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【3】step10 声にならない声・心の中の諦め(インサイト)がある?

この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。

■ 主な登場人物

爽太(SOUTA):物語の主人公。高校2年生。どこにでもいる普通の高校生(と本人は思っている)。社交的で素直。姉が1人いる。

健人(KENTO):爽太の友人。まわりから物知りだと知られている、穏やかな青年。経営者の父と大学院に行きながら起業した兄を持つビジネス一家で育つ。


■ 前回までの配信



第3章 「やりがい」をみつける
自分たちが没頭できるやりがいをみつけてみよう!


Step10:声にならない声・心の中の諦め(インサイト)がある?


爽太が持ってきた模造紙に、健人がポストイットを並べ出す。スマホで調べた事例をもとに、時間軸に沿ってミックスジュースを買いたい人たちが一体どんな行動をとっているのか、どんな感情になっているのかを書き出していった。

健人「これまでは”お客さんがジュースを買う”ってことしか頭になかったけど、こうやって考えてみると生活の中の一部としてサービスがあるのがよくわかるね」

十分に観察とヒアリングをしていたこともあってか、スラスラとジャーニーを描けることに2人はびっくりしながらも細かい部分も含めてカスタマー・ジャーニーを書いて行った。

ーーー カスタマー・ジャーニー作成中 ーーー

・フレッシュジュースを買いたい人のジャーニー:
出勤

猛烈に仕事

疲れて帰社

リフレッシュしたい

駅前ジュース屋

飲む

家に帰る

ユーザーとなる人たちが何を考えながらミックスジュースを買って飲んでいるのかを行動に沿ってまとめていく。どんな感情になるのか、そのときサービスはどんな形で提供されているのかも合わせて考えて行った。

健人「これ、実は僕たちのミックスジュースのこと考えるとさ、普通にお店で買っている人だけじゃなくて、実際には外では買っていないけど家で自分で作っている人たちも、お客さんになる可能性あるよね?」

爽太「それ、俺も同じこと考えてた。このジャーニーのこと、CJっていうらしい。ついでにこのままその人たちのCJも書いてみようよ。なんか略語とか話すと、一気にプロっぽいね。」

ーーー さらにカスタマー・ジャーニー作成中 ーーー

・自分でジュースを作っている人のジャーニー:
材料買う

ストック

寝る

飲む前日にジュース作る

ジュースは冷蔵保管

洗って片付ける

寝る

朝飲む


健人「なんかどれも引っかかるんだよなぁ〜。二つとも、すごくすっきりとミックスジュースにありつけてないっていうか。」

爽太「そうなんだよね。まず、作ってる人は『作るのに時間がかかったりするので飲みたい時に飲めない』という感じはあるよね。中には当日作れる人もいるけど、そんなに朝に余裕がある人ばかりじゃないし、日中の外出時に作れる環境もない。作りたてを飲める人って限られるんだなぁ。」

健人「あとCJの中で書き出した中で気になるのは、ミックスジュースを買っている人が1日の中で『リフレッシュしたい』ということを求めている気がしていることだよね。この意味はさ、リフレッシュする方法はいろいろあるけど、その中でミックスジュース を買うことを選んでいるってことなんじゃないのかな?そうなると、疑問に思えてくるのは、『ミックスジュースを買っている世のお客さんは本当にリフレッシュを求めてミックスジュースを買っているのか?』ってことだよね。つまり、リフレッシュするのにミックスジュースのフレッシュさが寄与しているのかってこと。」

健人は、呟きながら、すでに習慣になっているかのように爽太の話した内容と自分の発言を3つのポストイットにかき分けて模造紙に貼り付けた。

・作るのに時間がかかったりするので飲みたい時に飲めない
・リフレッシュしたいという意味は、本当の意味でジュースを買うことなのか?
・お客さんは本当にフレッシュを求めてミックスジュースを買っているのか?

そこに、結愛がドアを開けてシャワーから戻ってきた。模造紙を眺めながら、再び椅子に腰掛けた。

結愛「おー。なんかたくさん書かれてる!それで、何か実際に自分たちの気付きや発見はあったの?」

爽太「うーん、、さっきまとめてみたものから2人で考え着いたことでいうと、東京じゅーすはフレッシュを売りにしているけど、お客さんは本当にフレッシュを求めて買っているのか?っていうことだね」

結愛「ふんふん、なるほどね〜。いい気づきじゃん!これがヒアリングから導き出した「問い」ってやつだね」

爽太「問い?」

結愛は2人がまとめた付箋を見ながら話を続けた。

結愛「そう、爽太と健太くんは東京じゅーすのお客さんたちがなにを求めているのかをヒアリングしたんだよね?

そしたらお店が売りにしている「フレッシュ」ってポイントと、お客さんが求めているポイント、例えば「早く飲める」「健康志向」などの声から、店側の想いとお客さん側の想いのズレに気付いたわけだよね。さらにジャーニーから本当にユーザーの求めているものかもしれないことに気づきかけている。
ここから、【お客さんは本当にフレッシュを求めてジュースを買っているのか?】という問いが生まれたってこと。合ってるかな?」

健人「お、おっしゃる通りです・・・。なんか、僕たちが思っていることをまんま言葉にしてくれたような!」
爽太「姉ちゃんすげえ、、少し見ただけで僕たちの数日間をまとめちゃった。」

結愛「まあこれでも君たちよりちょっと長く生きてるからね~へへっ!」


ーこのステップのポイントー
・ユーザーにより高い共感をもつために、彼らの足跡に没入することが大切です。そのためにCJ(カスタマー・ジャーニー)を作ると効果的です。必要ならば、自分で調べて書いてみましょう。
・違和感を明確な「問い」にするためには、それまでに圧倒的な観察とヒアリングの情報が求められます。メモにしてまとめておけると、カスタマー・ジャーニーのようなまとめをする際に驚くほどユーザーに感情移入してまとめることができます。
・描かれたユーザーの体験や感情には、理想にしたい状況からギャップが生まれているポイントがいくつか生まれています。そのポイントを逃さずに見つけることで違和感が自分たちなりの「問い」になる可能性があります。
・違和感や問いが生まれたら、それをさらにメモして書いてみましょう。言語化することで自分たちが問うべきものが見つかる可能性は高いです。

ー考えてみようー
・これまでに映画や小説、アニメなどで主人公や登場人物に感情移入したことはありますか?それはどんな内容のどんな感情でしたか?思い出してみましょう。
・日常生活の中でまるで自分の身に降りかかったように共感してしまう(これをエンパシーといいます。)ことはあったでしょうか?
「本当はこうなのではないか?」というギモンや問いが生まれたことはあるでしょうか?


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