医学物理士の懐事情?
年収の話。ネットの検索エンジンで「医学物理士」と入れると予測変換のそこそこ上位に「医学物理士 年収」と出てくるように、医学物理士として働こうと考える人なら誰しも気になる話だろう。その一方でなかなか人には聞きにくい話でもある。
医学物理士自体が希少職で母数も少ないゆえ、だいたいこれくらいという具体的な数値はぱっと出てこない。結局いくら貰えるかは働く施設やポストにより大きく異なるのが現状と思われる。
そういうことなので、あくまで筆者のおっさん一例のみの話ではあるが、医学物理士歴十数年、最終学歴は博士、地方病院の下級管理職ポジションで現在の年収は国立大学の講師くらいである。管理職ゆえ残業代はつかない。これが高いか低いかは相対的な比較になるが、基本給だけでみれば自施設の同年代放射線技師よりは高い額を頂いている(おそらく)。ただ労働時間の話を別にすると、技師の場合はベース給に残業代や当直手当等が加算されてくるので毎月の手取り額としては大差ないのが実情である。
勿論最初からそのような額を頂いていたわけではない。私が医学物理士の駆け出しであった大学病院時代は、医学物理士という職名でもない謎の一般技術職扱いで、これが昇給なし残業代なしの固定年収400万円弱であった。もっとも当時ペーペーだった上、大した仕事もできていなかったので十分な額を頂いていたと今にして思う。
その後に勤めたところは高精度治療ばりばりの施設で、終電帰宅or泊まり込み、休日出勤も上等の修羅のように忙しい職場であった(筆者注:若干の表現の誇張はあるが体感はそれくらい)。そこでの基本給は大学病院のときと同等であったが、残業代がカンストするほど多かったので、年収としては国立大学の助教くらいの金額になった。さすがにいろいろ問題あったので、その後近い額の年俸制に切り替えられた。同時に勤務時間もフレックス制になり、精神衛生も改善された。
さて、筆者もお金が大好きなので、どうやったら医学物理士で収入アップできるかを常々考えている。
方法の1つは医学物理士として外勤(いわゆるバイト)に行かせてもらうことだろうか。自施設が外勤OKという大学勤務などの人に限られはするが、私の周囲では週1日の勤務で数万円もらっているようなので、年収にすれば100万オーバーが見込める。医師同様に人数が不足している職だからこそ、外勤ができるチャンスがあると思っている。実際のバイト先は大学などから内々で紹介(斡旋?)してもらうことになるだろう。そのために日ごろから大学や近隣施設との良好なコネクション作りが大切である。
高収入だけを考えるなら、海外施設で働くという道もあるかもしれない。私がお世話になった米国施設の医学物理士は年収約20万ドルと言っていて、Oh~これがアメリカンドリームかと思ったのは記憶に残っている。さすがに米国はぶっとんでいるが、豪州のポスドク医学物理士で年収9万ドルほどであった。雇用されるのは簡単ではないだろうが、うまくいけば高額な収入が期待できるかもしれない。
ここで述べたのはあくまで筆者の経験だけによるもので、他の施設で働く医学物理士の懐事情はわかりかねる。米国のような額をもらえる国内施設はさすがにないだろうが、医学物理士の必要性を理解してくれているところであればその責任に見合った報酬を与えてくれるだろう(と思いたい)。
<2022年10月追記>
先日2020年医学物理士就労アンケートが公表され、その中にアンケートの回答者からのデータではあるが、給与の平均値と偏差が記載されています。1000万円超えのプレーヤーがいて羨ましいなと思った次第。
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