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【諺】踊るリーチに、水かけロン

1. 諺(ことわざ)
「踊るリーチに、水かけロン」

2. ことわざの意味
リーチをかけ、勝利を確信している時に、他家のロンによって一瞬にしてその期待が打ち砕かれることを指す。浮かれている時ほど、思わぬ逆転劇に見舞われやすいことを教訓とする諺。勢いに乗りすぎず、慎重に打つことの大切さを示す。とはいえ慎重に打っても放銃するときはするので結局は水掛け論であるという意味も含まれている

3. 例文

Aさん:「リーチ!」
Bさん:「ロン!四暗刻!」
Aさん:「まさか…。」
Bさん:「踊るリーチに水かけロン、だな。」

麻雀ことわざ新帖

リーチの瞬間、それは麻雀における頂点の一つだ。長く苦しい道を通り抜け、ついに和了が見えてくる。手配が整った時、勝利への道は開け、「リーチ」という声が自信をもって卓上に響く。まるでステージに立つダンサーのように、私は堂々とリーチを宣言し、次の瞬間の勝利を確信していた。

だが、その高揚感が一瞬にして打ち砕かれるとは、この時の私は知る由もなかった。

「ロン。」

その一言が放たれた瞬間、まるで冷水をぶっかけられたかのように、期待は一気に消え失せた。驚きに目を見張る私を前に、Bさんはゆっくりと役満の牌を卓上に並べていく。

「まさか、宣言牌で役満放銃だなんて…」と愕然としながら、思わず机に身を預ける私。まさに天国から地獄の落差を味わった瞬間だった。気分は最悪。自分のリーチが踊り狂った結果、相手に水をぶっかけられてしまったのだ。

その後、Bさんが笑いながら言った。「ねぇ、あの時さ、リーチしなくてもよかったんじゃない?」

「いやいや、今さらそんな話してどうするんだよ。」

「ほら、踊るリーチに水かけロンって言うじゃん?リーチなんかしなければ、この冷や水も浴びなくて済んだかもしれないしさ。」

「それなら、それを先に言ってくれよ!」

「言うわけないだろ(笑)」

こうして水掛け論が始まる。ロンされた後の言い訳合戦、後悔先に立たずだが、今さら何を話したところで結果は変わらない。しかし、このやり取りこそ、麻雀の楽しみでもあり、哀しみでもある。

「踊るリーチに水かけロン」。リーチという舞台に立ち、勝利の舞を踊った私だったが、その結末は冷や水をぶっかけられたようなロンによって終わりを告げた。水掛け論に発展するのも無理はない――リーチをかけなければ、こんな結果にはならなかったのかもしれないと、つい考えてしまうからだ。

麻雀では、誰もが一度はこの言葉を噛みしめる時があるだろう。リーチの喜びが水かけロンで終わる、その瞬間こそが、麻雀の無情さと奥深さを物語っているのだ。

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