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[英國暮らし]オックスフォード観光のすすめ 2004年夏版

 七月に入り、試験や卒業式の終わった大学生たちが晴れやかな顔で去ってゆき、オックスフォードの街中はいつも以上にたくさんの観光客と大勢のサマースクール生たちであふれかえっています。今年は熱波(ヒートウェーヴ)が来ないとの噂。絶好の観光シーズンなので、オックスフォード在住4ヶ月の筆者によるオックスフォードのここが好き!を紹介したいと思います。


(1)オックスフォード観光、基本の「き」

 まずは街の規模感、基本ほぼ徒歩圏内です。ロンドン・パディントン駅からオックスフォード駅まで鉄道で最短50分ほど、そこから街に入ったな〜というあたりまで歩いて10分(このあたりにロンドンからのバスが着く駅が)、おそらくみなさんが目指すなかでいちばん遠いところにあるモードリン・カレッジまででも徒歩25分ほど。石畳が多いので歩きやすい靴でいらしてください。

 バスも発達していますし、バスが着くグロスター・グリーンのあたりにはタクシーも1、2台いますが、日帰り観光ならまず使うことはないと思います。Uberはありませんが、どうしても呼びたい場合はRoyal Carsのアプリなど便利です。

 ちなみに鉄道駅はささやかなマークス&スペンサーとCOSTAなどチェーン系のスタンドがいくつかあるので、イギリス全体の簡単なお土産やご飯・飲み物は調達できます。小さな駅なのでロッカーや荷物預かりはありません。

ベリオール・カレッジの食堂

(2) 何はなくともカレッジ見学

 オックスフォードを訪れるみなさんがいちばん見たいものはもちろん、オックスフォード大学のカレッジ(コレッジ)ですよね。わたしもこれまで暇を見つけては数10校巡りましたが、声を大にして言いたいのはクライスト・チャーチ以外もすてきだよ!ってことです。

『ハリーポッター』シリーズ、これぞイギリスの学園生活って感じで憧れますよね。せっかくだからロケ地のクライスト・チャーチ・カレッジニュー・カレッジを訪れたい。ただ、ハイシーズンのクライスト・チャーチは予約必須なのでもし予約が取れなかったとしても、諦めないでください。他のカレッジの雰囲気も負けず劣らず素敵なので、ふらっと街歩きして気になるカレッジを見学するのもおすすめです。なにしろ狭い範囲に全部で43校(36+7)もあるのですから。

 個人的なおすすめは、メイ・モーニングの記事でもご紹介したモードリン・カレッジ(Magdalen College)。回廊、開放的な広いお庭、教会のセピア色のステンドグラスも印象的ですし、なんと鹿苑も。そう、鹿が飼われているのです。同じくイングリッシュガーデンが心地よい、雅子さまの通われていたベリオール・カレッジ(Balliol College)や、荘厳な雰囲気の天皇陛下の母校マートン・カレッジ(Merton College)も。解放されている時期や対象はさまざまなので、ぜひ気になるところを巡りつつ、手入れの行き届いたそれぞれのイングリッシュ・ガーデンでのんびりしていただきたいものです。基本は校舎や寮+教会+お庭の3点セットを見る感じです。詳しい見学状況はこちら↓の公式サイトへ。


(3) 小さなお店を訪れよう

スクリプタムのショーウィンドウ

 オックスフォードは、近隣のレディングやバーミンガムと比べるととっても小さな街。大きなショッピングモール(Westgate Oxford)にはなんでもあって便利だけど(大規模チェーン中心のなか、紳士服と雑貨のお店「Burrows & Hare」はしゃれています)、小さな魅力的なお店もいくつかあります。

 たとえば、文房具が好きなら、街のランドマーク、ラドクリフ・カメラのすぐ裏手にある「Scriptum」。実は置いている文具はイタリア製が中心で、サンタマリア・ノヴェッラの石鹸なども揃っているんですが、オリジナルの革装のノートやポストカード、カードゲームや文鎮など品揃えは無限で、ちょっとした宝探し感覚で探せる上品なお店です。

雑貨店「オブジェクト・オブ・ユース」

 日用品がお好きなら、カバードマーケット裏の「Object of Use」。目的別のさまざまなブラシなどの掃除用具や台所、ガーデニング用品など、世界中のちょっと良いこだわりのグッズを集めた日用雑貨店。フランスの紙のお香「パピエ・ダルメニ」がある感じというか、あの「レイバー・アンド・ウェイト」やセレクトショップ「Bshop」の雑貨コーナー、吉祥寺の「サンク」なんかが好きな方に。日本の文房具もたくさん。見ているだけで楽しいお店です。

 いやいや、イギリスらしいお土産がほしいんだよという方に、穴場なのはボードリアン図書館の北側にある、ウェストン図書館(Weston Library)の売店。オックスフォード大学グッズや、本好きの人ならつい欲しくなるようなこまごましたものがたくさん売られています。建物自体は新しくモダンで、カフェも併設されているし(きれいめのお手洗いやWifiも)、企画展も無料なので一息つきたいときにも。今は没後100周年のカフカの展示などをやっています。本が好きな方はすぐ隣の老舗書店Blackwell'sが絶対におすすめ。地下の広大な専門書フロアーが美しい。(ちなみに、このあたりが先日天皇・皇后陛下が散策されたところです)

 あとはクライスト・チャーチの庭園内にある売店も品揃えが豊富だし、アシュモレアン博物館の売店もミュージアムショップらしいおしゃれな感じ。街中の土産屋さんは、お店によって値段が違ったり(にぎやかなハイ・ストリートやコーンマーケット・ストリート沿いのお土産お土産した店はお高いとの噂……)、ちょっと怪しいところもあるので比較検討できればしたほうがいいかも。

(4) おすすめご飯屋さん

グロースター・グリーンの野外マーケット

 歩き疲れたら、ご飯ですよね。パブならやっぱり定番は、いろんな有名人がお忍びで通ったTurf Tavern。ここのいいところは、テラスもあるし、お店のなかも小部屋に分かれていて、隠れ家っぽくもありつつわりと広いところ。ご飯もボリュームがあってイギリスらしいパブ飯が食べられます(おすすめは焼きキャベツ)。注文はQRコードを読み取ってお席から。わたしもここのビールを帰るまでに制覇したいと思っています(ビールはカウンターで注文するほうが種類豊富)。

 野菜多めのランチなら、ハイ・ストリートを一本南に入ったところにあるファラフェル屋さんCHICK PEAや、意外なところでオックスフォード大学自然史博物館の2階のカフェ「Sustainable Dining」もメイン+サラダがたっぷりつけられます。巨大な恐竜の化石を見下ろしながら、気楽に身体にいいものを食べて、食後は裏手にある広大なユニバーシティ・パークでお散歩も良いです。

 あとは、ロンドンやヒースローからのバスの発着所にあるグロスター・グリーン広場の野外広場(Gloucester Green Outdoor Market)。水・木・金・土の9〜16時と営業時間は限られているんですが、タイ、ベトナム、シンガポール、イラン、レバノン、東欧系と……世界各国の屋台飯が(比較的)手頃なお値段でさくっと食べられます(古着やレコードなどの出店も)。オックスフォードの屋台飯といえば、有名な観光スポットカバードマーケットもいいんですが、わりとがっつり系が中心なので、お天気のいい日はこちらもおすすめです。広場の一角にはアジアンスーパーもあります(緑の鳥舗子?みたいな謎の看板が。先日久々に飲んだサントリーの無糖烏龍茶おいしかったー!)。支払いはカード決済でOK。

(5) おすすめカフェ


カバードマーケット内の「コロンビア・コーヒー」

 アフタヌーンティーはホテル系などいろいろありますのでお好きなところを選んでいただいて、やっぱり日常的には珈琲党の人が多いようで、カフェもチェーン系から独立系までいろいろあります。

 イチオシは、「コロンビア・コーヒー・ロースターズ」。観光ついでに行くならカバードマーケット内のお店になるのでこじんまりしているんですが、ここのフラット・ホワイトはコクがあって最高。お土産にコーヒー豆「オックスフォード・ブレンド」や「ジェントルマンズ・エスプレッソ」なんていかがですか? (中心地からちょっと離れていてバス必須なのでわざわざ行く感じではないんですが、もしオックスフォードに宿泊されるならこちらのサマータウン店がわたしのお気に入り。ここのサンドイッチが今までイギリスで食べた中で個人的にはベスト。)

 あとはハイ・ストリート沿いにある「ジェリコ・コーヒー・トレイダーズ」も気軽に入れてコーヒーが美味しい。ここはコーヒー豆を買うとドリンク1杯無料なのが嬉しい。ハイ・ストリートをそのまま進んでモードリン・カレッジの向かいにあるイギリス最古の植物園「オックスフォード大学植物園」は個人的にはぜひ訪れてほしいスポットなんですが(個性的なロック・ガーデンや温室も)、このなかにもジェリコ・コーヒーの屋台があって(飲み物のみ)、チャーウェル川に浮かぶボート(パント)を見ながらひとやすみできます。ほかにもここは中目黒かなって感じのミニマリズムな「New Ground Coffee Oxford」とか、裏道にオシャレなカフェがいろいろあります。

 チェーン系なら、前述の老舗本屋Blackwell's内のカフェ・ネロは穴場。中心部にある本屋Waterstones内のカフェも落ち着いていて良いです。本屋さん自体はチェーンですが、もとはデパートだった古い建物なのでなかなか重厚感があります。

OXTRAIL2024 牛のオブジェがいま街のあちこちに。こちらは写本ver.


オックスフォードは歩くたびに発見のある素敵な街で、古い建物と大きな木が残る、唯一無二の場所。ぜひゆっくりのんびり散策を楽しんでいただきたいです。

*今日のひとこと

先日シティセンターを歩いていたら、黄色のサマードレスを着て犬の散歩をする可憐な女性とすれ違いました。「あれ?」と振り返ると、周りの人たちもびっくりした顔で立ち止まっています。そう、現在オックスフォードの大学院で学ぶエマ・ワトソンさんだったようです。街にすっかり溶け込んでいました。







 





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