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Humankind希望の歴史:上巻
蝿の王のはなし。
スタンフォード監獄実験。
ミルグラムの電気ショック実験。
キティ女史の事件について(傍観者効果)。
心理学部に行くと必ず知ることになる、以上のお話。しかし、いまや見方がだいぶ変わっていた。
それぞれ一側面でしかなかった(もしくは捏造)。
蝿の王のはなしとは、ジャーナリストや私たちは扇情的な話を売るために簡単に自分の脳/世論を操ること、さらに昔ながらの信念を裏付けるような証拠に飛びつきやすいことを示しており。
ミルグラムの電気ショック実験とは、自分の悪行を善だと盲信すればするほど悪辣なことを人はする現象を表しており。
スタンフォード監獄実験とは、ただの捏造ということ。キティ女史の事件(傍観者効果)も実際は違う。
ベニヤ説(ベニヤ板のようにうっすい壁で、私たちの本性"悪"は隠されている。本質的に利己的で攻撃的ですぐにパニックを起こす、という神話)はテレビ受けするし、都合がいい。なぜ都合がいいか?ホモサピエンスが本質的に悪人ならば、約束を反故しても許されるし、悪感情に抵抗しても無駄だから。
「仕方ない」と自分に言い聞かせ、一種の赦しが得られるから。
しかし、この本では、ひとはベニヤ説にはくくられないことを、人間の希望の歴史を書いている。
ひとは疑わしい権威には抵抗できるし、その能力を育てることを示している(コミュニケーション、対決、共感、抵抗)。
空襲や密告の強要などとんでもない事態が起きても、人はパニックを起こさず、冷静に平和を維持する。
ただ、残念ながら、この考え、というか事実には、多くの人は惹かれない。
しかし「人は善く在ろうとする」生き物らしい。
ちなみに、第5章の「文明の呪い」は大変興味深い。
>定住と私有財産の出現は、人類史に新しい時代をもたらした。
狩猟採集民族からの変化の不可逆性とともに示されている。
Humankind希望の歴史:上巻、おもしろい。下巻も読もう。
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