市中病院で働いていると同じ放射線治療現場の若手技師や看護師にさえも医学物理士は治療計画(いわゆるIMRTの最適化作業)の専門職だと思われていることがある。 確かに国内の臨床医学物理士として働いている大多数が治療計画に携わっており、日中の大半をそれに費やすこともよくあるので、そう見えるのも仕方ないかもしれない。うちの看護師なんて治療計画には医学物理士の資格が必要とまで思っていたようだ。もちろん医学物理士にそんな業務独占はない(それ以前に国家資格でないからね)。 治療計
またしばらく更新が滞っておりましたが、何とか生きています。 ここ数ヶ月、非常勤している大学の学生講義をさせていただいたのだが、いかんせん不慣れなもので、講義資料の作成から話す内容を考えるまで大変時間をとられていました。教える立場になるといかに自分の知識が曖昧かというのが炙り出されますね・・・。 そんな感じで市中病院勤務の医学物理士でありながらも、相変わらず研究活動や学会の仕事、学生講義(NEW!)まで幅広く手を出しています。大学の医学物理士ならこれらも業務の一環にな
どうも、しばらく更新が滞っていました。noteをはじめて早2年が経ち、これまでの記事数42、そろそろネタ切れ感も否めないところではあります。 50までは頑張ろうかな・・・。 さて、この春めでたく学位取得した学生と話していて、私「次は海外留学でも目指してみたら?(先輩面)」→学生「いやー興味ないですね~国内とできること変わらないでしょ?」と返されてしまった。 まぁ考え方や価値観は人それぞれなので、皆に海外進出を薦めるわけではないですが、少なくとも留学してこそ得られるも
医学物理士の資格は取得後5年毎に更新が必要である。この更新には一定の業績単位数と審査料が求められるので、資格維持には多少なりとも費用がかかる。詳しくは医学物理士認定機構(JBMP)のページを。 では年間にしてどのくらいの額になるのか?業績単位の取得ルートによって変わってくるが、市中病院勤務で講習会参加を主な単位取得源にしている医学物理士を想定して計算してみた(2023年度時点)。 1. 更新審査料 そもそもの審査料として必ず25460円かかる。年間で割ると5092円
いくらか論文を出していると、論文のレビュー依頼がしばしば来る。 レビュアーとして指名されるのは喜ばしいことである一方、基本的に論文査読はボランティアである。査読すればReviewer certificateみたいな立派な証明もいただけるが、自称研究者の筆者おっさんレベルだと自分の履歴書に論文査読の実績なんて記載しないので、これが役に立ったことはない。表彰されるくらいレビューをされている先生方ならまた話は別なのだろうけど。 そうは言っても無下に断るべきではない。自分の
少し前に学生から「臨床の医学物理士で博士の学位までとる意味ありますかね~?」と聞かれた。まぁ確かに大学教員や研究職を目指すつもりがなければ、追加で3~4年という短くない修行期間と高額な学費を投資して博士を取得する必要性は考えるところだろう。病院の医学物理士職で博士号必須のポストなんて聞いたことないですし。 しかしながら、博士号持ち臨床でずっと働いている筆者おっさんの経験上、臨床の医学物理士といえども学位のご利益はそれなりにあるかと思う。そんな博士号を取得するメリットを挙
今年の初めにそろそろ海外学会に現地参加したいなぁと言っていたので、先日勢いだけで国際医学物理学会ICMP2023に参加してきました。開催地はインド、ムンバイでした。 IOMPの学会なので医学物理の国際組織図ではAAPMより上位にあたる学会ですが、開催地の問題か、日本はじめ東アジア圏からの参加者は見たところかなり少なく、体感で9.5割くらいがインド人でした。日本のパスポートでも入国にビザが必要な国なのでまぁ行きやすいところではないですね。 学会プログラムは1週間前にな
この半年間に自分の論文を2本ほど書き上げたのですが、昨今ChatGPTなどAIツールが流行っているようなので、それでどのくらい論文執筆が捗るのか使ってみました。 因みに、流行りを受けてか既に多くの雑誌では投稿規程にAIツールで文章自体を作成した場合はその旨を理由とともに論文末尾に記載するように指示されており、AIに丸投げして論文を作らせる使い方は宜しくないようです。私もあわよくばと思い、ほぼゼロ状態からも試してみたのですが、その時は存在しない引用文献が出てきたりしてわり
医学物理士は普段黙々と仕事していることが多い!というのは過去の私のnoteでも何回かぼやいているが、本当に毎日黙っているだけだと、周囲から見れば何をしているのかよくわからない、チーム内で孤立した存在になってしまう。放射線治療の他職種、医師以外にも技師や看護師らとも日々適度に接することは臨床でうまく立ち回るために大事である。 そういうことで、筆者が普段の業務で他職種と接する機会を増やすために心がけていることを紹介していきたい。例によって筆者おっさんの個人的な経験談で、この
随分と更新が滞っておりました。この一月は某研究費申請をはじめ複数のペーパーワークに忙殺されておりました。いつも楽しみに待ってくれている読者の方々には申し訳ない。(え?そんな人いない?) 申請書や論文作成は自分のパソコンさえあればどこでもできるのだから、騒がしい院内でやるより、自宅のような落ち着いた環境でやりたいところ。待てよ、普段の臨床業務もほぼデスクワークだからどうにかしたら在宅勤務ができるのでは?と怠慢で引きこもりの筆者おっさんは考えていました。 1. 治療計画業
英語でオーラル発表と言うと敷居高く感じる人もいるだろう。筆者なんて母国語での発表もあやしいのに英語となると悲惨である。そう言っても国際学会はもちろん、最近では国内の学会でも英語セッションがあるし、英語でスマートに発表している人を見るとかっこいいですよね。 そんな筆者のおっさんの英語発表しなければならないときの対策(独自)について紹介したい。こんな私でも何とかなっている?ので、英語発表したことない方でも準備さえしておけば大して心配することはないかと思う。 1. 簡単な言
誰が興味あるのか?筆者おっさんの休日の紹介。家庭菜園、レトロゲームに続き、今回はジム通いについて。 平日仕事中は座りっぱなし、1日の中でまともに歩くのは行き帰りの病院駐車場と治療室間の移動(約90秒)と、地方病院勤務の医学物理士には運動不足になりやすい環境がそろっている。若ければそれでも問題ないかもしれないが、この歳になると健康診断の結果が介入レベルを超えてくる。 そこで始めたのがジム通いである。 人により好みはあるだろうが、個人的にジムが良いなと思う点は、特別
臨床現場で働く医学物理士が看護師さんや若手技師からよく言われること(n=1、筆者調べ) 第3位「よくそんなに英語すらすら読めますね!」 第2位「画面ずっと見てて目疲れないですか?」 第1位「毎日何やってるんですか?」 以前の記事の通り、日々大半の時間をモニターに向かって黙々と仕事しているためか、同じ治療グループのメンバーからさえもこんなことを言われる(私だけ?)。まぁ表舞台で患者さんと接している看護師や技師とは違い、確かに医学物理士が何をやっているのかわかり
前回の研究の話に関連して、今回は論文の投稿先の選び方について。 一流の先生方なら赤色や緑色の雑誌への投稿を真っ先に考えるだろうが、筆者おっさんの臨床しながらの個人プレイの研究ではそれらは無謀である。自分の研究の質が悪いと思っているわけではなく内容のインパクト的に。 そうは言うものの、労力と時間と金をつぎ込んだ研究成果である。名前を聞いたことなくてもインパクトファクターが低くてもいいので、できるだけ優良雑誌に出したい。いわゆるハゲタカ雑誌は避けたいところである。
一般病院に勤務しながら研究もするというのは私のような凡人医学物理士にとって容易ではない。資金・設備・時間が限られている中で一定の成果=論文業績を出すためには研究テーマ選びも大事である。臨床の医学物理士が研究やる必要あるの?については以前の記事を。 今回は市中病院歴が長い筆者おっさんがこれまで迷走しながらも実施してきた数々の研究を紹介したい。臨床の傍らどのような研究をすればいいのか悩んでいる方の参考になればと思い、もれなく病院業務しながらの体感的な苦労を「難易度」で表して
しばらく更新が滞っておりました。実は今年度から某大学の非常勤教員を拝命しまして、早速自分のキャパがオーバーフローしていました。 そんな中、先月はJRC2023@横浜に現地参加して来てきました。言わずと知れた国内の放射線医学分野最大規模の学術大会で、現地+ウェブ配信形式での開催でした。 私の周囲にはオンラインあるから現地は行かない勢が一定数いましたが、昨年のJASTRO@広島に引き続き現地参加をした身としては、そこで出くわす先生方と他愛もないことから真面目な話まで交え