2020年8月の記事一覧
マシーナリーとも子ALPHA 〜徳の満ちる時篇〜
一夜明けて鎖鎌は横須賀データセンターの一室、32F「ニモニック」の間へとやってきた。例の「八甲田山」シャツは彼女の美観的にはナシだったので朝、シャワーを浴びた後着慣れた制服に着替えた。
部屋中央にベッドにはパワーボンバー土屋が寝かされてる。最初に会って破壊して以来、直したりパーツを得るために一悶着したりとなんだかんだで見慣れてきた顔だ。これから自分が、彼女のためになにができるんだろうか……。そ
マシーナリーとも子ALPHA ~右手に筒を持つサイボーグ篇~
「んあ……ッッッ!」
鎖鎌はドスンと落下するような感覚とともに起きた。ギャア最悪な目覚めだ。なんかあの、なんかよくわかんないけど「落ちたァ!」って感じで驚いて起きるアレだ。鎖鎌はバクバク鳴る心臓を抑えつつウンザリしながら身体を起こした。
「あれ……?」
起きた鎖鎌はしばらく状況が掴めなかった。和室じゃない。布団じゃない。散らかってない。私の部屋じゃない。
それから30秒くらい浅い混乱に
マシーナリーとも子ALPHA 〜2020年への手紙篇〜
「うわあー……」
それまで地下トンネルを走っていた東急東横線が地上に出ると、窓からいっぱいにビルが姿を現した。ビルたちは高速で左側に引っ張られるように通り過ぎていく。その様子から鎖鎌は目が離せなかった。
鎖鎌は電車に乗ったことがない。2050年、彼女の住んでいた池袋シャードはその名の通り破片の世界だった。無数に砕かれた世界の破片で鎖鎌たちマシーナリーチルドレンは暮らしていた。シャードの世界は
マシーナリーとも子ALPHA ~横須賀への召喚~
「……わからん」
ドゥームズデイクロックゆずきは今日もディスプレイに囲まれて仰け反った。相変わらず時空ねじれの原因は掴めそうになかった。まさに取りつく島も無いという感じでなにも進歩が無い。これが、ただ単にものすごく大変だとか、すごく頭を使うとかだったらまだ楽なのだ。疲れるだけで済むのだから。だが、なにがなんだかさっぱりわからないという状況がこうも長く続くと気分が病んでくる。自分のしていることは
マシーナリーとも子ALPHA ~どうぶつ番付篇~
澤村の頭に最初に去来した気持ちは「参ったなあ」だった。猫たちに連れられて猫公園に来てみれば、N.A.I.L.の超能力女がいるだなんて。
澤村はトルーが苦手だった。まず、人類という時点でムカつく。徳が低いし愚かだからだ。これはシンギュラリティのサイボーグならみんなが思ってることだろう。そしてその徳の低い人類が私たちサイボーグを見下していることが次にムカつく。あとアークドライブ田辺がコイツにヘコヘ