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会議は踊る

「会議は踊る、されど進まず」とは、ナポレオン失脚後のウィーン会議の混乱を揶揄した言葉だそうです。どうやら古今東西、会議というものはスイスイと進むものではないもののようで・・・

良い会議と悪い会議

ちょうどこの間「多様性」について会話していたときに、多様性って効率性悪いよね、っていう話になりました。例えば職場の人材に多様性が求められるという場合、ともすればマイノリティの人達への雇用機会を提供することが必要だというような人権保護の文脈で語られることがあります。

けれども、もっと強調されてよいポイントとして、多様性のメリットはクリエイティビティの源泉であったり、よりよいアウトプットを産み出すところにあるのです。しかしながらその過程は必ずしも効率的ではない、むしろ非効率なんですよね。なぜなら、同じような価値観を持った人たちで物事を進めるというのは、楽だし時間もかからないわけだから。そこに違う価値観を持った人が入ってくるということは、意見がまとまりにくくなったり、一旦決まりそうになったことに疑問がさしはさまれたりすることで、面倒くさいし時間もかかるということになります。

言い換えれば、何をもって良い会議だったのか、ということにも行き着きます。良い会議とは効率がよい=短時間で物事が決まると定義するのか、はたまた良い会議とは多くの視点からの検討を経た結果、より質の高いアウトプットを産み出せたものと定義するのかということです。勿論もっと他にもあるかもしれません。会議を効率的に、というとイコール良いことのように思いがちですが、本当にそれが一番大切なことのかということは、立ち返ってみるべき視点だと思います。


会議の目的

良い会議の定義を吟味するということは、会議の目的は何なのかというところにも通じます。例えば、何かを決定する会議。その会議では何かを決定しなければならない。しかも往々にしてそういう会議は忙しい人が複数参加していたりするので限られた時間だったりします。そういう時には、予め資料を配布して事前準備をしてもらうとか、場合によっては事前に説明の時間をとっておくとかいう段取りが大切だったりするかもしれませんね。

一方、情報共有の会議というのもあります。そして、これは近年ムダの筆頭に挙げられることが多いと思います。情報伝達なのであれば、会議という形で集まらなくてもいいのではないかと。こういう会議をなくす、というのは拘束時間が減る、資料を読んだりする時間を個人のスケジュールに合わせられるという意味では効率がよいのかもしれませんが、裏には個々人がそういった情報にきちんと目を通しているということが担保されているかどうかにかかっているように思います。共有されているべき情報が結局スルーされていては、ムダな会議を省いたようでいて別のコミュニケーションコストを発生させる可能性があるからです。

それから、親ぼくを深めるための会議。あえてコミュニティミーティングと呼ばれることも多いですね。おそらくムダな会議という議論が盛んになったことから、会議の目的を明らかにしたのだと思います。そして、リモートワークが進むと、こういうミーティングに意識的にしっかり時間をとらないとならなくなってきました。いつも書いているんですけど、結局自分一人だけで完結する仕事って少なくて、そういうときに必要な人とコンタクトすればいいというけど、人間関係が温まっていないと結構な心理的ハードルがあったり、またミスコミュニケーションが発生しやすくなったりするわけです。

加えてこれは、幸せに働くという観点からもとても大切。仲間がいること、チームへの帰属意識を持つことは、ウェルビーイングに働くことにつながります。

会議の必要性を見直す際のポイント

こうしたことを踏まえて、会議の必要性を見直す際のポイントとしては、次の2点がポイントとなるのではないでしょうか:

会議の目的を明らかにする(物事の決定、情報共有、親睦を深める・・・など)

②目的に照らし合わせて、その会議の良い結果とは何をもって判断するのかを考える

①と②で明らかになることでもあるのですが、効率性だけで必要ない会議を判断していないか、そのことによって失っているものはないかという視点は非常に大切だと思います。

必要な情報共有を個人の意識任せにしたことによってチームメンバーの意識統一ができなくなってしまったり、「仕事の人間関係は仕事上で」にこだわるあまり、いざ共同ワークするときのコミュニケーションのハードルが高くなってしまったり、そもそも必要なコミュニケーションしかしていないと、余白から生まれてくるクリエイティビティが失われてしまったり、ということが起こっていやしないでしょうか?

「会議は踊る」は、もともとウィーン会議で物事が何も決まらず舞踏会ばかりが催されていることを指していました。けれども一見、会議の場は効率的に進んでいるように見えても、人々がてんでばらばらなダンスをしていたり、そもそもペアや集団でダンスできなかったりしたのでは、それも本末転倒だと思うんですよね。


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