日本麻雀百年史 その4
最初の麻雀伝道師 林茂光の登場
配牌時に親が最後に取る「チョンチョン」、この言葉は林茂光がカフェープランタンで初心者に説明したとき使ったものだという。
『親がこのようにチョンチョンと二枚取るんですよ』――。
この専門用語としてはいかにも不似合いな「チョンチョン」という言葉が、いつのまにか日本麻雀の正式用語として定着した。
チョンチョンのことは中国では「跳板(チャオバン)」とか「跳(チャオ)」というのだが、このような専門的な言葉を意識的に避けたのであろうか。それともチャオというところをとっさにチョンチョンと言ってしまったのか。
もう一つ、林茂光は面白い用語を後世に残している。日本ではアガリのことを「栄和」または「栄(ロン)」と書くが、これは林茂光が本場中国における原字が判らず、仮に「栄」をあてたのであった。その後調べた結果、「隴」が正しいと判り訂正したが、すでに一般大衆はもとより専門的な麻雀人の間にも普及しており、その訂正に誰も応じなかった。
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