有償によるデータ等の提供について【お願い】
麻雀関係者 各位
私ども麻雀数理研究会は、データ等(データ、文章、アドバイス、アプリケーションソフト、ソースコード等)を提供するノウハウを蓄積してきた研究者が集まって成り立った組織です。
これまで、私たちは麻雀のデータ等について
・とつげき東北の手による『できすぎくん』(注1)、
・『システマティック麻雀研究所』(注2)、
・『科学する麻雀』(注3)
・nisiによる麻雀局収支シミュレータ「nisiシミュレータ」(注4)
・みーにんによる『「統計学」のマージャン戦術』(注5)
をはじめとして、様々な形で一般の麻雀プレイヤーから企業まで、幅広く提供していきました。
当然のことですが、データ等を作成するためには相応のコストを要します。
例えば、先制リャンメン立直の和了率を牌譜解析から求めようとすれば、
・天鳳牌譜のダウンロードプログラムの作成、牌譜のダウンロード
・和了率などの数値を求める牌譜解析プログラムの作成・実行
という作業を必要とします。
これらを一から求めたならば200時間(25日・人)はかかるでしょう。
もちろん、牌譜のダウンロード・主要なデータを求めるためのプログラムは作成済みであることなどを考慮すれば、我々が数値を求めようとすれば200時間もかかりませんし、既にデータを持っているということもあり得ます。しかし、それは、既に我々が様々な試行錯誤、牌譜解析プログラムの作成を行い、その部分を解決しているからにほかなりません。
また、極めて専門的な知見が必要な分野です。
前述のケースを例に採りますと、そのデータの射程範囲がどの範囲か調べるために、先制立直について条件別の数値を求め、誤差がどの程度かを調べなければなりません。必要なデータが1種類であってもそのデータを出せば済むわけではないのです。
また、シミュレーションによって和了率などのデータを求める際には、
麻雀のモデル化
モデルを具体化するシミュレーションプログラムの作成
実測値と照らし合わせることによる制度のチェック
などの作業が必要となります。
これらの作業を行うにあたっては、数理的な知識、及び、プログラミングの知識が必要になります。
しかしながら、データ等の重要性、データ等の作成に関するコストについては、提供される側のみならず提供する側も軽視する風潮があったように思えます。
具体的を挙げるなら、延べ320時間の手間をかけて作成したデータ等が、わずか10万円で提供されるといった事例を挙げることができます(時給換算で約313円)。
また、延べ数十時間かけて出したデータを無償で提供した例もございます。
もちろん、これらの事例について、決して需要サイドに問題があるわけではありません。データ等を提供する側にも作成コストを軽んじるところがありました。また、麻雀に関するデータそれ自体を広報・普及するためにあえて無償で提供してきた面もあります。その意味で、データの提供側に真に深い反省が必要だと考えております。
そこで、私どもは、今後の麻雀の研究及びデータ等の提供に関して、原則有償(商用利用における利益の分配、非商用利用における実費負担等)の考えで行動する意志を掲げようとしております。
この点、麻雀におけるデータ等の整備の価値は、それ自体として麻雀界における公共的価値を有するものです。よって、すべてを有償とし私どもがその利益を独占するという意図はありません。
しかし、今後現れてくるであろうデータ等の提供者・研究者が、相応しい対価を得ることができなければ、データ等の提供が活発に行われることは極めて難しいと考えております。
そこで、その旨を皆さまにご理解いただきたいと考えております。
詳細については、また後日発表させていただきます。
不躾なお願いではございますが、どうぞ、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
注1、インターネット麻雀『東風荘』におけるデータ解析のための無償アプリケーションソフト
注2、インターネット上における、科学的な麻雀研究に基づく無償データ等提供サイト
注3、講談社現代新書、科学的な麻雀研究における草分け的な有償書籍
注4、先制立直や押し引きの判断をするための無償シミュレーションソフト
注5、竹書房、麻雀のデータをもとに戦術論を展開した有償書籍、赤あり麻雀における豊富なデータが特徴
平成31年1月15日
麻雀数理研究会