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果てしなく続くアップダウンを一歩一歩

 ここのところの次々に舞い込む仕事の依頼。ありがたいことだが、過集中癖のある私には、仕事が重なると周囲を見渡す余裕を失い、次第にプチうつに至る。何もしたくなくなる。くる日もくる日も書類を書き、紛争を調整し、依頼原稿を期待通りに仕上げる。そして時々プレゼンする。プチうつ状態が続くと、何もかもが面倒くさくなり、仕事の仕上がりが遅くなり、質も落ちる。よくない傾向。
 トラッキングしているApple Watchを覗くと一日の歩数が1000歩未満。そんな日が続くと私は何をして、どこを目指しているのかわからなくなり、生きている意味さえ危うくなる。
 私の中でそこそこ大きな位置を占めていた原稿とプレゼンをなんとか終わらせたら、目を背けていた心の空白が、ぐわ〜〜っと大きく私に覆い被さってきた。

 そうだ、山へ行こう。

 年明けに緊急事態宣言が出てから自粛していた。我慢しきれなくなり久々に山に出てみた。とは言っても県境を跨ぐのは憚れたので、自宅から県をまたがずにいける近所のハイキングコースへ。

 優しいお顔の観音様が出迎えてくれる。ここの地は、古代から人々が住み着いた土地柄であり、社会の営みが脈々と続いている。穏やかな土地。こういうところに長く住みたいな〜〜。まじで定年間近になったら、こういうところに住もうかしら。だけど、私ら世代は、年金もらえるのがいつになるかわからないので、いつまでも働かねばならない。そういうことだけではなく、まだまだやりたいこと、学びたいこと、成し遂げたいことがたくさんありすぎるので、私は定年で隠居するつもりはない。

 山道に入ると、小さなピークが連続する結構ハードな山道。しっかりと踏み固められてはいるが、雨でえぐられてたり、崩落している箇所も。倒木もある。

 小さなピークへの道は、木で土留されている階段。登山靴より小さいステップだったり、斜めだったり。よっこいしょと足を上げて、曲げた膝に手をかけて身体を持ち上げないと登りきれなかったり。よく足が攣らずに歩ききれたものだ。そうそう足の攣りは、電解質のバランスが崩れたり、血行が悪くなったりした時に起きる。だから、水分は10分に一回、10mℓ口に含み、身体の水分が不足して電解質のバランスの崩れを予防することが大事なのだ。10mlは、ちょうどそのくらいの水分が10分間で代謝されるから。なるほど。理にかなっている。きついタイツは足の締め付けて血行を悪くするのでやめた方がいい。確かに機能性タイツを履いていた時よりも足が攣らなくなり、疲れもしなくなった。

 小ピークを過ぎると降りが待っている。降りは降りで、膝に衝撃がかかるのでしっかりブレーキをかけながら、そーっと着地しなければならない。力任せで降りてしまうと身体を痛めるのだ。

 こんなふうに何十もの連なるピークを経ていく。まるで、毎日の小さな出来事のようだ。大したことでもなく、すごく特別というわけでもなく、小さなピークへの登りと降りを繰り返して、気が付いたらとんでもない遠くへ到達している。歩いている時はただただひたすらに足を前に出すだけなのに。

 こんな風景が待っている。ひたすら足を前に出し続けたからこそたどり着いた場所、見える景色。

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