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臨床医学物理士のバイブル

 たまに実習にきた学生から医学物理士として臨床で役立つオススメの参考書はありますか?と聞かれることがある。そうだね、まずはKhanの教科書を擦り切れるくらい読みなさいと返したいところだが、最近の若い子にあまり厳しい態度はよくないらしい。

 そういうわけでもう少しさくっと読めて、必要最低限の知識がまとまっている文献を紹介することにしている。やや古いものが多くて恐縮だが、どれも現場で働く医学物理士にとって超ベーシックな書籍であり、学生にとっては医学物理士試験などの良い対策教材にもなり得るのではないだろうか。筆者のおっさんも今でも度々読み直している(残念ながら記憶力が鶏並み)。

1. 標準計測法12
 言わずと知れた我々のバイブル。右も左もわからない学生時代に半強制的に買わされる1冊(私のときは黄色表紙のやつだったな)。本編も大事であるが、どちらかというと後半の付録の方がメインで医学物理士の知識としては重要。多少の臨床を経験してから読んだ方が理解は進む。

2. 強度変調放射線治療の線量検証法
 IMRTの検証のために実用的な知識を網羅してくれている1冊。各論でよくまとめてくれているので読み易く、私が医学物理士見習いだった頃はリアルに擦り切れるくらいお世話になりました。もう10年近く前に出版されたものなので新しい情報が入ってないのは残念だが、基礎を学ぶにはまだまだ十分。医学物理学会員なら無料でPDFダウンロードできる模様。

3. 詳説強度変調放射線治療詳説放射線治療の精度管理と測定技術
 詳説コンビの2冊。高精度治療の品質管理を行っている人はどちらも一度は読んだことがあるだろう。両者とも国内のエキスパートの先生方が実例や参考論文を挙げながら、放射線治療のQAQCの実践的な内容をQ&A形式で解説してくれている。これらも出版されてもう10年くらい経つので、アップデートされたものが出てほしいところ。

4. AAPM TG198レポート
 放射線治療装置のQAQCプログラムを示したAAPM TG142、それを実用的なガイドラインとして書き下ろしてくれているのがこのTG198である。TG142の内容に沿って実際の測定手順や条件等を提示くれているので、先に挙げた詳説シリーズの書籍と合わせて品質管理の強い味方になることは間違いない。今のところ本レポートの日本語訳は出てないようだが、研究論文ではないので英語苦手でも読むのに苦労はしないはず。

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 もちろん上記以外にも読むべき文献はいくらでもあるだろうし、昨今はこの分野でも新しい書籍がどんどん出ている。私もなるべく新刊書籍や最新論文には目を通すように心がけてはいるが、時間が足りないことを理由にして読めていないのが現実。まぁ年齢とともに自分の脳味噌が新しい情報についていけないことも否定はできん。

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