品が魅力的であってもお客さんは購入をあきらめてしまったり、いいイメージを持ちづらいと言われているんだよね。だから、僕たちでいったら、ミックスジュースを買ってもらう前、ジュースを買った後、いろんな状況を踏まえて全てのことを考えて、そこまで含めて商品やサービスを考えるんだ。」
舜「あのー…。それって、たとえばアプリの設計みたいなことですか?」
蓮人「そうだね。それもこの話の範囲に入ってくるね。前に一度、爽太くんのお姉さんに教えてもらって、カスタマージャーニーってのを描いてみたんじゃなかったっけ?」
健人「あ〜、そうそう!そうだった。スマホに写真もあるし実物もあるよ。」
健人はそう言いながらこれまでのプロセスをまとめていたスケッチブックを取り出した。これまでの話やメモを集約していて、この夏から使い始めたのにもう既にボロボロなスケッチブックになっていた。ボロボロなのに、何故かそれがカッコいい風に見える。
爽太「そうだ、これこれ!たった数ヶ月前のことなのにだいぶ懐かしいなぁ‥」
蓮人「お、いいね。これはだいぶ大枠だけど・・考えるスタートとしては充分だよ。そしたらこれも見ながら、みんなでプロセスを考えよう。これをね、『サービス・ブループリント」と呼んでるんだ。」
詩「・・・?サービスブループリントってなんですか?」
蓮人が奥の部屋からホワイトボードを出してきた。
蓮人「サービスブループリントっていうのは、「サービスとしてお客さんに提供するプロセスをお客さん目線の(ユーザー)体験、サービス提供者(われわれ)側の動き、双方の動きを時系列で表したものだよ。レストランで言うと、お客様から見えているホール部分はあくまでも半分。後ろにはお客様には見えないけどキッチンや食糧庫、在庫がある。レジもあるし。そういうものを全部繋げて『美味しい食事を提供する』ってサービスを考えるようなものだね。」
蓮人はそういうと「サービスブループリント」と検索して出てきた画像を見せてくれた。
舜「へぇ〜〜面白そうですね!」
蓮人「舜くんはウェブに詳しいんだっけ?きっとこれからも必要になってくる知識だよ。一緒に考えてみよう」
舜「ありがとうございます!」
蓮人「そしたらまずは・・お客さん目線だね。メニューは1種類ということだけど、何かお客さんが注文時に必要なこと、確認することはあるかな?」
詩「そういえば、サイズはあるのかしら?SサイズとMサイズくらいはあってもいいんじゃないって思うけど‥」
爽太「そうだね。あんまり多くてもカップ等を用意しなくちゃいけないから、2種類にしよう。」
詩「甘さを調整できるのって大変かしら。アガペシロップの量を選べるようにして 甘め・控えめの2種類があってもいいかなって思うかな。」
爽太「それはいいね。ベリーの酸味も感じられる量か、しっかり甘めか。絶対姉ちゃんは甘め希望だろうな〜」
舜「いまスケッチブックを見てて思ったけど、このジュースって新鮮さも大切なんだよね?だとすると作ってから提供までにどのくらい経過しているのかっていう時間が注文時にわかるのもいいかのも。」
蓮人「いい着眼点だね。そうやって飲んでくれる人たちが『是非とも欲しい!』って思えるものが入っているとますますいいサービスになるんだ。そしたら作ってどのくらい経過しているか、あとは、注文して手に届くまでのおおよその提供時間がわかって、サイズと数量を選べるようなのがトップページかな。本来アプリの開発を外注するとなったら高額だけど、もし舜くんができるなら思い切ってアプリつくってみようか。勉強中のレベルでもAIをうまく使って教えてもらいながら制作したらそこそそイケてるアプリのテストサイトならできると思うよ。」
舜「うわぁ、やりたい。やります!」
舜は文字通り、腕を回す仕草をして鼻息荒く返事をした。爽太や健人、詩はいいね〜、と言いながらハイタッチして、みんなで拍手をした。
詩「いま、宅配注文するアプリで画面を見てみてるのだけど‥注文確認後、決済もできるといいのかしら」
蓮人「そうだね!今はデジタル決済が進んでるから・・ただ、ゆくゆくはあったほうがいいと思うけど、今回は対面で販売テストになると思うし今の所は現金購入でもいいかもね。」
舜「対面注文か・・そしたら、回転寿司やさんみたいにお客様番号と順番くらいがわかるといいでしょうか。」
蓮人は ボードにプロセスを描きながら、「バッチリだね。」と言った。
蓮人「詩ちゃん、舜くんと一緒に このプロセスを実際にアプリの画面にするとしたら・・どんな画面のイメージになるのかを描いてみてくれる?詩ちゃんのような人がターゲットだし、意見を聞きながらまとめられるといいかなと思う。」
はーい!と言って2人はボードの前で話し始めた。
蓮人「爽太くんと健人は、2人の画面の案を見ながら、お客さんの見えない裏側で必要なこともまとめておこう。いつのタイミングでジュースをつくり始めて、どう提供するのか?コーヒーショップの裏側の動きみたいなのをイメージしてもらえるとわかりやすいかな。誰が何役をやるかも考えよう。」
3人もまたボードに描きながら話し始めた。
葵「ちょっとブレイクしない?」
それぞれ1時間以上話し込んでいたところ、葵さんがみんなにお茶とアイスを差し入れてくれた。そのタイミングをきっかけに全員でこれまでの議論を共有した。
蓮人「いいね。バックヤードの動きも、お客さんに向けた仕様もイメージができてきたね。そしたら実際にサービスをテストしていく準備をしよう」
話し合いの末、サービスをテストしていく具体的なプロセスが細かく決まり、さらにテストを施行する日が決まった。
ちょうど10日後の週末に、詩のヨガ仲間が集まる予定があるそうだ。爽太の姉にも連絡したところ、この日は、姉も所属しているダンスサークルの集まりがあるそうだ。美容に興味のある友人にも声をかけてくれるという。少し歩いてもらうことにはなるがこれらの人たちを対象にして、爽太の家でサービステストをしようということになった。
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