医学物理士=治療計画する人ではない
市中病院で働いていると同じ放射線治療現場の若手技師や看護師にさえも医学物理士は治療計画(いわゆるIMRTの最適化作業)の専門職だと思われていることがある。
確かに国内の臨床医学物理士として働いている大多数が治療計画に携わっており、日中の大半をそれに費やすこともよくあるので、そう見えるのも仕方ないかもしれない。うちの看護師なんて治療計画には医学物理士の資格が必要とまで思っていたようだ。もちろん医学物理士にそんな業務独占はない(それ以前に国家資格でないからね)。
治療計画も大事な仕事の1つであることは間違いないが、あくまで業務の一部であって、決してそれが医学物理士の仕事の全てではない。どちらかと言うと、品質保証・管理のための測定や評価、放射線治療プロセスのリスク管理といった業務の方がメインだと私は思っている。
実際に海外では、筆者が留学していた米国施設ではDosimetristという専門職が、豪施設では放射線技師が治療計画の計算を行っていた。どの施設にも医学物理士が何人もいたが、彼らはルーチンで治療計画はしていなかった。国内施設でも医学物理士がおらず、放射線技師が行っているケースも少なくないだろう。そもそも治療計画の責任者は医師であって、その補助作業を医学物理士がやらないといけないという決まりはないのである。
まぁ何が言いたいかと言うと、医学物理士はコメディカルの中でも特殊な職業で、治療計画のような日々のルーチン業務だけをただ捌いていれば良いというわけではない。以前の同僚でひたすら治療計画だけをしたいから医学物理士になったという方がいたのだが、それは何か違う。その本分は安全で正確な放射線治療を実施するためにはどうすればよいかを常に自分で考え、勉強して、行動することである。※筆者おっさんの個人的な見解です※
こんなこと言いつつも、治療計画していたら1日が終わるというのはよくあること・・・。
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