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愚形待ちダマのアガリ率
研究代表者 nisi
文章 nisi、みーにん
研究協力者 とつげき東北
1 はじめに
「カンチャン即リー」等といった言葉があるように、我々は愚形待ちテンパイを一括して扱うことがあります。
しかし、愚形待ち立直のアガリ率は待ちの種類や当たり牌の枚数によってそこそこ変わることが知られています。
例えば、『「統計学」のマージャン戦術』(みーにん著、竹書房、2017)にある牌譜解析結果によると、中巡の先制(1番目のリーチ)愚形待ち立直の和了率は、
筋28待ち・0枚見えのケース 55%
筋28待ち・2枚見えのケース 43%
無筋456待ち・0枚見えのケース 37%
無筋456待ち・2枚見えのケース 23%
となっており、
0枚見えか2枚見えか
筋28待ちか無筋456待ちか
によってアガリ率が異なっています。
このリーチの結果を見て、人によってはこう思うかもしれません。
ダマの場合はどうなんだ、と。
そこで、今回は愚形待ちダマのアガリ率を見ていきます。
2 データの取り方について
(数値マニア向け、必要なければ読み飛ばしてよし)
今回、アガリ率は牌譜解析ではなく、シミュレーションによって求めました。
つまり、『「統計学」のマージャン戦術』では牌譜解析結果を用いましたが、このNOTEではシミュレーション結果を用いています。
何故、牌譜解析ではなくシミュレーションを用いたのか。
それは、牌譜解析ではダマに関するデータを精密に集めることが困難だからです。
つまり、牌譜解析によってダマのデータを集めようとすると、
手替わりによって形がよくなった(カンチャンからリャンメンになった)
他家の立直が飛んできて危険牌を引いたのでベタオリした
などといったその後の挙動が全部入ってしまい、
ダマでゼンツした場合
ダマテンパイを維持したが、その後、危険牌を引いたのでベタオリした場合
などといった「一定の挙動に絞ったデータ」が得られないからです。
リーチの場合、リーチをかけた後の挙動は一定ですので、こういった問題は生じませんが、ダマやフーロの場合、その後の挙動は自由なのでこのような問題が生じます。
この点、シミュレーションであれば、「挙動に対応するモデルを作ればいい」だけなので、一定の挙動に基づく数値を求めることができます。
3 他家門前愚形テンパイのアガリ率
さて、今回のダマの設定(自分の挙動)は次の通りとします。
・8巡目、自分は南家
・待ちはカンチャン・ペンチャン・単騎待ち(シャンポンは除外)
・他家門前(他家3家はリーチもフーロもしていない)
・手替わりは考慮しない、他家攻撃に対して全ツッパ
この点、『「統計学」のマージャン戦術』のデータは
・5巡目~12巡目のデータの合計
・他家はリーチをしていない(フーロはしている可能性はある)
という条件で出しており、両者条件が微妙に異なっているので、リーチのデータも取り直しました。
具体的な状況としては次の手牌状況です。
2m3m4m2p3p4p2s4s7s8s9s9s9s ドラ2s
三色ドラ1の愚形テンパイ。
三色を形成するカンチャンターツが埋まらないため手替わりは不可能。
ダマで5200あるのでリーチに対しても十分ゼンツ可能。
と言った手牌です。
このような手牌でダマを選択した場合、どの程度和了できるでしょうか?
では、アガリ率を見ていきましょう。
シミュレーション結果は次の通りとなりました。
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