40代男とハムスターの2年7か月
飼っていたハムスターが亡くなりました。2年から2年半が寿命と言われるなか、最後まで元気に過ごし2年7か月(人間だと80歳くらい?)で、天国に旅立ちました。
ひらすら寝ているので「ぐーすけ」と名付けたハムスター。飼い始めたきっかけはこちら。
飼い始めは「手のひらで眠るハムスター」の動画に憧れて何度も試みましたが、そもそも手でつかまれること自体を嫌がるため、早々に諦めました。
初期の頃は体を登らせたりしましたが、「人間に構われること自体がストレス」というのを見て、それもやめました。
せめて住環境は…と思い、徐々にケージを改築していき、こちらは手狭な1Kなのに、別室つき2階建てという、豪勢なお家になりました。
こういうことを書くと「冷たい奴だ」と思われるかもしれませんが、僕は安定した食事と居住環境を与え、彼からは癒しをもらうという、ギブアンドテイクが成立していました。お互いにあまり干渉しない生活。
2泊まではお留守番OKというのも助かりました。家で編集している時に同じところを何度も流しているのを聴かされることもなく、B'zをご機嫌で歌う騒音もなく、僕が家にいない時は快適な日々だったのではと思います。
彼自体の外泊はあまりありませんでしたが、僕が長期の出張の時に、倦怠期を迎えた同棲中の後輩に預かってもらったことがありました。2人にとって束の間の癒しの時間になったそうです。その節はありがとう、とぐーすけも言ってるはず。
2歳(人間でいうと60歳)を過ぎてからは、徐々に家を簡素にしていきました。別室を取り、2階も撤去しました。しかし活動量は変わらず、毎日ご飯を平らげ、胃腸を壊すこともありませんでした。
2歳半を過ぎたくらいから、本格的に「いつ死んでもおかしくないぞ」と思うようになり、帰宅したときや朝起きたときは「生きてるかー?」と呼びかけるようになりました。すると「お、飯か?」とのそのそ家から出てくる…そんな毎日でした。「なんだかんだで4歳くらいまで生きちゃうのでは?」なんてことも思ったりしていました。
しかし、最期は突然訪れました。
仕事を終えて帰宅し、いつも通り散歩(檻で囲ったところをウロウロするやつ)をしている間に、ご飯の準備をしたり、ウンチの取り除いたりしていました。
その時です。何気なく彼に目をやると、彼は見たことのない姿勢で床に伏せていました。手足に力が入らないと言った具合で、だらんとしています。見た瞬間に「あ、これはもうダメだ」と思いました。
心臓は動いてるのはわかりましたが、「おーい」と呼びかけるものの、反応はありません(そもそも元気な時から名前を呼んでも無視されていましたが…)。心拍が徐々に弱まっていくのがわかります。
ものの数分で、彼は息を引き取りました。
「ありがとうね」と声をかけましたが、涙は出ませんでした。よく「死ぬまで元気でいてほしい」と言ってたのですが、まさにその通りの一生でした。倒れる数分前まで、ご機嫌で檻の中を走り回っていたのです。
お菓子の箱で簡単な棺を作り、保冷剤の上にお気に入りの毛布を敷き、好きだったお菓子やおもちゃを詰めました。事前に調べてあったペット葬のHPに書いてあった手順に従います。
そして目星をつけていたペット葬の業者に電話。ハムスターが亡くなったことを伝え、翌朝引き取りに来てもらうことになりました。
僕が調べたところによると、ペット葬は松・竹・梅のプランがあります。梅は棺ごと引き取ってもらい合同火葬。竹は個別火葬で遺骨が戻ってくる。松は個別火葬に立ち会える…という具合です。
電話で「ぐーすけちゃんは何グラムですか?」と聞かれました。体重によって値段が変わるのです。ハムスターは体重が軽いので一番安いそうです。
僕は竹のプランにしました。11000円(税抜き)でした。
翌朝、業者の男性が家にやってきました。棺を預けて最後のお別れです。
「30分ほどで火葬して戻ってまいります」
と担当者はどこかへ行ってしまいました。聞くと、バンのような車の後ろにペットの火葬炉がついていて、法律的に問題のない場所(どこなんだ?)で火葬をして戻って来るそうです。
30分後、担当者が戻ってきました。手には遺骨が入った骨壺が。
最後に料金の支払いです。「現金、クレジットカード、PayPayが使えます」とのこと。
PayPay♪
スマホからあの明るい声が玄関に響きました。PayPayで何かのフェア中だったのか、画面の中でルーレットが回り出します。
「ざんねん」
いや、今はもっと残念なことあんねん。と心の中でつっこんだところで、担当者は帰っていきました。
これが僕と彼の2年7か月の話です。
ケージは処分しました。あんなに健康で手間のかからないハムスターにもう会える気がしなくて、2代目を飼うのはやめました。
今でもケージのあった場所を見てしまうし、回し車をカラカラ回している音が聞こえてくる気がするし、なんだかいなくなった気がしていません。
2年7か月、大きな病気をすることもなく、元気に過ごしてくれてありがとう。
女性スタッフから「私もハムスター飼ってました!小学生のときですけど」と笑いながら話しかけられたことが多くありました。会話のきっかけになってくれてありがとう。
港区のペットショップに来たからには港区女子に飼われたかっただろうに、文句も言わず40代の男の家で2人暮らしをしてくれてありがとう。
ペット葬の話はもっと笑えるエピソードもあるけど、文章にすると不謹慎になる気がして書きません。文章力が追いついてなくてごめんよ。
こちらが天国に行けるかはわからないけど、もしそっちで会えたらまたつかず離れずで過ごしましょう。いっぱい食べて、そしてその名の通り一緒にたっぷり寝て過ごしましょう。
本当にありがとう、バイバイ!