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今だから言える聴覚障がい教育②

先日の投稿「今だから言える聴覚障害教育①」は、子どもの特性と保護者の関わりについて考察したものを記述した。これはろう学校の教職員として勤務する上でとても重要な心構えとして考えるきっかけになることは大きい。手話サークルや手話通訳者育成の学習でも取り上げられているので、一貫性のある情報は整理して正しく提供することをこれからも背負っていくことになると私は考える。

 引き続き、第2回目のテーマは「日本の特別支援教育精度の特徴やインクルーシブ教育の課題」として次のように記述したレポートを提出したものを訂正・加筆した上で引用する。ぜひ読んで頂ければ幸いである。

 本講義を受け、「日本の特別支援教育精度の特徴やインクルーシブ教育の課題」について私は、聴覚障害教育の視点からみて考え、述べてみる。最近の特別支援教育は、まだ始まって10年と著しい変化をしている状況に置かれる。特に聴覚障害教育においては、私が学生だった頃の10数年前と比べて大きく変化しているとみている。
 文部科学省によると聴覚障害をもつ特別支援学校については、「聴覚障害の子どもたちには、できるだけ早期から適切な対応を行い、その可能性を最大限に伸ばすことが大切である。このため、3歳未満の乳幼児やその保護者に対する教育相談等が行われています。幼稚部では、補聴器等を活用して子ども同士のコミュニケーション活動を活発にし、話し言葉の習得を促すなどして言語力の向上を図るとともに、(中略)小・中学部では、小・中学校に準じた教科指導等を行い、基礎学力の定着を図るとともに、書き言葉の習得や抽象的な言葉の理解に努めたり、さらに、発達段階等に応じて指文字や手話等を活用したり、自己の障害理解を促したりするなど自立活動の指導にも力を注いでいます。高等部には、普通科のほかに産業工芸や機械、印刷、被服、情報デザイン等の多様な職業学科が設置され、生徒の適性や希望等に応じた職業教育が行われています。(省略)」と表記し、説明している。この中で改訂前の以前と変わっているのは、「指文字や手話等を活用したり、自己の障害理解を促したりするなど自立活動の指導にも力を注ぐ」ことである。
 北海道では、平成21年度(筆者は平成20年度まで在籍したため、聴覚口話法重視の教育環境である。)まで聴覚口話法を重視とした指導を行ってきたが少しずつ手話を活用した指導法の研究を推進するように変わり、現在各聾学校には、手話を活用した授業を実践する風景がみられるようになってきた。私自身、ろう教育現場を受けてきた当事者としてこの変化に大変、喜びを感じている。
 一方でインクルーシブ教育の課題が出ている。障害別の方向性を示していた「特殊教育」から障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みであり、個人に必要な合理的配慮が提供される「特別支援教育」に変わったことにより、聴覚障害教育においては聾学校だけではなく普通の小中学校に通学する聴覚障がい児が少々、増加する傾向にあり聾学校の在籍生徒が減少する変化がみられるようになっていた。現在、ろう学校では今後の専門性の在り方を見直す時期に入ろうとしている。減少する児童生徒に対し、一人一人向き合って学びを深める「場」づくりだからこそ、手話等を活用したコミュニケーション指導に関する自立活動など自己理解を深めることが教員としての専門性としてとても重要になってくる。また普通の小中学校においては、合理的配慮の視点で障がいのない人と公平に授業内容が分かり、学習活動に参加する実感・達成感を与えられるように連続性のある「多様な学びの場」の構築が日本のこれから目指している共生社会への一つのシステムであることがわかる。
 学校における合理的配慮とは何か。これは、発達段階に応じて可能な限りで合意形成を図った上で教育的ニーズをもとに柔軟に提供しながら評価する個別の指導計画、教育支援計画の作成にも新しい業務として教職員の負担が大きくなっている。特別支援教育には良い面もあるが、仕事をもつ教職員の専門の知識がさらに求められることが課題である。

 なお、当レポート内の最後に太字で記述している「場」づくりを指していることは、特別支援学校の教育課程でいうと「自立活動」に含まれれるため私はYouTube「デフ・スタディの時間ですよ♪第14回」で取り扱い配信している。ぜひ視聴して頂ければと思う。

【参考文献】文部科学省HP「特別支援教育について(2)-聴覚障害-」  
      http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/002.htm
「特別支援教育の基礎・基本ー改訂版ー」国立特別支援教育研究所 著(2015)