家族を殺され、毒を盛られたTS幼女は、スキル『デスゲーム』で復讐する 第12話 第二回神からの贈り物
一応、神様から物を貰うのだ。汚い身なりじゃ悪いだろう。
「おぉ。払うと取れた」
最後の方で、大技を放たれたり、大岩投げられたりしたせいで、服が汚れてしまっていたが、払うと取れるって便利でいいな。
ダンジョンにずっといるから、汚れを気にしないでいいのは助かる。
って、そんな機能性を求めている訳じゃないが。
「はーい。神様! 終わったのでなんかくださーい!」
:そうか、そのようなタイミングだったか
:渡したい。がしかし、どうしたものか……
:うぅむ。悩ましい
「おや……?」
反応が悪い。
活躍が悪かったとか、そういう感じじゃなさそうだが。
「どうしたんだ?」
「おそらく、ジンの活躍が目覚ましいからじゃないか?」
「俺の? いや、それがどうしてあんな反応になるんだ?」
「それは、初めに与えた神の衣と神の剣。それら基本的な道具だけで、多人数相手に、決して引けを取らなかったからだろう。他の人間じゃ、いくら神から与えられた道具があろうと、ああはならない」
:邪神に同意しなければいけないのが悔しいが、まさしくその通り……
:適宜道具を与えていれば、奇跡とされたものが、一人でここまでできてしまうとは……
:本当に人間なのか? かつてとは話が違いすぎる
「いや、人間だわ。これは、褒められてるのか?」
「もちろんだとも。ワタシとしても、ジンほどの人間は今まで見た事がない。ジンが全力で魔物を狩っていれば、世界中のダンジョンは、きっと人が完全に手中に収めていただろうからな」
「こんなに評価されたの今まで初めてだわ」
しっかし、酷評ばかりだったから純粋に嬉しいな。
ま、単純にスキルと道具の噛み合いが良かったんだろうが、にしたって照れるわ。
これまでは荷物持ちか、ただの削り要員としてしか見られてなかっただろうからな。
それが、神や邪神から、他の人間を凌駕しているみたいに言われるなんて、やっぱ小っ恥ずかしい。
「その、なんだ? ありがとな」
「礼を言うのはワタシの方だ。今まで、ワタシの力で訴えかけるだけでは届かなかった。ジンが居てこそというものだ」
「そうか……。でも、俺だってべフィアがいなきゃ、今頃くたばってただろうし、やっぱりありがたいよ」
「お互い様だな」
「ああ」
基本的に表情が変わらないべフィアが笑っているのを見ると、心から思っているという事がはっきりわかる。
思えば、魔物を保護する取り組みなんて、人間社会で行われていないもんな。
どうやってダンジョンを攻略するかは考えても、そこにいる魔物を保護するなんて考えない。
そりゃ、苦しい思いもしてきただろうに……。
「って、違う違う。違くはないけど。いい話風にして終わるんじゃなかった」
「そうだな。タダ働きというのは割に合わない。ワタシが良くても、ましてや、人間のジンに得はない」
「俺としちゃ、魔物の方が俺に近い気がしてるんだが、俺の目的はあくまで復讐だからな」
別に、デスゲームをして神を喜ばせたい訳じゃない。魔物を助けるのもついでだ。
:どのような相手でも効果的な道具がいいか?
:となると、攻撃よりも防御寄りの力だろう
:であれば、攻撃をさせない武器などではないか?
「攻撃をさせない武器?」
まあ、通用しない武器を貰うよかいいけど……。
そもそも、剣があるから必要なさそうな気がするけど、なんだろう。
盾? とか思っていると、急に手元が光りだして、形ない光が実体化し出した。
「鎖……?」
:それは、神の鎖
:触れさせた者のスキルを無効化することが可能
:念じ放つことで瞬時に相手を縛る事が可能
「なるほど……」
スキルを無効化する鎖、ねぇ……。
「これ、俺もスキル使えなくならない?」
:無論、抜かりない
:使用者は対象外だ
:一方的にスキルを封じる事が可能
「そりゃいい。鎖で縛れるってのがいいな」
念じて狙った場所に出す、か。
少し先、拳大の石を見つけ、試しに鎖を出してみる。
シャリン、と音が鳴ると、地面から鎖が石に巻きつき拘束した。
「なるほどな。破壊ではなく拘束か。あの大きさの石を壊さないってのは、繊細さも十分だな」
空中からでも、壁からでも、体からでも出せる。もちろん地面から出して足を縛るってのは、一番オーソドックスで気づかれないスキル封じの方法って事になるのだろう。
遠くから狙ったところへも伸ばせるうえ、上限はなし。ホーミングも可能って訳ね。
「素晴らしいな。それだけあれば、変な気を起こす相手に対して、脅しにも使えそうだな」
「確かにな。後、剣で飛ばす衝撃波じゃ、魔物も巻き込みかねないからな。これなら、人間だけ動きを封じる事もできる。それに、ルールがわからずに一発アウトが続くと、芸がないからな」
「そうだな。しかし、これで準備万端って訳か」
「ああ。力も道具も磨かれてきた。本題に入るにはもってこいってやつよ」
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