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私、ヲタク先生。【12】

転職サイトをふらふらしているうちに、私はだんだん自分が何をしたいのか分からなくなってしまった。

「どうしてどこからも話が来ないんだろう」

「先生なんて目指すんじゃなかった」

「ひきこもっちゃうかもしれないな」

そんなことをぐるぐる考えてた。実家住だから、親からの圧力も当然あった。

「働きなさい」

分かってるよ。働きたいんだ。本当は戻りたい。

あの場所に帰りたい。でも、足が震えるんだ。どうしても行きたい場所なのに、怖がるなんて変だよね。

でも、一つだけわかったことがある。

それは、

「親の顔色を窺っていないかな?」

だった。昔からそうだ。親からどう思われているか気になってた。

「悪い子」「駄目な子」

にはならないように気を使っていた。何でもしたがって、いやな顔一つせず色々なことをするのが子どもだって考えてた。

でも、ここに立って分かった。

親に言われるままに立ってしまったから、「コドモ」のまま「子ども」と向き合ってしまったから、ダメになったんだ。

そう思った時、何かがはじけた。

「大人」なんだ。自分はもう「コドモ」のままじゃいけないんだ。

私はふと、敷き詰められた鎖をゆっくりとはずしていくことを考えるようになった。

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一色真鳴
援助金は私の創作物の印刷費に主に使用されます。 また、余裕があれば保護猫ちゃんにも使いたいなと思っています。よろしくお願いします。