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全国行脚レポート②岡山の大学生に向けてセミナーを開催
テーマ
「問いを立てる」岡山大学ver
日時
2023年7月3日(月)8:40~12:35
依頼主
岡山大学 津島キャンパス環境生命自然科学研究科
https://www.gnst.okayama-u.ac.jp/
人数・参加層
岡山大学高度創生デザイン講座を受講中の学生 90名ほど
タイムスケジュール
レクチャー前編 55min
実践ワーク&レクチャー後編 60min
内省・質疑応答 40min
ご参加いただいた方からのご感想
slidoを用いてリアルタイムでリアクションを送れたりと、非常に楽しめて面白かったです。(参加者)
今回の講義について
今回ご依頼をいただいた岡山の地域では、起業セミナー関連の依頼を地域の中小機構が取りまとめていて、依頼内容に合わせて講師を派遣するという仕組みがあります。
テーマや講義形式など、依頼内容に合わせてマッチングされるのですが、私のところには大体テーマも講義形式も決まっていない、まだやりたいことも見えていないざっくりとした依頼が多く来ます。岡山大学さんからの依頼も決まっていたのは対象者と起業についてのテーマで、ということだけでした。まずは担当の先生に話を聞きながら設定すべき具体的なテーマを一緒に練っていきました。
私が担当したのは、岡山大学の高度創生デザイン講座という授業の一部です。この授業は少し変わっていて、「キャンパスベンチャーグランプリ」という起業アイデアピッチへの応募が履修の条件とのこと。このピッチに応募する学生たちの手助けになるようなことをして欲しいというのが先生からの要望でした。
相談した結果、既に自分のアイデアを持っている学生が多いことを鑑みて、自分のアイデアのアイデーションをしてさらに磨いてもらうワークを行うことに。元々90分×2コマの予定だったのですが、4コマ分いただけることになり、合計6時間のビジネスアイデアに関する授業を行いました。
私の授業は必須ではなかったものの、皆さんピッチに取り組んでいるだけに興味を持ってくれた方が多く、履修している学生のほとんどが参加してくれました。
セミナー後記
アイデアを生み出すことは、年齢が高い=知識量が多いほど上手くできると思われがちですが、実は関係ありません。
中学生も高校生も大学院生も大人も、新しいことを始めようと思った時のスタートラインは皆一緒なんです。
しかし、どうしてもそのバイアスに囚われてしまうことは多く、今回も「私たちは大学院生だから沢山アイデアを出さないと」というしがらみから抜け出せずに苦労している学生が多くいました。
授業をしていくうちに少しずつ解消されていきましたが、大学生や大人に向けて講義を行う際はこのバイアスをいかに外せるかがとても重要になってきます。
特によく勉強している大学院生ほどプロセスを説明すると左脳ですぐに理解できるので、逆にアイデアを考える時も左脳が先行してアイデアが出てきづらくなってしまうことがあります。
そのようなしがらみを少しでも解消できるように今回は一つ仕掛けを行いました。
休憩中、講義の中で使っているslidoという匿名でコメントを投稿できるツールを使い「岡山駅周辺で美味しいご飯屋さんを教えて」と学生たちに投げかけました。
すると、「駅前の〇〇が美味しい」とか、「マクドナルド」などいろんな回答が返ってきました。これは単に箸休め的な質問ではなくちゃんとした狙いがあります。
その狙いとは、自分の「好き」を醸成することです。この質問を通して、学生たちが「自分だったら何をおすすめするか」を考えることが、右脳のストレッチになります。この準備体操がその後のアイデアを出すワークに活きていきます。
また、もう一つ別の狙いもあります。今回の授業のように、外部の人がいきなり来て話されても、普通はなかなか耳に入っていかないものです。聞いてもらえる鍵はやはり学生たちとの信頼関係。いかに「この人の話なら聞いてみてもいいかも」と思ってもらえるかが重要です。
そこで、先程の投げかけをすることで、学生たちとインタラクティブ(相互)なコミュニケーションをし、空気を和らげることを行いました。
最後の方にはふざける生徒も出てきたのですが、これも実は期待していたいい流れです。
私がふざけることを許容している空気を感じて、「授業中だけど、ここまでふざけても大丈夫なんだ」「この先生は、先生と生徒という関係以前に一人の人としてコミュニケーションしてくれる」と学生たちの中でハードルが下がります。
その結果、今までは「授業は真面目に聞くもの」逆にいえば「何を考えていても、別のことしていても大人しく聞いているふりをしていればOK」という、生徒たちにとって当たり前だった概念の中に、「授業はみんなで作るもの」「先生と学生は今やフラット」「一方的に教えるだけではなく、対話でつくる授業もある」という、教える・学ぶの本質に関わる新たな意識をインストールするお手伝いができたのではないかと思っています。
当日の様子
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