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研究職より臨床を選ぶ理由

 気が付けばこのnoteで記事を書き始めて約1年経ちました。

 当初は論文の紹介やAAPMレポートの内容なども投稿していけたらなぁと思ったりしてはいたのですが、そのような偉そうなことができる能力もなく早々に断念。結果、おっさんの戯言記事ばかりになってしまい恐縮ですが、少しでも目を通していただいている方々には感謝です。 

 そんな中、この1年間でアクセス数が最多だった記事は年収の話でした。かなり序盤に書いた記事にもかかわらず、今でもどの記事よりも群を抜いてアクセス数が多いです(p<0.01)。年収というキーワード的に他の記事より検索され易いというバイアスもあるかと思いますが、現役の医学物理士でもそれを目指す人でも、当然ながら金銭面は気になるところなのだろうと愚考しております。他記事がくだらないという可能性は除外できないが。

 収入つながりでいやらしい話になるが、ごくたまに人から「マグパイ君(筆者仮名)は、いつも論文書いたり研究費とったりしているのにどうして研究者にならないのか?」と訊かれることがある。私「病院の医療職の方が収入が安定しているからです。」

 実際のところ、筆者ピュアな若手の頃は臨床より研究本職の医学物理士を目指していた。そのために大学病院時代は臨床業務だけでなく基礎研究にも打ち込んでいたし、休日も惜しんで論文執筆や研究費申請に勤しんでいた。

 しかし現実は甘くはない。そもそも医学物理系の研究職なんて数がかなり限られている中、私のような極凡人が業績少ない若手時代にアプライできるポストは軒並み分野外の任期付きポスドクで、臨床職と比べて収入面で特段恵まれているわけでもなかった(何なら低い)。そこでお金優先で一般病院勤務を続けていると、そこでは多少なりとも昇給もしていき生活も安定してくる。そうなるとそれを辞めてまで先行きが不透明な研究職を目指そうとは思わなくなるわけである。20代ならまだしも、もうおっさんですからね。

 もちろん研究職で立派に活躍されている先生方を沢山知ってもいるので、一般論で研究職の方が年収が低いとか雇用が不安定だとかいう話では決してないです。単純に私の能力や価値観、その時々の状況を鑑みて、市中病院の常勤医療職を続けている方が安泰だと思ったので今の道を選んだだけです。もっとも若手時代に培った研究スキルや業績は今でも十分役立っているし、その時間は一切無駄ではなかったことは間違いない。

 そう言いつつも今でも病院業務の傍ら細々と研究活動している自分を見ると、どこか研究職を諦めきれていないのかもしれないが。

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