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渡部有希
2022年5月14日 13:08
鳩が座ったまま死んでいた。首を丁寧に折りたたんで、何色とも言えない羽根に押し沈めていた。そこにだけ朝日が当たって、辺りの寒々しい空気を溶かしていた。美しい生の終わりを見た。真っ白な空に今にも飛び出しそうだった。その隣にはシュレッダー済みの紙が詰められた袋が何十と山になって積み上げられている。さっきまで重要の判を押されていた紙が、裁断されてゴミとなっていく、あのさま。
2021年8月21日 20:18
恥の多い人生でしたって太宰は書いてるけど、私だって現在進行形で恥じながら生きてる。人間失格、だって。ねえ、そんなのあんただけじゃないんだけど。と思いながらショッキングピンクのカバーの文庫を閉じた。でも私は、太宰のそういう、普遍性を自分だけのものみたいにしちゃうところとかが、やっぱり好き。私のピカピカの長い爪も、カバーと同じショッキングピンク。でもそれは、私がただピンクが好きってだけ。