三途の川

結論から言うと、僕には三途の川は見えなかったです。

死後の世界や、臨死体験的な話は大好物ですが、
蜘蛛の糸も、お花畑的なものも見る事は全く無かったです。

実際死にかけた人間の体験談として味気ないとは思うものの、
「永眠」とは良く言ったもので、
「死ぬ事」は「眠りに就く事」に似ているんだと思いました。


ただし、2点補足もあって、
一つ目は、僕の心臓は止まりかけはしたが、「止まって」はいなかった事、
二つ目は、大学病院の集中治療室でエクモ(ECMO)を受けた際、
半ば薬漬けな状態だったから、見ても覚えてなかったかもしれない事。

一応、死後の世界もあるかもしれないので、
今後も悪いことはしないでおこうと思っています。

生還率よりも死亡率の方が高そうな大学病院の集中治療室では、
ひたすらに「悪夢」を見ていました。

手足が拘束された状態で見る夢は半端じゃないくらい恐怖そのものでした。
繰り返し見る夢もあって、「現実世界を自分だけループしている」と本気で思っていました。

失禁しても、うんこ漏らしても大丈夫。
集中治療室に入った時から、オムツの生活になってたから。

手足を拘束されて、脳梗塞の後遺症で視覚もハッキリせず、
食事も全粥のペースト状のモノしか食べられず、
その食事もスプーンを持つだけで疲れてしまって食べさせて貰ってた。

薬のせいもあって、どのシーンが夢か現実か分からず、
マトリックスの住人の様な気分と後から凄く怖く感じたのを覚えています。


幸い、僕の容体は2週間くらいで良くなったらしい。

「がんばりましたね!!」と様々な人が声を掛けてくれたましたが、
たぶん頑張ってくれたのは医者や看護師といった医療従事者だと思う。
僕の方はまるで覚えてないので、「褒められ得」の様な気分でした。

体中から伸びてた管が、日に日に減って行くのは嬉しかったです。
管が取れる度に、この状態から解放される日が近づいてるのが分かってたからです。

ただ、最後の管が抜けてから退院するまで、2か月以上かかるとは思いもしませんでしたが。


ほんと色々あったが、生きてて良かったと思っています。

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