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【8】step33 コストを見積もりビジネスモデルを完成させよう!

この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。

■ 主な登場人物

■ 前回までの配信

第8章 「ビジネス」にする
ここまでの内容をビジネスにできるか、ビジネスにするのかをキャンバスにまとめよう!

step33 コストを見積もりビジネスモデルを完成させよう!

麻貴「ただいま戻りましたー!わ〜、二人とも お久しぶりね!」

爽太と健人はオフィスに戻ってきた麻貴と会話を始めた。詩と舜も初めましての挨拶をして会話に加わる。

麻貴「ジョンから連絡もらったからたくさん買ってきたわよ〜。レモンサイダー!」

ジョン「Thank you!ほら、みんな お疲れ様〜。少し休憩しよう」

蓮人「うちの会社では休憩はレモンサイダーが定番なんだ。」

爽太はそういえば前に会社にきた時もレモンサイダーをもらってたっけ、と思い出しながらサイダーを受け取った。4人はお礼を言って飲み始めた。

麻貴はすぐにミーティングがあるらしく、次の仕事へと向かっていった。

「それじゃ、サイダー飲みながらぼちぼち再開しようか。」と蓮人が言った。

ジョン「次はコストだね。」

爽太「この前テスト販売を終えた日に価格を決めてみたのですが、あらためてかかる経費も含めて考えてはいます。それをもとに詳細のコストを算出できると良いということでしょうか?」

ジョン「そうだね。ビジネスモデルキャンバスを完成する流れの中で もう1度改めて考えてみよう。考えた上でこの前決まった価格で間違いなかったことを再確認することもできるからね。」

舜「爽太のお父さんに確認して野菜や果物の価格を把握して、一杯あたりの試算は450円〜600円くらいかなと思っているんです。」

詩「ただ、悩んでるんですけど、こだわってオーガニック素材を使うことも考えたのですが、そうすると原価だけで600円以上になってしまう計算で‥私たちができる努力で、産地がよくわかる原材料を使ってみて、できるだけコストを抑えると考えると原価が350円か400円くらいかなと思っています。一旦は厳し目にみて350円でやってみようかな、と。」

蓮人「みんな、さすがテストを繰り返して、コストや価格の考え方もいい線いってるね。」

ジョン「本来、このコスト計算に今回素敵にデザインしていたロゴやアプリ開発費なんかもかかってくるんだけど‥それを上乗せするとさらに高くなるね。僕たちの世界で普通に頼んだら少なくとも30万円程度はかかってしまう品質だと思うよ。だから本当はそれを製品の価格に入れ込むんだよね。」

舜「それについては今回、僕も兄姉の力を借りながらトライアルさせてもらって、自分が楽しく作っているんで、デザインもアプリもほぼ無償の提供で考えています。」

ジョン「わぉ!トライアル以上の仕上がりになっている気がするけど‥そう言うことなら了解!」

蓮人「そしたら、この原価にいくらを乗せるかだね。極端な話、お金を儲けるなら一杯の販売価格1,000円でも構わない。1杯2,000円にして沢山売って万一たくさん売れてしまったらみんなで海外旅行、行けるかもね!」

爽太「夢がありますね(笑)でも、さっき自分たちが決めた”価値”を振り返ってみたら お金がものすごく儲かるってことじゃなくて 大切なのは僕たちのジュースを日常的に楽しんで飲んでもらえることかなって‥
これはテスト販売を終えた日にもそう思ったんですけどね。と考えると、手に届きやすい価格がいいのかもなぁ、と。」

詩「そうね。ボランティアでなくちゃんとビジネスと考えた上でみんなにも手に取ってもらいやすい価格を考えると、やっぱり750円はどうかしら?高校生にはちょっとリッチだけど、それだけ商品に自信がある感じも伝わる気がするの。」

健人「いいと思う!それじゃ、あらためて750円で決定だね!」

詩は価格をビジネスモデルキャンバスの中に書き込んだ。

ジョン「そろそろこのキャンバスを完成に向けて作り込もう〜。ビジネスモデルを完成させるんだ。顧客と価値は、さっき確認したVPCの通り。顧客との接点はアプリ経由での受け取りのみでシンプルになる。トータルのコストは、一杯、350円。売上として一杯750円に対して利益が、一杯400円。1日の数量はたくさんも作れるけど廃棄が出るから100杯限定でしっかり売り切る。月に20日の営業をする。ざっと月間の売上150万円、利益80万円ってところだね。まぁ〜、月間で80万利益は高校生4人には十分な報酬だよね。あとは…っと、資産としてもっているのは新鮮な素材の野菜と少し高価なジューサー、そして未来有望な若者。爽太と健人、二人の才能と、詩のセンスとユーザーを巻き込む力、プログラマーを目指す舜の技術力とデザイン力、かな。パートナーは、果物屋、八百屋、問屋!」

いつのまにか、ビジネスモデルキャンバスは、ジョンとのやりとりで完成してしまっていた。


ーこのステップのポイントー
・自分たちで「とりあえずやってみよう」と試してみたことを一度、客観的に要素に落とし込むとビジネスモデルが見えてきます。
・ビジネスを少し知っている人にうまくリードしてもらいながらビジネスモデルを検討しましょう。すぐに考えられるところと、考えても難しいところがあります。焦らずにわからないところは少しずつ考えを進めていきましょう。
・利益がでないと継続は難しいです。継続的に続けられる仕組みを考えましょう。

ー考えてみようー
・自分では少し難しい内容を誰かにリードされて形にしていった経験はありますか?うまくいった時とうまくいかなかったときはどんな違いがありましたか?
・はじめはぼんやりとしていたことが自分や仲間と一緒にやっていく中で少しずつうっすらと具体的になり始める経験はありますか?それはどんな時だったでしょうか?


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