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全国行脚レポート④唐津の中高生プログラムにてデザイン思考の授業を開催
テーマ
「デザイン思考を通して問いを立てる」唐津STEAMday2023!!ver
日時
2023年7月8日(土)10:00~17:30
依頼主
唐津return プロジェクト
唐津STEAMday2023!!
https://www.return.glabit.org/
人数・参加層
唐津在住の中高生20名
タイムスケジュール
1企業って何? 30min
デザイン思考レクチャー 50min
実践!① 顧客理解 60min
実践!② アイデア作り 60min
おさらい / 振り返り 40min
自分たちテーマ探索 75min
まとめ25min
ご参加いただいた方からのご感想
人が口に出すほしいモノと、心の中で気づいていないほしいモノの2種類が存在することが、とても面白いと思いました。(参加者)
潜在的欲求の大切さがビジネスに繋がるということが感動でした。(参加者)
これからの人生について必要なことをたくさん学ぶことができました。ありがとうございます!(参加者)
今回の講義について
今回ご依頼を頂いたのは、デザイン思考×プログラミングを通して未来を創る人材を育てることを目的とした「唐津STEAMday2023!!」という中高生向けのプログラムの講師としてでした。
このプログラムは一年前から始まり、2023年度は二年目の開催。前年はデザイン思考を取り入れた設計にかなり難航したようで、唐津までデザイン思考を教えに来てくれる人を探していたとのことでした。
そのような経緯から、中小機構さんを通して私の元にお話をいただいたのがきっかけでした。
実は、プログラミングとデザイン思考を掛け合わせたプログラムというのは長年デザイン思考を設計し提供してきた私でも学習設計が難しいと感じる設計領域です。
しかもそれを中高生向けに分かりやすく伝え、理解をしてもらい活用してもらわなければなりません。ですから、最初に全体のプログラムの概要をお聞きした時は、期間と予算の制約の中でとても難易度の高いチャレンジをされていると感じました。
プログラムの素案を見せていただくとやはり当初は、大人が受けても難しいような内容になっていました。
そのため、デザイン思考の講義だけでなく、3ヶ月間のプログラム全体の設計に関しても少しお手伝いさせていただき、難易度や現実性を考えた全体の調整を一緒に行いました。
私が行ったデザイン思考の講義に関しては、まず「新しいことのはじめかた」の基本のお話をさせていただきました。
また、今回はプログラミングとデザイン思考を組み合わせた内容を通して地域課題に取り組むということがテーマだったので、「社会課題を見つけるための視点」についてもデザイン思考を通してお伝えさせていただきました。
というのも、よく取り上げられる地域課題のテーマはその地域の大人や地域創生の専門家が本気になって何十年取り組んでも解決しないからこそ現在も根深く残っているものがほとんどです。それを3ヶ月という期間で中高生が解決するのは至難の業です。
そのため、学生たちがそこを勘違いして壁にぶつかり、モチベーションが下がってしまわないよう、「代表的な課題以外にも他に地域の人が実は困っていることはないのか?」という“潜在ニーズ”に着目してみようという話を丁寧にお伝えしました。
具体的には、唐津は地域の特産として椿が有名なのですが、椿農家に話を聞くと、「人手が足りない」という課題が持ち上がります。でも中高生がその課題に3ヶ月で取り組むにはあまりにテーマとして重くて大きすぎます。
椿農家の一番大きな課題は人手不足ではありますが、インタビューをしていろんな角度から話を掘り下げていくと、それ以外にも小さな課題が必ずいくつか出てくるものなのです。
そこに自分たちが取り組める課題があるのではないか?ということを考えてみてほしいという提案をしました。
また、その課題を解決するためのアイデアの見つけ方についても具体的にレクチャーさせていただきました。
セミナー後記
これまでデザイン思考を主に大学生以上に教えてきた私の感覚として、正直、中高生がデザイン思考を短期間で理解するのは難しいのではないかと思っていました。しかし、それは私の思い過ごしでした。
必死に食らいついて熱心に話を聞き、難しい内容ながらも新たなチャレンジとして取り組もうとしてくれている中高生の姿にとても感銘を受けました。
私はデザイン思考の講義として1日間だけを受け持っていたので、3ヶ月間の彼らの様子は分からなかったのですが、主催者の方が都度進捗を報告くださり、「地域課題の潜在ニーズを探索しようと深掘りをする子がほとんどで、授業の内容がしっかり彼らの学びとして活きています」というメッセージをいただきました。
また、実際に地域の方に学生たちがインタビューをする機会があったようなのですが、そこでも「デザイン思考を学んだお陰で、表面的な一辺倒のインタビューではなく、深いところまで聞こうとするチャレンジが沢山起きていて驚きました」という声をいただきました。
最終発表は、私も配信で見させていただいたのですが、そこでも半分以上のチームが潜在ニーズについての話をしてくれていました。
3ヶ月間、彼らが課題に取り組む中で、デザイン思考を活かしてくれていたことを知り、とても感慨深く、頼もしさを感じました。
このプログラムに関わった身として、中高生の皆さんがこれから何か新しいチャレンジをするときに、今回の学びを思い出して活かしていってくれたら大変嬉しく思います。
当日の様子
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