白鳥 正夫

1944年8月14日生まれ 愛媛県新居浜市出身 中央大学法学部卒業 文化ジャーナリスト・ジャーナリズム研究関西の会会員・朝日新聞社元企画委員 著書に『シルクロードの現代日本人列伝』『アート鑑賞の玉手箱』)『夢をつむぐ人々』など多数

白鳥 正夫

1944年8月14日生まれ 愛媛県新居浜市出身 中央大学法学部卒業 文化ジャーナリスト・ジャーナリズム研究関西の会会員・朝日新聞社元企画委員 著書に『シルクロードの現代日本人列伝』『アート鑑賞の玉手箱』)『夢をつむぐ人々』など多数

マガジン

  • 旅で磨こう「文化力」

    「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の旅を通じ伝えたい。

  • アート曼荼羅あれこれ(2024年連載スタート)

    先行きの不透明な混迷の世、時代を表現するアートは普遍的な価値をもつ。興味の尽きない「アートの世界」を、新聞社の企画事業に長年かかわり、その後も文化ジャ-ナリスとして追跡する筆者が、美術館や展覧会の現況と課題、その舞台裏、作家の精神や鑑賞のあり方、さらには世界の美術紀行まで幅広くリポートする。

  • 私の出会った先達の人生訓

    新聞社で定年を迎えたこともあって、夢を追い、共に生きる社会を願い、先達との邂逅に恵まれた。人生をより豊かにしてくれた先達との出会いを伝えよう。

最近の記事

日本と韓国をめぐる不幸な歴史に向き合う旅— ソウル 日本で処刑、埋葬されたテロ犯、祖国では英雄・銅像に

 日本と韓国の不幸な歴史の中で、尹奉吉(ユン・ボンギル)が1932年に起こした「上海爆弾事件」があった。尹はテロ犯として、金沢で処刑、埋葬されたが、戦後になって掘り出され、母国に埋葬し直された。私が朝日新聞金沢支局に在任していた1991年に、この史実を知った、時を経て2004年6月になって高句麗研究の学会と、韓国中央博物館などの美術品見学に出向いた際、尹の墓や記念館を訪ねた。尹は英雄として祀られ、慰霊碑や銅像まで建 立されていた。1909年にハルピン駅で伊藤博文・前韓国統監

    • 表現世界の限りない可能性

       美術の秋。多種多彩な展覧会が開かれている中、表現世界の限りない可能性を実感させる3人のアーティストの個展に注目した。「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、大規模なインスタレーション作品を展示する「塩田千春 つながる私(アイ)」が大阪中之島美術館で、広告、舞台、映画など表現のジャンルから国境までを超え、世界的に活躍したデザイナーの特別展「石岡瑛子 I(アイ)デザイン」が兵庫県立美術館で、ともに12月1日まで展開中だ。一方、絵画、デザイン、映画、演劇、音楽、文学…などジ

      • 芸術が花開き魅惑の地を有するスペイン古都の無差別爆撃に抗議し制作したピカソの《ゲルニカ》

         一枚の絵画を見ることを主目的に海外へ出向いて行ったことがある。スペインのマドリードにあるパブロ・ピカソ(1881-1973)の《ゲルニカ》だっ た。2007年秋のことだ。朝日新聞社では1995年、戦後50年企画の目玉として、実物を借用し日本で展示したいという悲願があり、私も関わった。しかしスペイン政府は門外不出を崩さず、持ち出し許可が得られず、米ポロライド社の特殊撮影での実写による原寸大のレプリカ(複製)を展示した。定年後には現地で本物を見たいとの思いが宿っていた。スペイ

        • 「春画展」第二弾、「肉筆春画」に焦点

           “秘かに愉しむもの”とされてきた春画の展覧会が、京都の細見美術館で11月24日まで開かれている。かの大英博物館で反響を呼び、2015年に東京の永青文庫で20万人の動員があったわが国初の本格的な「春画展」は、翌年に細見美術館にも巡回開催された。今回の「美しい春画 ― 北斎・歌麿、交歓の競艶 ― 」は8年ぶりの第二弾で、版画・版本の作品に加え、特に一点ものである「肉筆春画」に焦点をあて、葛飾北斎の幻の名品や喜多川歌麿の大作、海外から里帰りを果たした作品約20件を含む、精選された

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        • 旅で磨こう「文化力」
          37本
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          8本
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          23本

        記事

          日中国交正常化40周年の年、日本とゆかりの大連へ 租借地となっていた満州時代の名残の建築数々

           隣国の中国への旅は両手足の指を足した数ほどになる。1996年に唐時代の都だった西安を皮切りに、首都・北京をはじめ、シルクロードのルートにあるウルムチ-トルファン-クチャ-カシュガル、敦煌など西域にも何度か、世界遺産の景勝地として知られる九寨溝・黄龍、さらには北朝鮮と国境を接する集安にも足を延ばしている。敦煌に次いで、今回は日中国交正常化40周年の2012年4月に訪れた東北エリアで日本とゆかりの深い大連・旅順・金州の旅についてリポートする。 『アカシヤの大連』の舞台を彩る美

          日中国交正常化40周年の年、日本とゆかりの大連へ 租借地となっていた満州時代の名残の建築数々

          経済危機から復活、五輪の聖地ギリシャ世界史を飾った輝かしい古代文明の名残をそこここに

           4年に一度、世界の人々を熱狂させる平和の祭典オリンピック。その発祥の地がギリシャにある。聖火はオリンピアの遺跡で点火され、開催地へと運ばれている。パリ五輪の開会式がセーヌ川で行われ、船上パレードは五輪発祥国のギリシャが先頭で登場していた。古代地中海世界の大国であったギリ シャのアテネにアクロポリスが鎮座する。2024年5月、秋篠宮家の次女、佳子さまは日本との外交関係樹立125周年に公式訪問されクロポリスにあるパルテノン神殿を視察された。私が初めてギリシャを訪れたのは、国家

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          絵筆代わりに足で絵を描いた奇想天外な画家「生誕100年 白髪一雄」画業と生涯

           絵筆代わりに足で絵を描いた奇想天外な画家・白髪一雄は、今年生誕100年を迎えた。その記念展「生誕 100 年 白髪一雄  行為にこそ総てをかけて」が、生誕の地・尼崎の尼崎市総合文化センター美術ホールで9月23日ま で開催されている。初期の具象画から晩年の油彩画まで作品だけでなく、白髪一雄の人物像にも焦点を当て、所持していた遺品、写真やドローイングブックなども展示。画家になる前から画家としての歩み、そしてアトリエの再現など「アクション・ペインティング」という独自の描画法を考

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          五輪開幕で賑わうパリは、何より画家の聖地 ルーヴルやオルセー美術館に世界の至宝

           パリでオリンピックが7月26日から8月11日まで開催。その後、パラリンピックが8月28日から9月8日まで開かれる。パリは2004年と2010年に2度訪問しており、14年ぶりに3度目のパリを楽しみたいが、観戦・観光客ラッシュや円安もあり、ここは過去の思い出を綴る。  《ミロのヴィーナス》と《モナ・リザ》に魅了  花の都にとどまらない。ファッションの、グルメの、革命の……など様々な形容で多くの人の感興をそそるパリ。しかし私にとっては一にも二にも芸術の都なのだ。30年有余、ア

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          現代アート界の “モンスター”が競演

           筆を持てば自由自在、絵画だけではなく多方面で活躍する現代アート界の “モンスター”の展覧会を取り上げる。“彼方”村上隆は、世界の現代アート・シーンに巨大なインパクトを与えてきたが、今回は古都に乗り込んでの京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」。京都市京セラ美術館 新館 東山キューブで9月1日まで開催されているが、国内で約8年ぶりとなる大規模個展だ。“此方” 横尾忠則の方は、絵画をはじめグラフィックデザイナー、版画家、作家としても活躍、ニューヨークで個展が開

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          「大英」だけではない、魅力あふれる イギリス紀行            文学の舞台や自然美の湖水地方や田園、水道橋…

             初めてイギリスを旅してから13年も過ぎたが、その年、ウイリアム王子とケイトさんのご結婚直前でイギリス国旗が各所に掲げられ、テレビ取材の準備も進められていたこともあって、よく覚えている。栄光の大英帝国時代の名を冠する大英博物館を訪ねたいと、機会をうかがっていた。その旅は、イングランド北部の湖水地方から中央部のコッツウォルズ地方、さらには南西部の古都バースなど多くの魅力に満ちた土地を訪ねる10日間のツアーだった。「大英」だけではなかったイギリスの魅力を、行程に沿って記す。

          「大英」だけではない、魅力あふれる イギリス紀行            文学の舞台や自然美の湖水地方や田園、水道橋…

          龍谷大学龍谷ミュージアムで「バーミヤン大仏の太陽神と 弥勒信仰」展    破壊された東西大仏周辺の壁画を再現

           アフガニスタンのバーミヤンと言えば、東西2体の大仏があり、石窟の周囲には壁画が描かれていた。しかし2001年3月にイスラム原理主義勢力・タリバンによって爆破されてしまった。かつての日本の調査隊による資料を検討し、壁画の新たな描き起こし図が完成したのを記念する特別展「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰―ガンダーラから日本へ―」が、龍谷大学龍谷ミュージアムで6月16日まで開催されている。筆者は4半世紀前になるが、朝日新聞社企画部に在籍時「西遊記のシルクロード 三蔵法

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          人の死を見つめた旅、インドのベナレス巡礼者が求める人生の最後、河畔で焼かれ骨灰が川へ

           一枚の写真の前でくぎづけになった。「藤原新也の聖地 旅と言葉の全軌跡展」(2004年、朝日新聞社主催)を見た時のことだ。その写真には、人間の死体を犬の群れが食べている光景が撮られていた。目を背けたくなる作品は、まぎれもなくインドのベナレスで撮った現実の一コマであった。写真には「人間は犬に食われるほど自由だ」のタイトルが添えてられていた。  藤原はインドを長く放浪した写真家で知られている。文章も達意で、小説家であり思想家でもある。展覧会の図録にはこんなコメントを綴られている

          人の死を見つめた旅、インドのベナレス巡礼者が求める人生の最後、河畔で焼かれ骨灰が川へ

          古代ガラスと手彩色写真、レアな企画展

           ガラスと写真は、文化生活に欠かせず、芸術表現の分野としても進化し続けている。その原初的な展覧会が滋賀と兵庫で催されていて興味深い。MIHO MUSEUⅯで春季特別展「古代ガラス―輝く意匠と技法」が6月9日まで、神戸市立博物館では特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」が5月19日まで、それぞれ開かれている。絵画や彫刻、陶芸などの展覧会と異なり、レアな企画だ。まさに「百聞は一見に如かず」と言えよう。  MIHO MUSEUⅯの春季特別展「古代ガラス

          古代ガラスと手彩色写真、レアな企画展

          「砂漠の美術館」中国の敦煌は世界の宝 窟の数は1000以上も、壁画や塑像に加え古文献

              甘州から粛州までは五百支里(編注・一里四百-四五十メートル)、約   十日間の行程である。水の涸れた川の岸に露営した翌日から、部隊は細   かい石の原へはいったが、その石の原は進むにつれて次第に沙漠の様相   を呈して 行き、終いには全くの沙漠に変わってしまった。行けども行   けども一木一草なく、沙の原だけが果てしなく続いて遠く天に連ってい   た。馬は沙中に脚を埋めないように蹄(ひづめ)に木履を履かされ、駱   駝は蹄を※牛(やく)の皮で包んでいた。  (講談社

          「砂漠の美術館」中国の敦煌は世界の宝 窟の数は1000以上も、壁画や塑像に加え古文献

          大阪中之島美術館で「モネ 連作の情景」 「睡蓮」とジヴェルニーの庭もリポート

           何度見ても新鮮で飽きることのないモネの作品にまた出会えた。しかも国内外40館以上から集結した約70点すべてがモネの作品だ。東京・上野の森美術館で46万人を超す集客の巡回展。フランスには2度旅をし、2010年5月に再訪した目的の一つは、モネが晩年を過ごし、睡蓮を浮かべた庭のあるジヴェルニーのアトリエのある邸宅と、オランジュリー美術館の「睡蓮」シリーズの大作の展示室を見ることだった。その時の現地リポートも合わせ取り上げる。 〈睡蓮〉など「連作」に焦点“100%モネ“の作品

          大阪中之島美術館で「モネ 連作の情景」 「睡蓮」とジヴェルニーの庭もリポート

          神秘と謎に満ちた古代エジプトを再訪 ピラミッド圧巻、ナイル川流域の古代遺跡も驚嘆

           エジプトの旅の続編で、2003年12月のシナイ半島訪問後、12年の時を経て2015年9月に再訪した。ギザのピラミッドから2キロの近くで建築中だった大エジプト博物館は、新型コロナウイルスの感染拡大で何度も延期され、2024年春に開館する。世界遺産のピラミッドの観光と、《ツタンカーメン王の黄金のマスク》を展示するエジプト考古学博物館の鑑賞は当然として、2度目の旅のハイライトは、クルーズによるナイル川の上流にあるルクソールやアスワン、アブ・シンベルなど古代エジプトの遺跡めぐりだっ

          神秘と謎に満ちた古代エジプトを再訪 ピラミッド圧巻、ナイル川流域の古代遺跡も驚嘆