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孤立字牌の経過と、生牌・1枚切れ字牌の切り順

研究代表者 nisi
研究協力者 とつげき東北、みーにん


1.はじめに

序盤で、孤立字牌を切るか残すかの判断をする際、
・今切った場合に、どの程度鳴かれるか
・今切らない場合に、どの程度重なって対子や刻子にできるか
・今切らずに、後で切った場合に、どの程度鳴かれるor放銃になるか

などのデータを知っていれば字牌切り判断の役に立つのではないかと思います。そこで今回は、序盤の孤立字牌がある場合の経過に関するデータを牌譜解析で調べてみます。

2.牌譜解析条件等

〇孤立生牌字牌の経過

・あるプレイヤー(以下、自分とする)の切り順について、7種の字牌それぞれについて調べる。
・自分が字牌を孤立で持っていて、1枚見え
全員非リーチ門前
・以上条件に当てはまった場合に1件分のデータとして登録する。
・以下のデータを取る。自分の親子、巡目、字牌種類、字牌がドラか、字牌の経過、この局自分がアガったかどうか、この局自分が放銃したかどうか、この局の自分の局収支

字牌の経過は以下15パターンのいずれかに分類します。
今切る不動…今切ってポンや放銃が入らなかった
今切るポン
今切る放銃
孤立のまま
後生牌切る不動
…後の巡目で生牌の状態で切ってポンや放銃が入らなかった
後生牌切るポン
後生牌切る放銃
他家切るポン
…他家が字牌を切って別の他家がポンした
合わせて切る不動…他家が字牌を切った後、自分も字牌を切ってポンや放銃が入らなかった
合わせて切るポン
合わせて切る放銃
自分対子
…字牌が対子になったが、ポンや暗刻にはならなかった
自分ポン
自分暗刻
自分字牌でアガリ
…自分が字牌待ちで、字牌でアガった

この牌譜解析の結果、以下のようなcsvファイルができるので、エクセルのピボットテーブルで分析します。

こちらの表は、1巡目孤立生牌字牌持ちの場合で、行方向に字牌種類と字牌の経過、列方向にアガリ率・放銃率・局収支・確率分布(ある字牌経過になった割合)を取ってまとめました。

例えば、1巡目に三元牌を孤立生牌で持っている場合、1巡目に切った場合のアガリ率は25.0%、放銃率は12.9%、局収支は319点で、割合の内訳は、三元牌切りで放銃が0.05%、ポンされるのが8.29%、ポンも放銃もないのが91.66%です。一方、1巡目に切らなかった場合、アガリ率は17.9%、放銃率は12.5%、局収支は-238点で、割合の内訳は、生牌の状態で自分が切ってポン放銃なしが41.19%、他家字牌切りに合わせて切ってポン放銃なしが34.43%生牌の状態で切ってポンされるが6.83%、局終了時まで孤立牌のまま持ってるのが5.70%自分に対子になるのが5.34%などです。

ただ、このデータを読む際に問題があります。それは標本(サンプリング)の偏りの問題です。例えば、字牌三元牌の局収支のところを見ると、今切った場合+319点、切らない場合-238点となっていて、見た目は孤立三元牌を1巡目に切ったほうが局収支が高い」となっているように見えます。

しかし、ある特定の孤立字牌について、今切ったか、今切らないかという切り口でしか見てないので、
1巡目で三元牌を切る→他のオタ風とか役牌の孤立がなく、「いい手牌」の場合が多く集まっている
1巡目に三元牌を切らない→他にオタ風とか役牌の孤立があって、「悪い手牌」の場合が多く集まっている
という点で、標本に偏りが生じていると考えられます。よって、アガリ率・放銃率・局収支を比較する用途に使うことは基本的にできないと思ったほうがいいです。

アガリ率等を比較するためには、完全に標本の偏りは排除することは難しいものの、条件をある程度揃えることによって、偏りを小さくして比較が(ある程度)可能にしたいと思います。具体的には、
生牌字牌と1枚切れ字牌を1種ずつのみを持っている
・手牌のシャンテン数をそろえる

という条件を付けて、「手牌のよさ」による偏りをできるだけ排除して、生牌か1枚切れを切った場合のアガリ率とか局収支を比較する、という方向に話を持っていこうと思います。

〇生牌字牌と1枚切れ字牌の切り順

・あるプレイヤー(以下、自分とする)の切り順について調べる。
・自分が1枚見え字牌と、場に1枚切れの非ドラ表示牌の孤立字牌の2種類を持っている(他に孤立字牌を持っていない)。
全員非リーチ門前
・以上条件に当てはまった場合に1件分のデータとして登録する。
・以下のデータを取る。自分の親子、巡目、生牌字牌種類、1枚切れ時牌種類、字牌がドラか、生牌字牌の経過、1枚切れ字牌の経過、シャンテン数、この局自分がアガったかどうか、この局自分が放銃したかどうか、この局の自分の局収支

この牌譜解析の結果、以下のようなcsvファイルができるので、エクセルのピボットテーブルで分析します。

こちらの表は、行方向に生牌字牌経過と1枚切れ字牌経過、列方向にアガリ率・放銃率・局収支・確率分布(ある字牌経過になった割合)を取ってまとめました(巡目は2巡目)。

こちらの表は、行方向に生牌字牌種類・1枚切れ時牌種類・生牌字牌経過・1枚切れ字牌経過、列方向にドラの有無と、アガリ率・放銃率・局収支・確率分布(ある字牌経過になった割合)を取ってまとめました(子の2巡目、シャンテン数について2シャンテン3シャンテンの2種)。

こちらの表は、行方向に生牌字牌種類・1枚切れ時牌種類・生牌字牌経過・1枚切れ字牌経過、列方向にシャンテン数と、アガリ率・放銃率・局収支・確率分布(ある字牌経過になった割合)を取ってまとめました(子の2巡目ドラ無関係)。

以下、有料部分で表掲載と分析をしていきます。

3.生牌字牌と1枚切れ字牌の切り順(牌譜解析結果)

まずは、字牌の経過に関する表(2巡目。字牌種類・シャンテン数・親子を問わない)から見ていきます。下表になります。

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