見出し画像

ノーコードでアルコールチェック表を作る AppSheet編

 2022年4月から営業車に乗る前にアルコールチェックをすることが法律で義務付けられました。チェックを記録する業務が結構な負担になります。その業務をノーコードで楽にしようという記事です。


まずはこちらを御覧ください。動作するサンプル↓

↑のサンプルリンクが見れない場合は下の動画GIFで確認してください。

画像23

全日本トラック協会が公開している紙ベースの点呼記録簿を参考に作ったアルコールチェック表です。

作成にはAppSheetというGoogleのノーコードサービスを使いました。Googleアカウントさえあれば誰でも無料で作れるので作り方を公開したいと思います。


ノーコードとは


 エンジニアでなくてもアプリが作れるサービスです。
今回は一番簡単なAppSheetを使います。


作成の背景


 2022年4月から5台以上営業車を持っている会社(事業所)にはアルコールチェックが法律で義務付けられることになりました。乗車前、中間、乗車後にアルコールの検知器でチェックして記録簿をつけ、保管しなければならなくなります。このとき紙で管理するのは負担が多くなります。そこでアルコールチェックの記録簿をアプリ化しました。リアルタイムでチェックできるので不正防止にも繋がります。
このアプリは最近流行りの「ノーコード」で作っています。
チェック表は全日本トラック協会が公開している点呼記録簿を参考にしています。


作り方の手順


AppSheetでアプリを作るには4ステップがあります。

① データを用意
 アプリの元になるデータベースとしてスプレッドシートを用意します。最初は最低限の機能を満たすようにして後で追加するのがコツ。

② アプリを編集
 UI(アプリの見た目)の作り込みを行います。AppSheetはブラウザ上で実際の画面を見ながら構築できるので難しくありません。

③ アプリを公開(デプロイ)
 アプリが完成したら公開します。AppSheetの場合、月10人までなら「公開」せずとも「共有」することでアプリを利用できます。このやり方ならお金はかかりません。

④アプリをアップデート
 アプリを公開して利用が始まったら、利用者の感想を聞いてどんどん改善していきます。


①データを用意


画像15

 上のようなデータをGoogle スプレッドシートで用意します。
ファイルは1つで中身は2個のシートです。

ファイル名:点呼記録簿 シートは「チェック表」と「社員マスタ」を作ります。

シート名:チェック表

 最上段に項目を作ります。項目は「日付、時間、運行状況、氏名、点呼執行者、検知器の使用、酒気帯び、疾病疲労等の状況、写真、備考」


画像1


シート名:社員マスタ

 項目は「氏名」

画像2


上のスクリーンショットと同じようにチェック表と社員マスタのシートを作ってください。

あとで入力のテストをするので社員マスタの氏名の下には適当に名前を入れておきます


この2つのシートがアプリの元になります。


②アプリを編集


 シート「チェック表」を開いた状態でGoogle スプレッドシートのメニューの「拡張機能」→「AppSheet」→「アプリを作成」を選択してアプリの編集画面を呼び出します。

画像5


初めてAppSheetの画面を出したときだけログイン画面が表示されます。画面に従って進んでください。

画像3
画像4


AppSheet画面が開いたら、

画像6

画面左の列で「Data」をクリックして、続けて中央部分の「Tables」をクリックします。この状態ですとシート「チェック表」だけが連携されている状態なので「New Table」の横の「Add Table "社員マスタ"」をクリックします(表示されているのが「Add Table "チェック表"」の場合もクリックしてします)。


画面右側に実際のアプリ画面が表示されています。

画像8


右下あたりの+ボタンを押してみましょう。

画像8

 これはデータ入力画面です。適当に項目を入力して、Saveボタンを押すとデータが追加されます。Cancelか←ボタンを押せば元の画面に戻ります。Saveした入力データは元のスプレッドシートに追加されます。

ここまで早い人なら10分ほどだと思いますが、アプリの骨組みが完成していることがわかると思います。


③アプリを公開


 AppSheetの無料枠ではアプリの公開はできませんが、10人までで共有して使うことができます。

画像9

画面上側のShareボタンを押します、人の形に"+"がついているボタンです。
Share appの画面が出てきたら「Email address or domain」と表示されているところに共有したい相手のメールアドレスを入れてSendボタンを押します。(「私はロボットではありません」が出ているときはチェックを付けてからSendボタンを押します)

画像10

メールを受け取った側はリンクへ飛び、最初だけAppSheetのインストールを求められたら、その後はこのアプリが使えるようになります。

共有する相手がいない場合または取り敢えず試したい場合は
「Copy sharing links」をクリック→Browser LinkのURLをコピーしてWEBブラウザの新しいタブに貼り付けてみましょう。動作が確認できます。

画像11

Install LinkのURLをスマホへ送ってURLをクリックするとインストールでき、アプリのように操作できます。


④アプリをアップデート


 骨組みは出来上がったので、画面を改善してみましょう。

・メイン画面の見た目
・氏名や運行状況などの入力欄

これらに変更してみます。


まずメインの画面の見た目を変えてみます。

画像12


 画面左の「UX」をクリック→「Views」をクリック→「チェック表」をクリック

画像13

View typeの部分をtableにします。エクセルっぽい一覧表示になりました。

画像17


(今回は使いませんがカレンダーや地図の画面にすることも出来ます)

画像15

↑今回は使いません


次に入力欄を変えてみます。

画像17

画面左の列で「Data」をクリック、次に中央部分「Columns」をクリック。
「チェック表」をクリックして編集画面を表示させます。


画像18

「氏名」の左側のペンのマークをクリックします。

画像19

Typeを「Ref」、Source tableを「社員マスタ」に変更して右上Doneボタンをクリックします。同じ要領で「点呼執行者」もTypeとSourceを変更します。そうすると↓

画像20

このように入力が簡単になりました。ここではスプレッドシートの社員マスタの中身が表示されています。


続けて運行状況、探知機の使用、酒気帯びも変更します。

運行状況の左のペンをクリックして、

画像21

Typeを「Enum」、Valuesを「運行前」「中間」「運行後」にしてDoneをクリックします。
同じように
「探知機の使用」のTypeを「Enum」、Valuesを「無」「有」
「酒気帯び」のTypeを「Enum」、Valuesを「無」「有」
に変更します。


「写真」も変更します。

写真のTypeを「image」に変更します。これだけでスマホで写真を撮って保存できるようになります。


「日付」「時間」も変えましょう。

Typeをそれぞれ「Date」「Time」に変更します。



入力画面は完成しました。
ただし、このままだと同じ日付に1回しか入力できないので「日付、運行状況、氏名」をグループにした入力制限をつけたいと思います。

画像23

「日付、運行状況、氏名」の「KEY?」欄にチェックをつけます。
チェックをつけたら「KEY?」の、ちょっと右上のRegenerate Structureボタンをクリック→Regenerateボタンをクリック

これで同じ日付でも運行状況(運行前、中間、運行後)や氏名の違う人が入力できるようになりました。また同じ人が間違って2回入力するのも防げます。


これで完成です。

入力欄のTypeをLatLongにするとGPSで現在位置を取ることもできるし、動画を取ることもできます。いろいろ試してみてください。


#ノーコード #AppSheet #業務アプリ #業務改善 #ローコード  #ノーコードアプリ


参考書籍





いいなと思ったら応援しよう!