【7】step26 ユーザーに満足してもらえる試作品を作り、試してみよう
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
■ 前回までの配信
第7章 実行できるか「試す」
「ありがとう」と言ってもらえるものを提供できるか試してみよう!
step26 ユーザーに満足してもらえる試作品を作り、試してみよう
健人と詩と舜の3人は汗だくになりながら爽太の家へ向かっていた。
駅からはそんなに遠くない10分ほどの道のりだけど、猛暑の中で坂道を登るのは高校生だといってもかなり堪える。
健人と舜は野菜と果物でいっぱいのスーパーの袋を持っていた。
駅前の百貨店系列のこだわりいっぱいの少し値段がお高めのスーパーに立ち寄り、試作品をつくるための野菜と果物をたくさん購入してきたのだった。
舜「いやぁ〜俺と健人だけだったら これら全部買い揃えられなかった自信があるよ…。」
健人「本当。ココナッツウォーターにマカパウダー、ピーナッツバターとアーモンドバター‥
さすがに知らないカタカナに、同じ日本人なのかとちょっと心がやられれかけたよ。」
詩「そうなのね(笑)買い物だけでも楽しかったな〜!これも葵さんと爽太パパの力を借りれたおかげね。どんなジュースができるんだろう」
ーーーー爽太の家、ピーンポーン
爽太「うっす!今日は朝からありがとう。わ、みんなもう汗だくだね。」
キッチンに入ると 爽太パパがジューサーを回していた。
准一「みんな、お疲れ様〜。ほら、いま ちょうどスイカジュースができたところだから飲んでごらん」
詩「わぁ〜〜嬉しい!!いただきます。」
舜「んー!効くー!染み渡る〜〜やっぱつくりたてのジュースってうまいなぁ〜〜。ありがとうございます。」
健人と舜が置いた買い物袋の中を覗き込みながら准一が腕まくりしながら中を見ている。
爽太「よし、みんな着いたばかりだけど、早速試作品をつくろう!」
爽太は少し前に葵が描いてくれたイラストを拡大したコピーを壁に貼り付けながら、個人用にもたくさんコピーしたものを健人に手渡して一人一人に配っていくようお願いした。
メンバーはさっそく3種類のジュースづくりに取り掛かっていく。
まずは、爽太と健人が詩や舜にそれぞれのジュースの方向性を説明しながら、中心となる具材を紹介していった。4人の後ろで准一がうんうんと頷きながら話を聞いている。
ピピピ・・・。テーブルに置いた健人のスマホがテレビ電話の着信を知らせる。
源人「お〜、みんな順調かい?そろそろ時間かなと思ったのだけどどうかな? あ、これはこれは爽太くんのお父さん。こちらから失礼します。いつもうちのがお世話になっています。」
お互いのパパ同士の挨拶が終わるとその流れで新しくメンバーに加わった詩と舜の紹介も済ませた。
源人「2人が入ってきてくれるなら、よりチーム感が増すねぇ。みんなの違いが一層チカラになる。」
健人「おぉー、違いがチカラになる・・って、いい言葉かも。父さん、ちょうど今から前回リストアップしていた3種類のジュースの食材を使って試飲してみようと思っていたんだ〜。」
准一「それぞれ3種類のジュースそれぞれ、”これは外せない”や、”中心に置いておこう”と思う必要最低限の具材を決めてみるところを手伝おうと思っています。」
源人は、別の会議の呼び出しに応えるためオンラインを一旦退出することになった。
准一にも手伝ってもらいながらそれぞれのジュースの基本となる具材、必要最低限の内容を決めていく。試行錯誤しながら、原材料となる材料が決まってきた。
健人は何の具材をどの順番で、どのくらいの量を入れていくのか、といった内容を細かくメモしていった。
准一「そしたらこの基本を少し取り分けて アレンジをして味を整えてみようか」
出来上がった基本のジュースをいくつかに取り分けて アレンジを始めた。
詩「うわぁ。なんかすごいね!少しバターやココアパウダーが入るだけで風味が全然違う。」
舜「なんか、理科の実験のようなことをしてる感じなんだな」
爽太「本当だね。色々飲みすぎて舌がそろそろおかしくなってきたよ。」
准一「試作品って考えると今この時、“美味しい”っていうのも大事なんだけども、製品ってことを意識したら、しばらく時間が経ってからの味や色が変わるのかも考えると良さそうだね」
ピピ・・。よほど心配なのか、健人のスマホがまた振動する。みんなで微笑みながら顔を見合わせる。健人はテレビ電話の着信の電話をとった。再び源人とオンラインでつながった健人は、現状の試作品の状況を説明した。
源人「ムフムフ。なるほど、爽太くんのお父さんもいらっしゃるおかげで試作品としては、充分な味の安心感があるようだね。そうだな・・もしそこまでの完成度なら、アレンジを重ねてみた中で自信があるものを一度テストして見るのが良いかもしれないねぇ。」
爽太「なるほど、とりあえず、ではなくて しっかりした試作品をつくるんですね。せっかくなら、我々のこと取り組みを一切知らない人なんかに試してみたい気もしますよね。」
源人「それはいい考えだね!‥うん、そうだな、これまでの君たちの議論を知らない人に飲んでもらって反応がもらえるってのはとてもいい考えだな。ちょうど、近々、この週末に私の家にお招きする人たちがいるから、その人たちに協力してもらってその機会は私が用意しよう。」
4人「えぇ!ありがとうございます!!」
そこで源人とのオンラインは終わり、週末までの残りの時間をつかってより一層、気合いを入れて3種類のジュースを仕上げていくことにした。週末までまだ3日間ある。
爽太「ねぇ、これって言ってみれば、初めての『お客さま』に試すってことだよね?」
残りの3人はテンションが上がっているのか、いつにも増して大きく頷いている。
爽太「せっかくならさ、ちょっと我々もプロっぽくやってみない??」
健人「プロっぽくってどうするのさ?制服着る??笑」
健人はおどけて、動画サイトで見るような料理対決のプロ料理人のような仕草を見せた。
詩「制服は大袈裟だけど、エプロンを揃えるくらいならできそうじゃない?安いエプロンをお揃いで買っておこうか。あ、あとジュースを入れる入れ物、、、はもう間に合わないけど、試飲用の小さなカップは用意する必要があるかもね。」
舜「あの…これ。実はさ、誘われたことがすごく嬉しくて声かけてもらった当日、夢中で作ってみたんだけど。」
舜はここぞとばかりスマホを取り出して画像を三人に見せた。そこには、よく見るとSUKS JUICE と書かれたロゴが写っている。健康的で、でも少し可愛い感じの今の我々にぴったりな丸っこいロゴのマークだった。
三人「いいじゃん!すげー!!かわいい!!」
健人「しかも、舜、センスよ!!!なにこれ。いつの間に作ったの。これをシールにして当日貼り付けようよ。SUKS…は僕たちの頭文字か!KISSみたいにKUSSにするはどうかな?」
このあとわいわい言いながらロゴについてひとしきり盛り上がり、一旦は ”KUSS JUICE” に修正するとしてデザイン案は舜が直してチャットで確認することとなった。
当日の細かな備品は詩が用意し、健人は家にあるものの確認、舜はロゴを頑張ってシールにしていくつか作ってくること、爽太は、説明や作るにあたっての想いやこだわりを台本にして作ってくる、という役割をそれぞれ持ち帰って、3日後に健人の家に集合する約束をした。
素人とはいえ、セミプロと言っても過言ではない准一に味の最終調整をサポートしてもらえたことは心強い。みんなは初めての人たちへの試作品のテストが楽しみになっていた。
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