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南場のトップ目で先制平和のみをリーチすべきか?(前編)
研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北 みーにん
目次
・例題
(1) 基礎知識
(↓この先有料記事)
(2)2着目との点差を動かした場合
(↑ここまでが前編)
(3) 残り局数と親の位置を動かした場合
(4) 巡目を動かした場合
(5) 待ちの種類と見た目の待ち枚数を動かした場合
(3)~(5)は来週公開予定の後編になります。
例題
南2局トップ目で、先制平和のみ聴牌。リーチすべきかダマにすべきか。
(1) 基礎知識
先制平和のみをリーチするかどうか、というテーマについては、今となっては「平場においてはほとんどすべてリーチすべき」という戦術がかなり浸透してきていると思います。
今回のメインテーマは南場のトップ目という平場とは言い難い点棒状況の場合の話ですが、まずは平場における先制平和のリーチ判断の各種データについておさらいしておきます。
グラフ1 先制両面待ちの和了率と放銃率
グラフ1は先制(他家3人が非リーチ門前)の状態において門前両面待ちでリーチしたときとダマにしたときのそれぞれについて和了率と放銃率をシミュレーションから算出したものになります。
リーチの和了率とダマの和了率を比較すると、ダマのほうが約10%和了率が高くなっています。
グラフ2 先制平和のみの局収支
次に先制で平和のみを聴牌したときのリーチとダマ、それぞれの局収支を算出したものがグラフ2となります。
ほぼすべての巡目においてリーチしたときの局収支のほうがダマにしたときの局収支よりも高くなっていることがわかります。
9巡目において、リーチの局収支は1761点、ダマの局収支は251点となっているので、その差は約1500点と非常に大きいです。この局収支1500点差というのは、本日のメインテーマでも出てくるのでぜひ覚えておいてください。
このようにリーチのほうが局収支が高くなっているのはダマの和了率が10%高いということよりも、平和でリーチしたときの打点上昇が大きいためです。リーチ平和の和了時平均得点は約3700点とダマの平和のみの和了時平均得点約1100点をはるかに上回っているので、とてもダマの和了率10%上昇程度では元がとれません。
ここからが本日のメインテーマです。
さきほどまでは1局単位の収支を表す局収支をもとに、リーチのほうが圧倒的に有利であることを述べてきました。
では、局収支のよさと試合単位収支のよさが比例しないような局面として、今回「南場のトップ目」という点棒状況を1つ例として挙げてみました。
この点棒状況においては、リーチして大きく点数を伸ばすことよりもより「確実」にアガって残りの局を消化してトップを守って高い順位点を確保する、という観点からダマにするという選択もありうるという意見もあるかと思います。さきほど述べた通りダマの和了率はリーチよりも約10%高いので、ダマにしたほうがより「確実」にアガれるということは多くの場合正しいです。
局収支ではなく、試合単位収支で考えた場合、南場のトップ目において先制平和のみを聴牌したときにリーチすべきかダマにすべきかということをこの後データで示していきます。
ただ、一言で「南場のトップ目において先制平和のみを聴牌したとき」といっても、いろいろな状況があると思いますので、ここでは、冒頭に挙げた牌姿の条件、つまり、
・南2局0本場9巡目
・自分南家50000点持ち
・見た目残り枚数6枚の両面25,58待ちの平和のみ聴牌
・他家3人非リーチ門前
・西家10000点、北家10000点、東家30000点持ち
という条件を基本として、そこから1つの条件のみを変化させたときの半荘収支(ウマ10-30、オカ20、素点考慮あり)と段位pt(順位点90-45-0-△135の完全順位戦)のシミュレーション結果を算出して、以下リーチとダマの比較を行っていきます。
(2)2着目との点差を動かした場合
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