![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145108373/rectangle_large_type_2_f0d8717451a094482913e3b7fe67833f.png?width=1200)
【6】step20 アイデア作りを格段に早く強く深くする
この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。
■ 主な登場人物
![](https://assets.st-note.com/img/1719207686372-n3O8uePWDy.png?width=1200)
爽太(SOUTA):物語の主人公。高校2年生。どこにでもいる普通の高校生(と本人は思っている)。社交的で素直。姉が1人いる。
健人(KENTO):爽太の友人。まわりから物知りだと知られている、穏やかな青年。経営者の父と大学院に行きながら起業した兄を持つビジネス一家で育つ。
■ 前回までの配信
第6章 「みえる形」にする
価値を届けたい人に届けられるか、形にしてみよう
Step20:アイデア作りを格段に早く強く深くする
ここでちょっと休憩しよう、と言うと蓮人はレモンサイダーの入ったボトルを2人に手渡した。2人は飲みながらオフィスを見渡し過ごしていた。
「お疲れっす〜。」
休んでいると、外出していた社員さんの1人が帰ってきたようだった。今日はいい天気。夏に向けて日差しが強くなる時期だ。大柄で背の高いこの男性は、じんわり汗をかいているようだった。
今時っぽくて女性がけっこう多い職場だなーと思っていたのだけど、みな同じくらいの年齢の人のように見える中で、外から帰ってきたこの男性はなんとなく古株でみんなから信頼されている存在なのかな、と爽太は思った。
蓮人「庄平〜。おかえり、ちょうどいいところに帰ってきたね!」
蓮人が庄平を見つけて声をかけると、呼ばれた男は「ほい、お疲れー」と蓮人に言いながら 2人を見つけたようで「よっ」という掛け声とともに軽く挨拶をしてくれた。
蓮人「2人とも、こっちきて。庄平、こっちが俺の弟の健人。でこっちは弟のお友達の爽太くんだ。」
![](https://assets.st-note.com/img/1719213877889-eCHEMDAsnC.png?width=1200)
庄平「はじめまして。松尾庄平っていいます。庄平でいいよ。弟くん、お兄さんから何度か写真を見せてもらったことがあるよ。爽太くんもよろしくね。」
爽太・健人「「よろしくお願いします」」
2人で声を合わせて挨拶すると、蓮人が続けた。
蓮人「2人はさ、いま高校生なんだけど 偶然手に入れたミキサーからミックスジュース屋さんをやってみようって話をしててさ。父さんも入ってサービスの価値についての見直しとかしてきたところで、今日はここでアイディエーションしてたところ。庄平、ちょっと時間もらってファシリしてくれない?」
庄平「何それ、面白そうじゃん。俺も同じくらいの時やってみたかったな〜・・・いや、遊んでばっかだったからそれはないかな。俺は夏休みの課題さえやってなかったからな、はははは。2人はマジメだね〜。」
健人「いやー、真面目っていうか、やってたらどんどん面白くなってきちゃって。」
爽太もうんうん、と頷く。
庄平「へ〜、さすが起業家一家だな。将来、君たちも学生起業家かもねぇ〜」
そう言いながら ふんふん・・・とディスプレイに映し出されている昨日のマップと先ほどアイデア出しをしたポストイットを読んでいるようだった。
健人が父に言われてまとめたこれまでの流れとそれぞれの結論のシートも読んでくれているようだ。
庄平「すごいな〜、よくできてる。なるほどね・・・よし!一緒にやろう。じゃあこちらに来てポストイットとペンを持って。準備はいいかい?」
爽太・健人「「よろしくお願いします!」」
さっきから同じ言葉しか言ってない・・・と自分にツッコミつつも、2人は礼をした。
庄平が一緒に考えてくれるらしい。そして庄平は学校の先生のように、3人の顔を見回せるようにホワイトボードの前に立って話し始めた。
![](https://assets.st-note.com/img/1719213898217-Fx7IMiKdzr.png?width=1200)
庄平「直前に取り組んだアイデアづくりのソリューションはここにあるものだったんだね。じゃあ、一旦『もしスマホやデジタル表現を使わないで考えてみるとすると』でアイデアを膨らませてみるのはどうだろう?」
庄平が後ろにあるホワイトボードに問いを書く中、健人が「じゃあ」といって気合を入れて1つ発表しようとすると、庄平は振り返らずに手を上げて制した。
庄平「健人くん、いいねぇ、その勢い最高だよ!でも、ちょっと待ってね。アイデアづくりの環境にはルールの共有が大切なんだ。グランドルールとして、ここに4つ挙げてみるね。
![](https://assets.st-note.com/img/1719213909128-P7mgrppNl6.png?width=1200)
1.時間を区切ること
2.発散と収束を分けること
3.楽しく行うこと
あと、僕らは個人で検討する時間とグループにアイデアを共有する時間をしっかり分けて考えているんだよね。
4. 個人で検討しグループで共有すること
今は発散を考えているから、発散のルールも合わせて書いておく。
![](https://assets.st-note.com/img/1719213926241-VEhC2RVh9t.png?width=1200)
1. 量を出すことに着目する
2. 否定をしないで展開する
3. 批判的視点は活用する
4. グルーピング化する
こんな感じかな。準備はいいかい?」
庄平はそう言いながら、慣れた手つきでさらさらとホワイトボードに今のルールをメモしてくれた。
健人「わかりました!」
庄平「じゃあ早速、今から2分の時間でアイデアを考えてみて。それじゃー、いってみようか。ん?あれ、ちょっと待って。」
突然、庄平さんが外の様子を伺いながら、ドアを開けて別の会議室から出てきている人の方向に向かって声をかけた。
会議を終えたのか、他の会議室からぞろぞろと人が流れ出てくる。
庄平「麻貴(まき)ちゃん!ジョン、晋太郎(しんたろう)!お疲れ〜!ちょっとこっちへ来てよ!」
いま会議を終えたであろう3人がなんだなんだ、とこちらへ向かって歩いてきた。
庄平「今、アイディエーションをしてるところなんだ。ちょっとの間だけ、みんなも加わってよ。」
庄平はそう言うと麻貴、ジョン、晋太郎にこれまでの経緯を説明した。
途中、爽太と健人を紹介する時間も挟んでくれ、2人はそれぞれのタイミングでペコリとお辞儀した。
晋太郎「なるほど!面白そうだね。いいよ!やろう。よろしくね、爽太くんと健人くん。健人くん、蓮人から話を聞いたことがあるよ〜」
ジョン「ミックスジュース、僕、個人的にも大好きです。My Favorites.是非一緒に考えましょう。よろしくね!」
麻貴「私も健康に気をつけているし、ミックスジュース、好き!」
そう言うと3人は 腰や顎に手を当てながら、これまでの流れを読み始めた。
数分後、
晋太郎「へ〜〜本当にすごいなぁ。だいたい内容はわかりました!」
ジョン「Yes! じゃあ早速はじめよう。」
麻貴「よし!楽しくなってきた!!」
![](https://assets.st-note.com/img/1719213941892-42fR41sOA9.png?width=1200)
庄平「オッケー。じゃあ 今までの流れを含めて 一旦考えてみたい問いについてアイディエーションしようか」
庄平さんはそう言うと、ストップウォッチをスタートした。
健人「うわぁ!いつも2人で考えていたからすごく心強いですね!」
爽太と健人は急いでポストイットにアイデアを書き始めた。
2分間、必死に書き終えて顔を上げた。
庄平「よし、今出てきたものをシェアしながらボードに貼り付けよう」
爽太「え!?」
爽太は思わず声を上げた。晋太郎、麻貴、ジョンが書いたアイデアの数にびっくりしたからだ。
健人「嘘だろ・・僕たちは 5個、6個。みなさんは・・え、50?45?? 1人、10個以上出てるじゃ無いですか!信じられない。」
![](https://assets.st-note.com/img/1719213960263-SmP4ccvc7X.png?width=1200)
麻貴「そこまで驚いてくれると嬉しいわね〜。」
ジョン「アイディエーションは訓練だから、2人も鍛えればこのくらいすぐさ。」
口笛を吹きながら、ジョンは前のボードにアイデアを貼りに行った。
特にジョンのアイディエーションはすごい・・・アイデアマンってすごいな、と爽太は思った。
ここの会社のメンバーはいつもこうやってアイデアを出しているのかもしれない。
この後、もう1度、考えるべき問いを変えながら、アイディエーションを続けた。
こうやって30分ほどの議論を終始庄平が盛り上げ、みんなの活動を推進し、時には止め、深める形で徹底的にファシリテーションをしていった。
〜〜〜
爽太「いやーー、ファシリテーションってすごいですね‥!!それぞれのみんなの頭が1つになった感じ。さっきもみんなで議論したんだけど、庄平さんがきたらオーケストラの指揮者みたいにみんなの方向性が一致してアイデアがポンポン出てきてみんなで合奏しているみたいだった。」
健人「本当。そして最初は僕らが考えたソリューションを展開するアイデアだけでだったのに、いろんな広げ方であっという間にこんなにアイデアのかけらが出てきて形になっちゃった。普段学校でも似たような作業はあるけど、検討と議論も、共有と議論もごちゃごちゃだったな〜。」
蓮人「庄平のファシリテーションは面白いだろう。これがみんなでやるブレスト、ブレインストーミングっていうやり方だね。そしてこれがアイディエーションって呼ばれているもの。こいつは、社内でも社外でも名物ファシリテーターって呼ばれてるんだよ。アイデアマンがいることも大事なんだけど、彼が会議にいるのといないのでは人の活かし方を含めて議論の質が全然変わってくるんだよね。」
庄平がまんざらでもない顔で、照れながら笑っていた。
爽太「本当にそうですね。世の中にそんな役割の方がいるんですね。・・・今更ごめんなさい、急に興味が湧いてきました。改めて、ファシリテーターってなんですか?」
【コラム】ファシリテーターとは?
![](https://assets.st-note.com/img/1719214001341-ZF0m4nRbdi.png?width=1200)
アイデア創発の中でも最も効果に差を生むのがファシリテーションです。このファシリテーションを行う人のことをファシリテーターといいます。ファシリテーターとは議論を行う上での「触媒」役といえます。議事進行を含むこともあります。ファシリテーションは一人で議論をする時にも行う(セルフ・ファシリテーションといいます)こともできますが、複数で集まって議論する時に特に効果を発揮します。
ファシリテーターの重要な役割の1つは議論の「促進」です。いくつかの役割があります。例えば、議論上わかりにくい重要ポイントの抽出と提示、時間の管理、議論の停滞解消と議論の促進、などです。
教えてもらった「ファシリテーターとは?」についてメモをしながら、爽太はレモンソーダを飲んでいた。健人は庄平が教えてくれた会議のルールとここまでのアイデアが出ているホワイトボードの写真を撮っていた。
庄平さんの問いの出し方が面白い。ファシリテーションによってアイデアが生まれる早さも質も違う。プロの現場に圧倒されながら、改めて爽太はファシリテーターの面白さと凄さを感じていた。
所々、間で必死に何かをメモしていた健人とも目があった。きっと同じことを思っているに違いない。
ーこのステップのポイントー
アイデアは一人で考えるよりもある程度の人数で考えると一気に膨らみます。(これをブレインストーミングといいます。)
ミーティングやブレストでファシリテーションを行うと活性化が行われ質が向上します。ファシリテーターを登用しましょう。
ー考えてみようー
一人で考えているよりもみんなで考えていることで楽しくなったりアイデアがたくさん増えたということはありますか?
誰かが司会進行したり、時間管理をしたり、仕切り役をしたことでその場がとても面白くなったり考えるべきことが滞りなく進んだりした結果がありますか?その時、その人は何をポイントにしていたと思いますか?
■ メルマガのご登録
![](https://assets.st-note.com/img/1719207724303-TUmWsTqJEX.png?width=1200)
■ X(旧twitter)のご案内
![](https://assets.st-note.com/img/1719207827311-pLvoK7H1e8.png?width=1200)
■ リリース・インタビュー
・マホラ・クリエイティブ社、創業機運醸成のための「創業支援コミュニティ活性のための成熟度チャート」、全国地域行脚を元に発表。
・浜松市で開催されているアクセラレーションプログラム
・日本が世界でもう一度輝くためにデザイン型人材を