医学物理士の労働時間
さて以前の記事で収入の話題に触れたが、それに対して労働時間ってどんなもんかって話もしておこう。
前提として労働時間についても自分が働く施設の規模によるところは大きい。患者数が多い病院ならその分仕事も忙しくて時間は長くなるだろうし、逆にそうでない施設なら毎日定時ダッシュも可能かもしれない。ただ医学物理士が専従でいる施設はだいたい放射線治療をばりばりやっている施設が多いと思うので、前者が多数派ではなかろうか。そうでなくても、私の経験上、医学物理士は業務内容的に時間外に及ぶことが多い。その要因を挙げていきたいと思う。
1. 治療装置を使った測定業務
治療装置の品質管理など、実機を使った測定作業は医学物理士のメイン業務の1つである。しかし平日日中の時間帯は患者の治療のために装置が使用されているため、基本的にこれが終わった後でないとその測定は始められない。例えば私が以前勤めていた施設では19時ごろまで患者の照射業務が入っていることもあり、そこからようやく測定を始めていた。他のスタッフが帰って静まり返った遅い時間に独り作業をしていると寂しく感じるときもある。そんな時は治療室のオーディオで好みの音楽を大音量でかけて歌いながらやるとよい。
2. 治療計画業務
専門的な話は割愛するが、治療計画では医師との連携が重要になってくる。治療計画の方針や評価、確認について医師と話し合って進めていく業務である。しかしながら治療計画室に入り浸っている医学物理士と違い、多くの治療医は日中診察等で忙しい。それで結局彼らの時間がとれる夕方や夜まで仕事が進まないというのもしばしば経験することである。少しでも効率的に仕事をこなすためにも医学物理士は各治療医の診察日や患者数、仕事の早さ、そして個人の性格を把握しておかなければならない。
3. 研究業務
研究が業務に含まれるのかどうかという議論はさておき、学会発表用にデータを解析したり論文読んだり書いたりするには、それなりにまとまった時間が必要である。無論日中のすきま時間を活用してできなくもないのだが、やはり臨床の医学物理士は治療計画や品質管理の業務を優先しないといけないし、他のスタッフが臨床で慌ただしい中で論文を書いたりするというのもどうも落ち着かない。詰まるところ、それらが一段落した夜に集中的にやるのがいちばん効率が良いということになる。大学病院などで医学物理士のスタッフが多数いて研究日のような丸一日臨床フリーの日が設定できるのが理想的か。
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そういうわけでフレックス制の勤務時間でない限り、医学物理士は朝から夜まで拘束時間は長くなりがちである。これらはあくまで筆者の実体験に基づく勝手な見解であるので、実際のところ他の医学物理士がどう勤務時間を管理しているのか気になるところではある。