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ドラえもんたちに囲まれて(『高校先生クイズ選手権』放送後記)

ディレクターというのは、潰しがきかない仕事だと思います。手に職がないのです。

もし今の会社を辞めて全然違う業界に転職活動をしたとして「ロケ台本が書けます」「前説できます」と言っても、誰が「それはいいね!」と言ってくれるでしょうか。

ただただ「この番組が進む方向はこっちです!」と旗を振るの役、それがディレクターだと思っています。もちろん今の時代、それにとらわれない人もいますが。

さて、先日『全日本高校先生クイズ選手権2024』が放送されました。

僕は総合演出だったので、問題作成やVTR、CGやナレーションなど全てに関わりました。

ただ恐ろしいことに、僕は問題も作っていないし、VTRの撮影もしていなければテロップを打つこともしていません。もちろんCGも作っていないし、ナレーションも読んでいません。

企画会議を重ねていた去年のある日「”高校先生クイズ”は?」という鶴の一声ならぬ竹の一声で、すべては動き出しました。

『生徒が応援する中、先生たちが本気でクイズに挑む』

その画がすぐに頭に浮かんで、それを実現するために数か月の準備をしました。

でも先述の通りです。僕は問題も作れないし、CGソフトも触れません。ただただ旗を振っていただけです。

「あんなこといいな、できたらいいな」

会議で口走ると、各所のスペシャリストたちがそれに応えてくれて、どんどん形にしてくれました。もちろんポケットから取り出す前には、途方もない作業があって…ですが。

例えばセットの上部にあるバーチャルCG。「決勝になったらバーッと屋根が開くみたいのどうですか?」と言うと、翌週の会議には『屋根が回転しながら開いて、ライオンのキャラクターがどーんと出てくる』という、想像の3倍くらいのCGが出来上がっていました。

それはADさんでも同じです。「〇〇の資料を3日後までにお願いします」と言うと、チームで協力して仕上げてくれます。

もう僕はのび太です。泣いてこそいませんが、理想を伝えてそれを実現してもらう…。そんなことが各セクションでどんどん起こるのです。面白い仕事です。

ここからは個人的な話になります。

入社して以来、一度も制作から異動することなく20年が経ちました。番組制作の楽しさをこれまで数え切れないほど体験してきましたが、視聴率という意味では苦しい経験をしたことばかりでした(迷惑かけた方も多数)。

今回の企画を進めるなかで「これで数字が出なかったら自ら一区切りつけた方がいいかもしれない」と思っていました。自分の実力はもちろん、会社の方針、世代交代、色々なことを踏まえて、です。

放送が終わり、視聴率が出ました。100点満点ではないですが、個人的には手ごたえを感じることができました。

僕は会社員なので、夏の人事異動でどうなっているかはわかりません。ただこの結果を出せたことは、今後に大きく繋がると思います。

番組を観てくれた方、参加してくれた方、ありがとうございました。頼れるドラえもんたちに愛想をつかされないように、明日からも働いていきます。

そんな『高校先生クイズ選手権』はTVerで配信中です↓

エンドロールに、1人ののび太とたくさんのドラえもんの名前が出てきます。是非ご覧ください。

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