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小心地滑日記 第二部②「三兄弟のオレンジ」

◯月◯日

ホテルからシャムスイポー駅に向かうと桂林街と河北街という通りがあって、ホテルからシャムスイポーに向かったところに市場がある。

確か河北街市場だったかな。

ビルになっていて、ぷららてんまとか牧志公設市場みたいになっていて、各店舗がフロアに密集しているかんじだったか。活気はあるし圧倒された。香港島にあるようなレトロな感じはまるでなし。

びっくりしたのは、ビル内なのにいきなり鶏を捌きだしたことだった。もちろん生きてるやつをだ。飛び散る血にどぎも抜かれてしまいオクサンを連れて逃げた。生臭さはビル内にこもってる感じですごくいやだった。

日本の農家で一息に苦しみを最小限にって感じはわからなかった。さすがに豚はそこで殺さないとは思うが……。野菜や果物を買おうと思った。

ホテルにはキッチンがついていて、料理もできる。滞在後半にはよく自炊した。外食に疲れたこともあるし、テイクアウト点心の美味しいお店がいくつかあったこともある。備え付けのテーブルで部屋に置いてある大皿の上に点心や果物や野菜を炒めたものなどを並べて食べることに興奮したものだ。とにかくうまいし安い。記録が出てきたら当時の値段を紹介したいと思うが、いまは割愛。

値段は二人で1000円買えば食べきれない量になった。しかも果物が安い。ペリカンマンゴーにオレンジが安く、ほぼ毎日食べていた。青菜も安い。ただブドウのトンプソンはそこまで安くはなかったが、まあ高くないからよく食べた。一応新婚旅行だし。

野菜に果物に点心の華やかな彩りにわくわくした。果物はやはり前述した市場が安かったからそこに行って買った。いつも「三兄弟」と書いてあり、店の名前なのか意味が分からなかった。

だが、ある日オレンジに貼ってある有名ブランドのシールを見て、はっとした。

これってサンキス〇なんじゃな~い?


新幹線の刺身ほどではないが、二人してしばらくわらった。

調べてみると実際は中国語ではサンキス〇は「新奇士」と書くようだ。でも、その店はサンキス〇の宛字で三兄弟と書いてたりしてね。中国語で三兄弟は三个兄弟って出るしね。わかんないけどね。

でも二人の間では帰国してもしばらくは、そのブランドを「三兄弟」と呼ぶようになったのであった。

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